こんにちは。諜報部長。
税理士で諜報部員のAです。

さて、先日、熊本~大分で大きな震災がありました。
今回の報告も、前3回に引き続き、
「災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い」
についてお話致します。

1回目:税理士が語る「災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い①」
2回目:税理士が語る「災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い②」
3回目:税理士が語る「災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い③」

災害損失と被災者支援

■災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い④

この度の熊本地震により被害を受けられた皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。

今回も、被災された事業者様、
その被災者へ支援を行った事業者様への情報として、
「法人の災害による損失や、被災者に対して支援を行った法人に関する税務上の取扱い」
をまとめました。

今回も、前回に引き続き被災者に対して支援を行った、
法人側の取扱いに関しての内容です。

●被災者に対して支援を行った法人における取扱い

※(1)、(2)をご覧になられる場合は、下記リンクからご覧ください。
税理士が語る「災害による損失や被災者に対する支援に関する税務上の取扱い③」

(3)取引先に対する災害見舞金等

法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、
取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、
事業用資産の供与等のために要した費用は、
交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。
また、法人がこのような災害見舞金を支出するに当たって、
その取引先の被災の程度、取引先との取引の状況等を勘案した
相応の災害見舞金であれば、その金額の多寡は問いません。

(注1)法人が災害見舞金を支出した場合に、取引先から領収書の発行を
   求め難い事情にあることも考えられますが、このようなときには、
   法人の帳簿書類に支出先の所在地、名称、支出年月日を記録しておくことが必要です。

(注2)法人が被災した取引先の役員や使用人に対して個別に支出する災害見舞金は、
   個人事業主に対するものを除き、取引先の救済を通じて
   その法人の事業上の損失を回避するというよりは、いわゆる付き合い等としての性質を
   有するものであると考えざるを得ないことから、このような支出は
   交際費等に該当するものとして取り扱われることになります。

なお、「取引先の役員や使用人」であっても、法人からみて自己の役員や使用人と
同等の事情にある専属下請先の役員や使用人に対して、
自己の役員や使用人と同様の基準に従って支給する災害見舞金品については、
交際費等に該当しないものとして取り扱われます

(4)取引先に対する売掛金等の免除等

法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、
復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、
その免除することによる損失は
寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。

また、売掛債権の免除は、災害発生後相当の期間内、
例えば、店舗等の損壊によりやむなく仮店舗により営業を行っている場合のように、
被災した取引先が通常の営業活動を再開するための
復旧過程にある期間内に行うことが前提となります。

(5)取引先に対する低利又は無利息による融資

法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、
復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における
通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、
寄附金に該当しないものとして損金の額に算入されます。

また、既に行っている貸付けに係る貸付金の利子を減免した場合、
その減免が災害により被害を受けた取引先の復旧過程において
その復旧支援を目的として行われるものであるときには、
売掛金等の債権の減免と同様、その免除による損失は、
寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます

(6)自社製品等の被災者に対する提供

法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために
緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、
寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)
として損金の額に算入されます。

●最後に・・・

今回の震災では、大変心を痛めた方が多いかと思います。
震災の直接的な被害だけでなく、その後の余震や豪雨等で、
さらに被害が拡大した方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そういった方々への「直接の支援」だけでなく、
「支援を出来る人への支援」も大切だと思い、
こういった内容を記載させて頂きました。

少しでもお役に立つようでしたら、幸いです。

今回の報告は以上です。次回からはまた別テーマで報告させて頂きます。