諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです
今回は、「激甚災害」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■激甚災害って何? 激甚災害の基礎知識
近年、激甚災害という言葉を
よく聞くようになってしまいました。
元々災害の多い国ではありますが、
地震・台風・集中豪雨などの被害が
特に多くなってきている気がします。
万が一の時に備えて、
激甚災害の基礎知識について
まとめてみたいと思います。
●激甚災害(げきじんさいがい)とは
地震や風雨などによる著しい災害のうち、
国民生活に著しい影響を及ぼし、
被災地域や被災者に助成や財政援助を
特に必要とする災害のことです。
激甚災害は政令で指定され、
大きく2つに分類されます。
1つ目は、日本列島を縦断するような大型台風や
東日本大震災・熊本地震のような大地震など
全国的に大きな被害をもたらした
災害を指定する「激甚災害指定基準による指定(本激)」
2つ目は、集中豪雨などの居所的な災害で
復旧費用が必要になった
市町村単位で指定する「局地激甚災害指定基準による指定(局激)」
●激甚災害は誰がどうやって決めるの?
昭和37年に施行された激甚災害法に基づいて、
内閣総理大臣が指定・適用措置を決定し、
政令として公布・施行されます。
このとき、学識経験者や
専門家・有識者などを加えた
中央防災会議の意見を聞くこととされています。
(災害対策基本法 第11条)
また、激甚災害に指定する基準は、
中央防災会議が過去に定めた
「激甚災害指定基準」
「局地激甚災害指定基準」
に基づいて判断されます。
これらの基準は、主に災害による被害総額が
被災地の地方自治体が自由に使える税収入
(標準税収入)の一定割合を超えるかどうか等
を基準に判断されます。
そのため、災害が発生すると、
まず自治体が被害総額を
まとめる必要があるわけです。
その後のフローは次のようになっており、
自治体から報告された
被害状況の調査結果を基本として
客観的に判断されるようになっています。
大きな災害があるとテレビのニュースなどで
自治体の職員が被害状況を
調査している様子が映されますが、
これは被害額を見積もっているわけですね。
●どんな災害が指定されてきたの?
具体的には次のような災害です。
- 平成28年熊本地震(本激)
(平成28年4月14日以降の熊本県等を進言とする地震) - 平成28年に発生した梅雨前線及び台風第 16 号による災害(局激)
(平成28年6月6日~7月15日まで豪雨による災害)
高知、静岡、徳島、長野、熊本、宮崎、鹿児島の一部地域 - 平成28年に発生した暴風雨及び豪雨による災害(本激、局激)
(平成28年8月16~9月1日にかけての台風7号、9号、10号、11号)
北海道、岩手県の一部地域
主に地震・台風が中心となっていますが、
最近は梅雨前線が長期停滞したことによる
集中豪雨で河川の氾濫や土砂崩れなど
様々な形で災害が発生しています。
こうした最近の災害に対しても適切に適用されてきています。
詳しくは、こちらでご確認ください。
参考)内閣府:過去5年の激甚災害の指定状況一覧 http://www.bousai.go.jp/taisaku/gekijinhukko/list.html
●激甚災害に指定されるとどうなるの?
激甚災害に指定されると、国庫からの補助率が
通常の7~8割程度から
最大9割程度まで引き上げられます。
これにより、公共土木施設や農地、
中小企業などに関する事業が
補助されることになります。
その概要は、次の図の通りです。
具体的には、道路、河川、学校、図書館、
被災者住宅などの復旧・建設事業、
農地や水産業施設の復旧事業、感染予防事業など。
また、被災地の中小企業、農林漁業者への
特別な貸付制度や災害保証の優遇制度も設けられます。
●被災者への助成はないの?
一番気になるのは、
やはり被災者個人への助成ではないでしょうか。
もちろん被災者のためにも様々な制度があります。
具体的には、家族に死傷者があった場合の
災害弔慰金・見舞金、各種税制の特別措置、
住宅再建の各種制度など多岐にわたります。
詳しくは、こちらでご確認ください。
参考)内閣府:被災者支援に関する各種制度の概要 http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf
ちなみに、激甚災害指定の有無
による影響は、ほぼありません。
激甚災害指定されていようがいまいが、
決められた手続きを行えば
適切な支援が受けられます。
●やっぱり激甚災害指定は急いだ方がいいよね?
ニュースなどを見ると、
「激甚災害指定を早くしろ」
と野党が騒いでいる光景を見ますが、
激甚災害指定が早いと
何か良いことがあるのでしょうか?
実際は、ほとんど変わりありません。
そもそも激甚災害の国庫からの助成は、
通常の補助金等をかさ上げする制度ですので、
原則年度末に交付されることになります。
ですから、どれだけ急いでも
お金がすぐに手に入るわけではありません。
また、激甚災害指定は
法律に基づいて速やかに実施される
ことになっていますが、
災害終息後10日以内に概算被害額、
1ヶ月以内に確定報告を
被災地の自治体が行う必要があります。
被災地の自治体は様々な対応で
テンヤワンヤでしょうから、
これを更に早めるというのは
さすがに酷ではないでしょうか。
●一番大切なのは?
どのような災害が発生したとしても、
その時に的確な対応ができるかが一番大切です。
そのためには、災害が発生してからの助成金ではなく、
事前に被害を最小化するための
予算付けではないでしょうか。
集中豪雨での河川氾濫や土砂崩れで
死傷者が出たケース等では、
しっかりと対策できていれば
防げたケースも少なくないでしょう。
ですが、現実はそうしたところには
予算が回っていないのです。
例えば、次のニュースを見てください。
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小中6割、避難所に使えず…老朽化で15年後
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170806-OYT1T50022.html
読売新聞 2017年8月6日
全国の公立小中学校の校舎や体育館の約6割が、
今後15年間で災害時の避難所としては
使用できなくなる可能性があることが分かった。
老朽化への対応が遅れているためだが、
このところの地震や豪雨災害などで
避難所の使用頻度は上がっており、
政府や自治体の対応が急務になっている。
文部科学省によると、2016年4月の時点で、
公立小中学校の校舎や体育館などの施設
(床面積1億5795万平方メートル)の14%
(2268万平方メートル)が築45年に達し、
このうち81%(1840万平方メートル)が改修されないままだった。
文科省では過去の実績から、築45年を建て替えの目安としている。
31年度には、1970年代前半の第2次ベビーブームに
対応するために建設した施設が、一斉に更新時期を迎え、
全体の約67%(1億643万平方メートル)が築45年以上となる見通し。
文科省はこのほど「現状のまま改修が進まなければ、
約57%(9078万平方メートル)で老朽化対策が
実施されない可能性がある」との試算を示した。
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熊本地震を思い返すと、避難所がダメージを受けて
車中泊でしのいでいた光景が記憶に新しいところです。
その際も、避難所となる学校や体育館の老朽化が
一番の問題だとされていました。
そして、このニュースが示す通り、
全国的に災害時に住民が避難する場所すら
確保できていないのが実態なのです。
そうしたことを事前に防ぐために、
もっとも大切なのは災害防止に向けた
公共事業と言えそうです。
ですが、公共事業は必要以上に悪印象が
植えつけられてしまっており、
その結果が「避難所すらない」という状況を
作り出してしまった気がします。
そういう意味では、やはり政治に
しっかりと関心を寄せて
声を出すことも大切なのかもしれません。
最後に、災害に対する備えは、ご家庭でもできることがあります。
これを機会にぜひ備えてみるのはいかがでしょうか?
参考)災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~(内閣府) http://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
それでは、今週の報告は以上です。
次回も宜しくお願い致します。