こんにちは!諜報部長!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

今回のテーマも前回に引き続き、
「仮想通貨関連」
に関してのお話です。

仮想通貨に関する内容は、
昨年後半の価格高騰以降、
利益・税金の計算、申告等について
応対する必要のある人が増え、
お問合せが増加した分野です。

今回のテーマでは、
その「仮想通貨関連」の
よく頂くお問合せ内容について、
まとめていきたいと思います。

■仮想通貨関連でよくあるお問合せ-②節税方法は?

前回は一番多かった質問は?ということで、
「自分は税金納める必要があるの?」
「確定申告しなければならない?」
というような、自らが課税対象となるかを
確認する質問に対してのお話をしました。

含み益・含み損を確定する取引内容は、
昨年12月の国税庁からの情報提供(※)で、
ある程度明確になったのですが、
それ以前は不確かな情報がネット上に回っていたり、
税務署側でも明確な回答が得られなかったり、
という状況でもあったこと、
さらに、昨年12月に情報提供がなされたとはいえ、
未だにその基準についご存知でない方も多くいる
現状であること等に触れました。

国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

今回は自らが課税対象となるかを確認する内容
に負けず劣らず多い問合せである、
「節税要望」に関するものです。

●節税の要望が出る背景

まず、大前提としてお話をさせて頂くと、
ここにおける仮想通貨関連の話は、
「個人」名義で仮想通貨保有・取引実行を
されているということで話を進めていきます。
「法人」名義でとなると全く話は変わりますので、
ご注意ください。

昨年後半の仮想通貨高騰により、
多くの利益を得た人がいらっしゃるのは
前回お話した通りです。

そして、利益が出ると避けられないのが
納税ということになります。
多額の利益には多額の納税がつきものですので、
「節税!!」
という要望が出てくるのは、
背景としては当然ご理解頂けるのではないかと思います。

そして、さらにそれを後押ししたのが、
仮想通貨関連の所得は基本的に
「雑所得」に分類されるということになっているからです。

●雑所得とは?

雑所得は、個人の所得区分の一つで、
以下のような特徴があります。

【雑所得の特徴】

  • 所得金額は総合課税
  • 他の所得との損益通算ができない
  • 損失の繰り越し(越年)ができない

⇒主だった特徴は上記3点です。
ざっと説明すると、
雑所得の金額(申告分離課税対象は除く)は、
最終的な所得計算時に、他の所得(給与・事業等)の
所得金額と合算される対象になるのが、
総合課税です。
ただ、他の所得と損益通算が出来ないので、
雑所得のマイナスが出た場合は、
他の所得(給与・不動産・事業所得など)の
プラス分と相殺できません。
さらに相殺できないというだけでなく、
マイナス分を次の年にも繰り越せません。

要は、

  • プラスが出た場合は、他所得と合算して計算
  • 雑所得のマイナスは他所得と差引不可
  • マイナス分は翌年以降の繰越不可

ということです。

特徴と書きましたが、いいことはほぼ無いです。
「雑」所得と記載する通り、
基本的には副次的なもの、継続性のないもの、
という所得の位置づけのため、こうなってしまいます。

●所得税の最高税率対象に!!

仮想通貨の取引益が雑所得に
分類されたことにより、
個人での仮想通貨取引を行う人は、
「通常の収入(給与や事業等)」に
「仮想通貨取引の利益」が
純粋に上乗せされるという形になりました。

その結果、インターネットでは、
「最高税率の対象になる!」
「最大で55%も税金取られるぞ!」
という話が出ました。

それの元が下記の所得税率です。

 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

この表にある通り、年間4,000万円超の所得で
所得税率は45%となります。
上記にあった、55%というのは
住民税(地方税)は一律10%という計算の為、
それまで加味した場合の話です。

計算方法としては、
「所得金額×税率-控除額」
となります。

●現実的に節税は厳しい

ここまでの状況をご覧頂くと、
「節税!!」
というご要望が出るお気持ちが
より、お分かり頂けると思います。

ですが・・・
残念ながら雑所得に分類される現状では、
節税の方法というのは
はっきり言ってほぼ存在しません。

経費を加えようにしても、
雑所得側に分類できるものは、
仮想通貨取引に直接的に関わるものだけ
になってしまいますし、
他の所得側に参入する経費はいくら増えても、
雑所得の金額には影響がありません。

「ほぼ」と申し上げたのは、
利用するにも限度がありますが、
ふるさと納税のような寄付は可能なので、
返礼品次第では・・・
という程度の話です。

お問合せを頂く場合に、
「節税したい!!」
ということで税理士さんに
期待を寄せる方もいらっしゃったのですが、
「個人で利確した後」
にご相談頂いたとしても、
そこからはもうどうにもならない
というケースが多いのが実情です。

ですので、税金のコントロールや経費算入、
損失が出た際の繰り越し等を考える場合は、

  • 個人事業として届けて活動する
  • 法人化する

といったことを考慮する必要あります。

ということで、今回はここまでで、
次回は同様のテーマで、
「事業化・法人化」に関する
お問合せ関連や実情について
まとめていきます。

仮想通貨を保有されている方、
現段階(2018年7月初旬)時点では
あまり通貨価格も高くないので
これから参入しようと思っている方は、
是非、積極的に情報を収集する意識を
持って頂ければと思います。

その上で、自力での申告は難しい、
利益計算は厳しいという方は、
税理士にご依頼ください。

ただ、現段階では、
仮想通貨に関わる申告応対は、
応対事務所が限られているので、
是非こちらに相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

また、次回宜しくお願い致します。