諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは
前回に引き続き「消費税増税」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■消費増税でポイント還元!? どゆこと?
前回、消費増税の実施時期について、
まとめましたが、早速新たな動きがあったようです。
どうやら政府が消費増税の影響を抑えようと、
なにやら変わった対策を検討しているようです。
まとめてみます。
●政府が消費増税の緩和策を検討
まずは、ニュースからです。
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消費増税時、中小店で2%分還元 政府検討 キャッシュレス客対象、ポイントで
2018/10/1 1:30日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35935000Q8A930C1MM8000/
2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げにあわせ、
政府が検討している経済対策の骨格が分かった。
中小小売店での商品購入時、クレジットカードなど
キャッシュレス決済を使った消費者に対し、
購入額の2%分をポイントで還元する。
中小によるキャッシュレス決済の導入拡大にもつなげる。
住宅では改修にかかる費用の一部を
補助する制度をつくることなどを打ち出す。
政府・与党は対策を19年度予算案に盛り込む。
14年4月に税率を5%から8%に引き上げた際、
消費の落ち込みで景気に大きな影響を与えた反省を踏まえ、
年末の予算編成で具体案や規模を検討する。
増税後の消費減退を回避し、
増税前の駆け込み需要や反動減を抑える。
2%分のポイント還元はクレジットカードや
電子マネー、QRコードなどの
キャッシュレス決済が対象となる。
このうち金融機関の口座から
引き落とすタイプのカードや
スマートフォンによる決済サービスに適用する案が有力。
19年10月から数カ月間に限る方向だ。
8%から10%への増税分について、
ポイントを発行するカード会社などを通じて還元し、
会社の負担分を国が補助する。
制度設計が複雑になるのを避けるため、
増税後も8%に据え置く軽減税率が適用される
食料品などの購入もポイント還元の対象とする見通しだ。
中小企業庁によると、中小の小売業と
宿泊業・飲食サービス業は120万超。
中小企業基本法は資本金が5千万円以下
または従業員数100人以下(小売業は50人以下)を
中小と定義しているが、どこまで補助対象にするかは今後詰める。
中小事業者の店舗に限るのは、
増税で予想される消費の落ち込みの影響を受けやすいため。
中小はカードの運営会社に支払う手数料や
端末設置に伴う負担が重く、
キャッシュレス決済も広がっていない。
国内の決済比率も2割にとどまるが、
中小に限れば一層低いとみられる。
増税時のポイント還元措置を
中小の導入の呼び水にする。
必要な端末も配布する方針で、
19年度当初予算に盛り込む関連費用は
数千億円規模になる可能性がある。
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来年度の消費増税の影響を抑えようと、
政府与党が動いているようです。
表に出てきたその内容は、
記事にあるように
「中小の小売店でキャッシュレス決済した場合に2%分のポイント還元する」
というものですが、個人的には、
かなり筋の悪い政策のような気がします。
●ポイント還元制度で喜ぶのは・・・?
現段階で判明している内容ですと、
消費者からは10%分の消費税を取り、
2%分をポイントで還元。
その2%分のポイントは
国が税金で補てんすることになっています。
少し細かく見るために、
各立場でお金の動きに注目してみましょう。
- 消費者:消費税10%を払い、2%分のポイントをもらう
- 小売店:消費税10%をもらい、その10%分を納税する。また、決済手数料を支払う。
- 決済会社:2%分のポイントを発行し、その2%分の金額を国からもらう。また決済手数料をもらう。
- 国:消費税10%を徴収し、2%ポイント分の費用を決済会社へ支払う。
おわかりでしょうか?
この制度は、中小小売店への配慮を
しているように見えますが、
実際は逆に手数料分の負担が増えてしまうのです。
一般的に、
クレジットカード決済などの手数料は
約4~7%程度で、
近年普及しているスマホ決済などでは
約3%前後となっているようです。
つまり、中小小売店は消費増税2%分以上に
重い負担が増えることになってしまうのです。
もしかしたら、中小小売店からは
手数料を取らない等の策が
とられる可能性もありますが、
その場合の手数料負担は、
税金で補てんされるか、
決済会社が負担するかになるでしょうが、
いずれにしても膨大な金額になるはずです。
下手をすれば、消費増税分の税収の大半が
決済手数料に消えるといった事になりかねません。
一方、消費者には2%分のポイントが還元されますから、
お得だと思う方もいるかもしれません。
ですが、還元されるのは、現金ではなくポイント
であることに注目してください。
一般的に、クレジットカード会社や
決済会社が発行するポイントは、
有効期限があり失効するものがほとんどです。
※一部、無期限で有効なポイント制度もあります。
1ポイントずつ無駄なく使えるものであれば良いですが、
一定ポイント集まらないと使えなかったりすることも多く、
一般的なポイントの失効率は、
年間5%~10%程度と言われています。
失効したポイント分は、
消費者がその分の損をし、
決済会社は丸儲けになるわけですから、
決済会社にしてみれば、
こんなにおいしい制度はないわけです。
ちなみに、小売店の総売上は約140兆円、
そのうち中小割合が約65%とすると約91兆円。
その消費税2%分の約1.8兆円がポイントに変換されてしまうわけです。
つまり、この制度は消費者から税金を集め、
その分のポイントを決済会社から
税金で買っていることになるわけです。
得するのは決済会社のみで、
消費者・小売店は損をするだけの制度と言えそうです。
さらに付け加えるなら、
このポイント制度を来年10月までに
全国規模で導入できる企業は、極わずかでしょうから、
そうした企業への恣意的な斡旋を疑いたくなるレベルです。
個人的には、最近見た政策の中で、
ここまでの下策はそうないと思います。
ではなぜ、こんな案が出てきているのでしょうか?
●こんな案が出てきている理由
このような下策がリークされている直接的な理由は、
いわゆる「観測気球」でしょう。
「観測気球」とは、
政府が検討している案を
マスコミなどを使ってリークし、
国民の反応を見るためのものです。
ですから、この案を必ず実行するわけではなく、
あくまでも反応を見るためのものだと思います。
ですが、この案が出てきた背景から、
政府の考えが多少なりとも読み取れます。
1つ目は、消費増税は予定通り行おうと考えていること。
2つ目は、消費増税の景気冷え込みを懸念していること。
それもそのはず、実は2014年4月の消費増税
(5%→8%)の際に冷え込んだ個人消費は、
2018年7-9月期でようやく実施前の水準に近づいてきた状況です。
つまり、前回の消費増税は約4年半もの間、
個人消費を冷え込ませていたわけです。
当時は、「増税の影響は半年程度で回復する」等と
言っている専門家が多くいたことを考えると、
想像以上の打撃だったことになります。
そういう意味では、今回はその二の舞に
ならないように配慮しようとしているのでしょう。
ですが、まだこの程度の策で
反動減を抑えられると考えていることも
わかりますから、認識の甘さが伺えます。。
●その他の反応
こうした与党の動きに対して、
野党側も早速反応を見せ始めています。
立憲民主党の枝野代表は
「消費税をいま上げるだなんて、
この社会経済状況でとても考えられない。」と、
大方の予想通りの政争の具にしていくようです。
一方、国民民主党の玉木代表は、
先般の代表選の際に「予定通り実施すべきだ」
と見解を表明しています。
維新の会、共産党、自由党、社民党は、
昨年の衆院選の際に消費増税に反対の姿勢
を示していましたから、おそらく今後も同様の反応を見せるはずです。
総じてみると、野党側はほぼ消費増税反対の姿勢で
今後の国会や2019年の参院選に挑んでいくことになりそうです。
一方の新聞各紙は、多少ポイントが異なりますが、
総じて「消費増税すべき」としているのが面白いところです。
朝日新聞は、社説で『国民が求めるのは「将来不安の解消」だ』とし、そのために消費増次税をするべきとしています。
読売新聞は、「社会保障制度の構築は先送りできない」とし、負担増を伴う制度改革は避けて通れないと論調です。
産経新聞、日経新聞、毎日新聞、東京新聞も同様で、消費増税は大前提で、その上でまだまだ不足する財源をどう確保するかに焦点をあてています。
普段は様々な論調で特色を出している新聞各社ですが、消費増税に限っては「賛成で統一」されるのは極めて不自然な気がします。
一説には、「裏で財務省が操っている」とか、
「新聞は軽減税率が適用されるので、
消費増税しないと効力が発揮されない」などの
憶測を呼んでいますが、
何らかの意図が働いているのは間違いないでしょう。
いずれにしても、消費増税10%まであと1年を切りました。
予定通り実施されるのかどうかは、
国民世論が大きな影響を与えることになるのは間違いないでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
来年の消費増税については、
まだまだ具体的な議論が不十分な状況です。
軽減税率の適用範囲一つとってみても、
「コンビニで持ち帰った場合は8%で
飲食した場合は10%適用」などと
財務省が方針を示したため、
ファーストフードチェーンや
一部の飲食店などから
猛反対の声が上がっているなど
準備不足感が如実に表れています。
このような状況で、本当に来年10月に
消費増税することになるのでしょうか。
前回記事でもまとめた通り、
ここから年末にかけてが
方針を決定する時期になるでしょうから、
ぜひ今後の動向に注目してみてください。
それでは、また次回宜しくお願い致します。