お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは
「デジタル税」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■英国で「デジタル税」導入 日本はどうなる?
先月末、イギリスで新しい税制
「デジタル税」の導入が発表されました。
これはハイテク大手企業を狙い撃ちにする
新たな税制で、先進国では始めて。
EUでも同様の制度の検討が進んでいる中、
日本はどうするのでしょうか?
まとめてみます。
●「デジタル税」導入の潮流
まずはニュースからです。
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英「デジタル税」導入へ 先進国で初、グーグルやFBが標的
2018年10月30日 ウォールストリートジャーナル
https://jp.wsj.com/articles/SB12084115756306144134604584562272353409270
【ロンドン】英国のフィリップ・ハモンド財務相は29日、
ハイテク大手を標的とする新税制を
2020年にスタートすると発表した。
先進国で初めて「デジタル税」を導入する。
経済活動がオンラインへと移行する中、
米アルファベットやフェイスブックなどが
海外の拠点から自国に向けて提供する
オンラインサービスに対する新税を検討している国は多い。
ハモンド財務相は英議会での予算演説で
「デジタルプラットフォーム事業を通して
英国で大きな利益を上げながら、
そうした事業に関して税金を英国で支払わないのは
明らかに持続可能ではなく、公平でもない」と指摘した。
その上で、新税の対象となるのは
世界売上高が5億英ポンド(約720億円)以上の
事業部門のみで、新税導入による収入は
年間4億ポンドとなる見通しだと述べた。
英国が新税を正当化する説明を始めたのは17年11月。
ハイテク企業がデジタルサービスのユーザーを活用し、
広告業者など顧客に販売する商品を
作り出していると主張してきた。
そうした論点は欧州連合(EU)にも影響を及ぼし、
EUは独自の税制案を検討している。
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Google、Apple、Facebook、Amazonの
頭文字を並べた造語「GAFA」が
今年の流行語大賞にノミネートされたそうです。
英国の「デジタル税」導入は、
このGAFAを狙い撃ちにした税制だと言われています。
GAFAをはじめとする巨大なネット企業が
「税金逃れ」をしているという問題があるためです。
一般的に、ある国内で多額の売上をあげているが
その国内に主要拠点がない企業は、
ほとんどの国で課税されません。
この考え方は、「恒久的施設」という
国際税務の専門用語で、
一般的に「PE」(Permanent Establishment)
と略称されており、
「PEなければ課税なし」
というのが国際課税における
基本的なルールになっています。
世界的に展開をしている巨大なネット企業は、
このルールを逆手にとって、
最も税制が優遇される国に拠点を移し、
“節税”をしているという現実があります。
例えば、Googleの本社は
米国・シリコンバレーにありますが、
収益はアイルランド・ダブリンに集中させています。
アイルランドの法人実効税率は約12.5%で、
米国約21%(日本は約30%)と比べ
大幅に節税できるというわけです。
これは近年話題になった
「タックス・ヘイブン(租税回避地)」
の象徴的な問題です。
タックス・ヘイブン自体は違法ではないのですが、
巨額の売上をあげているにも拘らず納税しないというのは、
国民感情的に納得いかないでしょうし、
国内企業との競争という観点から見ても
不公平であるという指摘も根強くあるわけです。
そうしたこともあり、
「どのようにして巨大なネット企業から税金をとるか」
が検討されてきた結果、
英国が率先して一つの結論を出した
と言うのがこのニュースです。
●日本はデジタル税にどう対応するのか?
デジタル税は、元々EUで検討が続けられてきたものでした。
ですが、EUには加盟国にGoogleやAppleなどの
収益拠点を擁するアイルランドがいるため、
なかなか話がまとまらなかったのです。
そのため、英国が先行して導入を
発表することになったわけです。
EU離脱問題があるのでEUへの当てつけ
の気がしないでもないですが・・・
いずれにしても、
巨大ネット企業への税逃れへの対策は、
国際的に問題とされてきました。
G20とOECDは2013年に
「税源浸食と利益移転への取り組み」として
「BEPSプロジェクト」を設立し、
日本が議長国となり、
2015年に最終報告が取りまとめられました。
参考)BEPSプロジェクトー国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/beps/index.htm
ですが、そこでは具体的な対応策を
まとめることができず、
方向性を提言するのみに留まった経緯があります。
その背景には、巨大ネット企業を
多数抱える米国はデジタル税に反対、
中国もアリババなどのIT大手を抱えているため
慎重姿勢であったことの影響が大きいのは間違いないでしょう。
このように国際的には賛成と反対が対立する中で
議論が展開しているような状況にあります。
そうした中、日本でも少しずつ対策が進んできています。
2015年に海外ネットサービスに
消費税が課されるよう税制改正されたことも
記憶に新しいのではないでしょうか。
参考)海外ネットサービスに消費税が!2015年10月から適用! https://www.y-chohobu.com/archives/269
また、平成30年度税制改正で、
恒久的施設(PE)の定義についての見直しを行い、
人為的回避に対応するため、
PEの定義・解釈を見直すことになっています。
※平成31年度分以降の所得税・法人税に適用
これによって、GoogleやAppleから
しっかりとれるようになるのかは
定かではありませんが、BEPSの議長国として
少なからず前向きに取り組んできているようです。
このように巨大ネット企業への対応は、
各国の立場や対応が異なるため
難しい問題となっていますが、
米国や中国に流されずに、
日本が率先してしっかりと対応を
進めていってもらいたいところです。
ということで、今回は以上です。
また次回、宜しくお願い致します。