お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは
「税制改正大綱」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■税制改正大綱決定! 消費増税へ配慮も?
注目されていた2019年度与党税制改正大綱が決定しました。
消費増税を来年に控え、
一体どのようなものになるか注目を集めていましたが、
その中身はかなり消費増税後の景気落ち込みに
配慮したものになっているようです。
まとめてみます。
●与党税制改正大綱決定 車・住宅1670億円減税へ
まずはニュースからです。
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住宅・自動車関連 1,670億円減税の見込み
2018年12月7日 金曜 午後10:25 FNN PRIME
https://www.fnn.jp/posts/00407780CX
自民・公明両党は、2019年度の
与党税制改正大綱を正式に決定した。
住宅と自動車関連では、
あわせて1,670億円の減税になる見込み。
自民党の宮沢税調会長は、
「なんとか所期の目的に沿うような形で、
まとめられたのかなという印象を持っている」
と述べた。
与党税制改正大綱は、
2019年10月に予定されている
消費税率引き上げにともなう反動減対策として、
住宅ローン減税の期間を
10年から13年に延長することや、
車の保有者が毎年支払う、
自動車税の恒久的な減税などが
大きな柱となっている。
全体の増減税額は精査中だが、
住宅ローン関連でおよそ1,140億円、
自動車関連でおよそ530億円の減税になる見込み。
また、地方法人課税では、
東京都と地方の税収格差を是正するため、
都から地方への再配分額を
およそ4,200億円上積みした。
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全体を俯瞰してみると、
消費増税での消費減衰を恐れて
様々な形で対策を講じたため、
迷走している感のある内容となっています。
まずは、消費増税対策として挙げられる
自動車・住宅ローンへの減税政策ですが、
総額1670億円相当が減税となるようです。
ですが、その恩恵を受けるのは、
自動車や住宅を消費税10%適用で
購入した人のみであり、
そうした人は比較的富裕層であることから
格差拡大に繋がるとの見方が出始めています。
こうした批判に繋がることは
与党も予想できたはずですが、
消費増税前の駆け込み需要が最も激しい
自動車・住宅に焦点をあててしまった
ということではないでしょうか。
また、法人向けの制度としては、
中小企業税制や事業承継支援、
研究開発税制などが決定されています。
いずれも、法人の税負担を軽減するものですが、
個人の懐が厳しい中で
法人ばかり優遇するとの批判が
出てくるのも必至でしょう。
では、なぜ法人の税制優遇措置が進むのでしょうか。
●今回の狙いは、企業マインドの変化?
法人の税制優遇が進められる理由は、
安倍政権の基本的な考え方にあります。
安倍政権は、これまでデフレ脱却や
財政再建を実現するために、
次のようなステップを見込んでいました。
- ①企業業績の改善
- ②投資の拡大
- ③賃金の増加
- ④消費拡大
- ⑤税収増加
- ⑥財政再建
です。
この順番で着実に進めることができれば、
景気回復と財政再建が同時に実現できるはず
だと考えていました。
そのため、まず①を実現するために、
金融緩和でデフレマインドを払拭しつつ、
輸出拡大などを狙い、機動的財政出動で
企業への仕事を増やすつもりでした。
ところが、実際は金融政策は成功したものの、
財政出動が不発に終わったために
輸出を行っている大企業の業績だけが好転し、
中小企業への十分波及しなかったわけです。
加えて、民主党時代から時限立法的に機能していた
消費増税を実施する必要があったため、
常に財政再建や社会保障を考慮することになってしまいました。
その結果、①を実現する前に、
⑤⑥を実現しようと動き出してしまったのです。
来年度の税制改正大綱を見ると、
冒頭の基本的な考え方にこのように書かれています。
「デフレ脱却・経済再生を確実なもの
とすることが必要であり、そのためには、
企業が収益の拡大を賃金上昇・雇用拡大や
設備投資の増加につなげることが重要である。
企業経営者がマインドを変え、
賃上げや手元資金を活用した投資拡大などに
積極的に取り組むことを期待する。」とあります。
参考)自民党 平成31年度税制改正大綱 https://www.jimin.jp/news/policy/138664.html
つまり、現在はまだ②投資拡大をするべき時であり、
そのためには経営者のマインドを
変えなくてはならないとしているわけです。
では、その経営者たちは
どのように見ているのでしょうか。
●経済界は歓迎ムードだが・・・
経済界へ大きく配慮がされた内容ですので、
当然経済界は歓迎ムードのようです。
経団連の中西宏明会長は、
自動車や住宅への需要平準化対策や
法人税の研究開発税制の拡充などへの措置に対して
「歓迎する」とコメントを出しています。
経済同友会の小林喜光代表幹事は、
減税措置を「前向きに受け止める」とする一方で、
「政府は財政負担の総額を明らかにし、
施策の費用対効果や財政健全化の目標との
整合性を国民に説明すべき」と注文を付けています。
日本商工会議所の三村明夫会頭は、
中小企業向けの設備投資減税や研究開発税制の拡充、
個人事業者の事業承継税制の創設などについて
「評価したい」とコメント。
一方で、「一連の消費税対策について
わかりやすい広報を徹底することが重要」と、
消費増税への国民の理解が十分でないことを指摘しています。
参考)経済団体のコメント 経団連:平成31年度与党税制改正大綱に関する中西会長コメント http://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2018/1214.html 経済同友会:2019年度(平成31年度)税制改正大綱について https://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/comment/2018/181214_1633.html 日本商工会議所:平成31年度与党税制改正大綱に対する三村会頭コメント https://www.jcci.or.jp/cat298/2018/1214112525.html
このように、総じて減税政策を歓迎していますが、
賃金について言及している団体は1つもありません。
与党が求めていたはずの
「経営者のマインドを変えて賃上げに踏み切る」
と考えているところは皆無
と言ってよいのではないでしょうか。
むしろ、既に決定された
改正入管法による外国人労働者を
心待ちにしている感がありありとしています。
外国人労働者の受け入れ拡大は、
確実に賃金引き上げや
設備投資を抑制する効果を生み出します。
つまり、今回の税制改正では
結果的に法人が優遇され、
投資や賃上げに回らず、
そのしわ寄せが個人にいくことになりそうです。
以上、いかがでしたでしょうか。
注目の税制改正大綱でしたが、
ふたを開けてみると政策がチグハグで
迷走している感が否めないものとなっています。
秋口頃からかなり怪しい空気が漂っていましたが、
やはり・・・という感じです。
そもそも消費増税による増収は1.3兆円を見込み、
来年度の税収は62.5兆円、過去最高を更新する
ことになると言われるほど国民の懐から巻き上げることになるわけです。
来年度は皇太子さまが即位され改元される年に、
歴代の天皇が気にしていた
“民のかまど”から火を消すような税制
が進められるのは、なんとも皮肉な話ではないでしょうか。