こんにちは。
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
さて、前回に引き続き今回のテーマも、
「税理士事務所の変化」
に関してのお話です。
インターネットの普及や通信速度の向上、
さらには各種の最新技術によって、
多くの企業で働き方やサービス内容が
変化してきていますが、
それは税理士業界にとっても、
別世界の話というわけではありません。
ということで、
近年変化してきた税理士事務所
について、お話していきます!
■税理士事務所の変化-②事務所のスタンス
前回は税理士事務所の中でも
導入している所が増加している
システムやITツールについてお話しました。
具体的には、クラウド会計、
チャットツール、クレジット決済を
例として挙げさせて頂きました。
ただ、ご注意頂きたい点として、
こういったシステムやツールは、
対面して打ち合わせすることの代替方法であり、
お会いすること自体には
別の意味が存在する、
ということも触れました。
今回は前回の内容を踏まえ、
システム・ツールの利用によって
「変化していく事務所のスタンス」
についてお話をしていきます。
●所長の方針次第で大きく変化する
関与先の業態や規模によって
業務の詳細は変化しますが、
大きく分類分けをすると、
税理士事務所が関与先に対して
提供するサービスというのは、
- 税務書類の作成、提出や申告代行
- 会計(記帳)のフォロー、代行
- 税務調査対策、対応
- 税務や財務(資金繰り)、経営相談
といった所が中心で、
今も昔も大きく変わっていません。
税理士事務所の規模の大小にかかわらず、
基本的には上記のサービスを提供しています。
ただし、現在と一昔前で変わってきているのが、
サービスの提供方法です。
コンピューターが非常に高額な時代は、
手書きにそろばんが中心でした、
そして、計算機が一般的になり、
現在では、パソコンと会計ソフトの利用が
当たり前になっています。
コミュニケーションツールも、
対面、電話、郵送だけという状態から、
FAXが利用され始め、携帯電話が加わり、
現在ではメール(電子メール)だけでなく、
SNSでやり取りする場合も増えています。
結局、昔も今も同じサービスを提供
しているのですが、
その提供方法が多様化している、
変化してきている、ということなのです。
このような提供方法の変化に関しては、
各事務所がどのような方法を採用するか?
という事にかかってくるわけですが、
税理士事務所毎に、どのようなシステム、
ITツールを業務上に利用するかの判断は
所長(ないしは幹部)が決定しています。
流石にこのご時世に、パソコン(やオフコン)を
業務上全く利用しないという事務所は
ほぼ無いと言ってもいいくらいだと思いますが、
メールやインターネットをほぼ利用しない、
という事務所も存在します。
それとは逆に、各種システム・ツールは
積極的に活用し、ペーパーレス事務所、
とすら言われる所も存在します。
このように、関与先企業が
税理士から提供されるサービス内容は
同じであったとしても、
税理士からの提供方法に関しては、
事務所毎に違いがあります。
そして、その違いに最も影響するのが、
税理士事務所の代表者の意向なのですが、
新たなシステム・ツールが
誕生し続けている現在においては、
新しいものを積極的に導入する事務所と
そうでない事務所で、
サービス提供の方法の違いは
今後も大きくなっていくと考えられます。
●大きく変わる可能性があるもの
前回触れた、クラウド会計や
チャットツール、クレジット決済等、
更にその他のITツール等を
積極的に活用すると、
他の企業でも起きているように
その税理士事務所で
諸々の変化が起きてきます。
では、具体的にはどのような
変化が起きていくのでしょうか?
税理士事務所側で変わる可能性のある
内容について、まとめてみます。
【人員数が増加しない】
各種のシステムやITツールを
積極的に利用した事務所で、
その導入や利用が上手く回りだすと、
税理士事務所側で一人当たりの生産性が
大きく向上することが想定されます。
となると、職員や税理士一人当たりで
担当出来る顧客数が増加しますので、
顧客が増えても人が増えない、
ずっと同じ人が担当してくれる事務所、
所長税理士が何年経過しても窓口に
なってくれるということになります。
※参照記事 税理士業界の求人・採用状況の考察-②生産性優先へのシフト
【在宅勤務】
ただ、職員1人対する業務量が多くなれば、
その条件に適した人員は退職してほしくないですし、
新しく採用するにしても、
システムやツールに対応できる人員を
重宝するはずです。
さらには、税理士の業界は女性が
働いている割合も多いので、
出産や育児等を考慮しなければならない
場合もあります。
ですが、インターネット、クラウド会計、
チャットツール等があれば、
在宅でも業務の従事が可能になります。
出産後の育児を行いながら、
家族の事情で会社から離れた所に
住んでいながら、
という勤務形態を認める事務所が
多くなってくるかもしれません。
【訪問無しの契約】
前回の記事では、特にチャットツール等は
訪問・対面打ち合わせの代替行為であり、
訪問しなければならないというケースもある、
という話に触れました。
ですが、税理士に関与を依頼する
全ての企業がそれを求めているか?
というと、そうでないのもまた事実だと思います。
毎年同様の売上、融資も検討していない、
ある程度固定化された支払・支出、
という状況の会社は多く存在します。
となると、この企業においては、
毎年言われることがほぼ固定化しているので、
わざわざ対面で助言頂かなくても大丈夫、
ということになるかもしれません。
それ以外にも、助言云々よりも、
会計記帳、申告書作成に重きを置いて
税理士さんと契約している人も
いらっしゃいます。
こういった方たちにとっては、
税理士がわざわざ訪問してきて
直接対面で打ち合わせするよりも、
それが軽微になることで、
税理士事務所への報酬が低下する方が
好ましいのかもしれません。
となると、税理士事務所とのやりとりは、
電話・FAX・メール・チャットツールだけで、
直接会って話すのは契約に含まれない
「訪問(対面)無しの契約」を
顧客の希望によっては勧めていくということに
なっていくのかもしれません。
【簡易業務を中心にしていく事務所】
ただし、上記の「訪問無し契約」は、
全関与先の中の1件だけ、
という状況だとあまり意味がありません。
他の関与先には通常応対しているのに、
その1件だけそのように応対するのは、
下手をすると事務所にとって
割高になるかもしれません。
とすると、訪問無しの契約を
推奨するような事務所においては、
- 会計記帳と申告応対の希望中心
- 業績や人員の変化も少ない
- 売上の低い個人事業主
といったお客様との関与を増やし、
比較的「簡易な業務」を中心に据えていく、
という方針に変化するかもしれません。
●事務所のスタンスは二極化するかも?
上記のように今後に関しては、
関与先との付き合い方の方針を
大きく変更する事務所が増えるかもしれません。
ただし、上記のようなサービス提供では
応対しきれない関与先も存在します。
- システムやツール利用が苦手な企業
- 税理士と頻繁にやり取りする大企業
- 訪問での打ち合わせを希望する企業
- 税務・会計以外の相談も多い企業
等々、対面でのやり取りが必要な企業も
多々存在します。
当然ですが、こういった企業に対しては、
どれだけツール導入や訪問無しの契約を
推奨しても納得することはありません。
そういうスタンスの税理士と
契約することは無い企業です。
となると、こういった企業・事業者に対して、
現段階で提供されているような
「訪問・対面」でのやり取りを中心とした
サービス提供を行う税理士事務所も
存在し続けるでしょうし、
そういった事務所では、「訪問・対面」での
やり取りだからこそ可能なサービス提供を
深化させていくかもしれません。
飲食店でもファーストフードのような店も
コース料理中心の店も存在します。
小売店でも低価格での提供を強みにする所と、
品質の良い高級品を揃えている所があります。
簡単には比較できないのかもしれませんが、
税理士事務所もこのように
サービスの方針や提供内容、価格という点で
今後は二極化していくのかもしれませんね。
さて、今回は以上です。
最終的には税理士事務所のスタンスも
二極化していく可能性に触れましたが、
どれを重視するか、
どの方針に歩みを進めるかは
その税理士事務所の代表者や幹部の
考え・スタンス次第です。
企業・事業者側としても、
依頼する税理士事務所の方針と
自社が希望するサービス提供内容、
そしてその方法が不一致だと、
残念ながら良好な関係は生まれないと思います。
現在付き合っている税理士、
もしくは付き合う税理士を選ぶ際に、
スタンスを合わせる重要性、
もしくはスタンスが合っている人を
選ぶ重要性をお考え頂ければ幸いです。
もし、そのスタンスや考え方の点で、
税理士をお探し、もしくは税理士変更を
ご検討される場合は、是非こちらにご相談ください。
税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/
また、次回宜しくお願い致します。