お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「月例経済報告」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

景気「緩やかに回復」!? 疑惑の月例経済報告

■景気「緩やかに回復」!? 疑惑の月例経済報告

消費増税の判断材料になるとして
注目されていた月例経済報告が発表されました。

その発表によれば、
景気は「緩やかに回復」とされ、
12年12月から依然として
景気回復は続いていると判断されたようです。

そうなると、気になるのは消費増税です。
景気判断が引き続き良いのであれば、
予定通り増税することになるはずですが・・・
どうやら潮目が変わってきているようです。

まとめてみます。

●景気回復「緩やかに回復」!?

まずは、ニュースからです。

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景気「緩やかに回復」維持、判断は下げ 5月月例報告

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45229010U9A520C1MM8000/
2019/5/24 17:34 日本経済新聞

政府は24日に公表した5月の月例経済報告で
「景気は緩やかに回復している」との認識を維持した。
雇用や企業収益などが引き続き堅調とみているためだ。
ただ米中貿易摩擦の「弱さが残る」とし
警戒が必要との考えを示した。

国内景気では、内閣府が13日に公表した
景気判断が6年2カ月ぶりに「悪化」に転じた。
この判断は生産関連の比重が大きい
景気動向指数から機械的にはじいたものだ。
結果を受けて政府が景気の全体感を示す
月例経済報告が注目されていた。

政府は第2次安倍政権が発足した後の13年7月以降、
月例経済報告では一貫して「回復」の表現を続けている。
茂木敏充経済財政・再生相は24日の記者会見で、
12年12月から続いているとみられる
戦後最長の景気回復について
「途切れたとは考えていない」と述べた。

今回の月例経済報告で
「回復」の認識を変えなかった理由は、
内需を支える雇用情勢や企業収益が堅調なことをあげた。
輸出や生産は「一部に弱さがみられる」から
「弱さが続いている」として総括判断を下方修正したが、
雇用情勢は「着実に改善している」、
企業収益は「高い水準にある」とする表現を継続した。

先行きは「一部に弱さが残る」とした
4月の報告から「一部に」を削除し、
「弱さが残る」に修正した。
念頭に置くのは米中貿易戦争の影響だ。

米国の対中関税引き上げで5月の報告が反映したのは
18年9月に始まった第3弾までだ。
第4弾の3千億ドル分が発動された場合の
影響は織り込んでいない。
貿易摩擦が激化すれば国内景気が
不安定になる懸念が高まる。
10月の消費増税を控え、
追加の経済対策が必要になる可能性もある。

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記事にあるように、5月24日の月例経済報告で
政府が「緩やかに景気回復している」
との判断を発表しました。

また、5月20日に発表された
2019年1-3月のGDP速報値では、
実質成長率0.5(年率2.1%)と
2四半期連続のプラス成長となったと発表。

大方は悪化するとの見立てでしたから、
全く予想の逆になったように見えます。

本当に景気は回復しているのでしょうか?

●本当は悪化している!

まずは、20日に発表された
1-3月のGDP速報値を確認してみましょう。

2019年1-3月GDP速報値(実質GDP成長率)

※引用元:内閣府

上記の表を見ると、2019年1-3月の
実質GDP成長率は0.5%で、内訳として
大半がマイナスを示しており(赤の網掛け部)、
民間住宅と公的固定資本形成(道路などの公共投資)
だけがプラスとなっています。

プラス要因に着目すると、消費増税前の
駆け込み需要の影響がある民間住宅投資、
年度末の追い込みで行われる公共投資のみで、
決してポジティブな要因で
プラスになっているわけではありません。

それにも関わらず、実質GDP0.5%成長
となった最大の理由は、輸出入にあります。

輸出入を見ると、輸出は-2.4%、輸入は-4.6%と
極めて大きなマイナスとなっています。
実は、どちらも大幅なマイナスなのに、
GDPにプラスに作用しているのです。

これを理解するためには、
GDPの計算式を知る必要があります。

GDPの計算は、次のように定義されています。

GDP=民間需要+公的需要+財貨・サービスの純輸出

この時の「財貨・サービスの純輸出」
を展開すると、次のようになります。

GDP=民間需要+公的需要+輸出-輸入

つまり、純輸出とは
輸出から輸入を引いたものと定義され、
輸出はGDPにプラス効果、
輸入はGDPにマイナス効果があるのです。

では、輸入が減少するとどうなるでしょうか。
マイナス効果のある輸入が4.6%も減少すれば、
GDPに対してプラスに作用してしまうのです。

つまり、今回発表のあった1-3月のGDP速報値は、
輸入が大幅な減少となったため、
見かけ上のGDPが上昇した
と言うのが、
真相と言えそうです。

一般的にGDPが成長していれば
当然輸入も拡大しますから、
輸入が減少しているという状況が
どれだけ国内景気が悪くなっているかが
容易に想像できるのではないでしょうか。

また、輸出が減少していることは、
国外の景気も悪化していることを意味します。

その原因として最も大きいのは、
米中貿易戦争でしょう。

大きな打撃を受けている
中国への輸出が目に見えて
悪化しているわけです。

実は、もう一つ重要なポイントがあります。
今回の発表のように外需・内需ともに不振で、
輸出・輸入が共に減少したのは、
過去10年間で2例しかありません

1つは、2016年4月の熊本地震。
被災で内需が減少するとともに、
サプライチェーンの瓦解で生産がストップし、
輸出に影響を及ぼしたケース。

もう一つは、2008年9月のリーマン・ショックです。
言うまでもありませんが、世界的な金融危機で
輸入・輸出ともに4四半期連続で減少が続きました。

つまり、今回の1-3月GDP速報値は、
リーマン・ショック級に悪化している
と見ることもできる
のです。

●政府の発表とは裏腹に・・・

こうした状況の中で、24日の月例経済報告後の会見で
茂木担当相は次のように述べています。

茂木担当相「需要・供給両面からみても、
内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしている。
現時点で景気回復が途切れたとは考えていない。」

さらに、今年10月の消費増税の予定については
「考え方は一貫して変わっていない」と述べています。

実は、月例経済報告で「景気回復が続いている」
と判断されるのは予想通りでした。

以前の記事で紹介していますが、
2014年の消費増税8%直後から
景気後退しているにも関わらず、政府はそれを認めず
「戦後最長の景気回復」と言い続けているのです。

参考)すでに景気後退してた!? 景気動向指数3ヶ月連続で悪化
https://www.y-chohobu.com/archives/4980

つまり、実質的に月例経済報告は形骸化しており、
実際の経済指標などと関係なく
政府の考えを発表する場に
成り下がっているわけです。実に酷い話です。

さらに輪をかけて酷いのが、
与野党の動きです。

経済動向とは全く関係なく、
夏の選挙の動向にしか関心がなさそうです。

自民党の二階幹事長は、22日に都内で講演し、
消費増税や憲法改正を争点にした解散について、
「消費税は解散の議題にしない方がいい。
これ以上、これでもかとこすりつけて
解散するのは愚の骨頂だ」と述べ、
さらに「国民が憲法に隅々まで熟知して
賛否を問うゆとりが今あるか。
にわかに憲法をテーマに解散するのは実際には難しい」
を全面的に否定しています。

ところが、その一方で
「解散の大義は1日あったらつける。
野党が解散と言ってきたときに
首相がどう決断するかだ。
首相が決断したら反対しない」と、
いつ解散しても大丈夫だ
と言わんばかりの発言もしています。

特に解散の信憑性を増したのが、
公明党の動きです。

公明党の太田昭宏前代表が、
次期衆院選で地盤の東京12区から立候補を見送り、
比例からの立候補で調整を進めると発表したのです。

衆院議員の任期満了まで2年を残す中での突然の発表で、
山口代表は「解散がどうかとか、
ダブル選挙のあるなしとは一切関係ない」
と誰も信じることがなさそうな発言をしています。

また、立憲民主の枝野代表は、衆院解散について
「衆院解散になるなら解散になっていい。
解散してもらわないと政権は代わることはない。
そういうことになれば望ましい。」
と準備不足が指摘される中、
必死に強がって見せているのが痛々しい状況です。

こうした一連の動きを見て、国民民主の小沢相談役は
『野党があまりにもふがいない。
「政権を代えるんだ」という言葉は、
現状ではむなしく響くだけだ。
野党がこのままであれば、たぶん官邸の主は
解散をしたくてむずむずしているでしょうから、
ダブル選(衆参同日選)になる可能性が
結構高いのではないか。』と
往年のフィクサーらしい指摘をしています。

このように政府側が勝手な解釈で
「景気回復している」と言い張り、
与野党は公約や争点などそっちのけで、
衆院解散・衆参W選挙になる
と踏んで色めき立っているのです。。

以上、いかがでしょうか。
こうなってくると、衆参同日選挙の可能性は
かなり高くなっていると言えそうです。

一方で、政権側が「景気回復が続いている」
とこのまま言い張るとすると、
消費増税が争点にならずに
W選挙という可能性もないとは言えません。

我々国民としては、選挙のタイミングでしか
意志を表明できませんから、
しっかりとこの推移を見守っていきたいところです。