お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「参院選2019:各党経済公約」
についてのお話です。
しっかりチェックしておきましょう!
■参院選2019 経済公約徹底比較
G20大阪サミットも無事終了し、
いよいよ参議院選挙の公示が目前となりました。
最近まで衆院も解散して「衆参同日選挙になるのでは…」
との憶測も一部でありましたが、
やはり予定通りに参院選のみとなりました。
各党の選挙公約もそろい踏みし、
これからしばらく参院選一色になりそうです。
そこで、今回は各党の選挙公約の中から経済対策に着目し、
徹底比較してみたいと思います。
●各党の公約が出揃う
各政党の選挙公約が出揃いました。
今回の参院選では、「改憲勢力の議席数」が
どうなるかに注目が集まることになりそうですが、
やはり一番気になるのは「経済政策」。
消費増税が予定されている中で、
各党がどのような経済政策を掲げているのか。
各党の政策パンフレットを読み解き、
いくつかの注目ポイントに焦点を絞って比較してみたいと思います。
参考)各党の政策パンフレット ・自民党 https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20190607_pamphlet.pdf ・公明党 https://www.komei.or.jp/campaign/sanin2019/images/top/manifesto2019.pdf ・立憲民主党 https://special2019.cdp-japan.jp/assets/pdf/rikkenvision_0624.pdf ・国民民主党 https://www.dpfp.or.jp/assets/election2019/downloads/pamphlet_20190613.pdf ・日本維新の会 https://o-ishin.jp/sangiin2019/common/img/manifest19a.pdf ・社民党 http://www5.sdp.or.jp/data/election_sangiin_2019/sangiin_2019_manufest_201906.pdf ・日本共産党 https://www.jcp.or.jp/web_download/2019/06/201907-sanin-kouyaku-zen.pdf ・希望の党 ※参院選候補者擁立せず
●「消費増税」をどうするか?
経済政策で注目のポイントは、まずは「消費増税」でしょう。
予定されている今年10月からの消費増税をどうするのか?
既に法律的に規定されていますから、
そのまま予定通り実施されることになりますが、
これに反対する政党も出てきていますので、
争点になることは確実です。
その場合、大きく次の点がポイントになると思います。
- 消費税を実施する場合
⇒景気悪化は確実。景気対策をどうするのか? - 消費増税を凍結等する場合
⇒増加する社会保障費等の財源はどうするのか?
つまり、増税してもしなくても何らかの対策が必要になるわけです。
この視点で、各党を見てみると次のようになります。
政党 | 増税可否 | 景気対策/財源 |
---|---|---|
自民 | 予定通り実施 | ・キャッシュレス化推進に向けたポイント還元の実施
・低所得・子育て世帯対象のプレミアム付き商品券発行 ・住宅・自動車購入時の予算・税制上の支援など |
公明 | 予定通り実施 | ・国会議員歳費を10%削減し、身を切る改革を断行
・その他は自民と同様 |
立憲 | 凍結 | ・金融所得課税や法人税などを見直し、税の累進性を強化 |
国民 | 反対 | ・子育て支援拡充を行うため、「子ども国債」を発行 |
維新 | 反対 | ・消費増税を止め、規制緩和を行い、成長戦略を描いて経済成長し、財政再建を行う |
社民 | 反対 | ・低所得者に負担が大きい消費税依存税制を改め税制改革を実施
・研究開発減税の廃止など大企業向け政策減税の縮減:1.6兆 ・廃止された復興特別法人税の復活:0.8兆 ・所得税の累進性強化:0.9兆 ・ポイント還元・プレミアム商品券など「消費増税対策」の凍結:1.2兆 |
共産 | 中止 | ・大企業優遇税制を是正し、中小企業並みの負担を求める:4.0兆
・富裕層優遇税制を是正する:3.1兆 ・米軍への「思いやり」予算などの廃止:0.4兆 |
消費増税を「予定通り実施」としているのは政権与党のみで、
野党は全て増税反対・中止を掲げています。
実施する自民党の政策パンフには、
増税実施が明記されておらず
別資料の「政策バンク」にしか書かれていません。
かなり後ろめたさを感じているように見えます。
また、公明党も同様にパンフでは特出しされておらず、
むしろ「議員歳費10%カット」を第1項目に挙げ、
国民の反感を買わないように苦心している様子が見てとれます。
つまり、与党側は表だって言及せずになんとかやり過ごしたい
と考えていることがよくわかります。
一方の野党側は、そろって消費増税反対
のスタンスを示しています。
ですが、よく見ると各党の考え方はそれぞれ違っている
ということがわかります。
立憲は、財源等について明確な言及がなく、
税制改正で対応するとふわっとした内容となっています。
もう少し言えば、「消費増税凍結」としているのは立憲のみで、
「消費増税には賛成だが今ではない」という考え方が
根底にあることが伺えます。
政策パンフで消費増税凍結を大きく打ち出していないのも、
そこを争点にしヤブヘビになること避けたかったのでしょう。
国民党は、財源を「子ども国債」という名目の
国債発行で賄うとしており、
他党には見られない積極財政派であることがわかります。
維新は、「経済成長すれば増税せずとも税収は増える」
といった考えから、経済成長を重視。
社民・共産は、与党側の財源批判に備えて
しっかりと財源を明示しているのが特徴的です。
とは言え、その中身を見ると増税しなければ発生しないはずの
「消費増税の景気対策」が含まれていたり、
「国防費の削減」を掲げたりと、
イデオロギー色の強いものになっていたりします。
●「経済政策」はどのようなものか?
経済政策はどのようなものでしょうか。
経済政策は、各党のイデオロギーが比較的出やすく、
特に基本的な方向性や考え方が色濃く出やすい傾向にあります。
また、長く続けてきたアベノミクスの成果として
「国民総所得」や「有効求人倍率」の増加などを強調してきた反面、
格差拡大が顕著になり、低所得者の増加・貯蓄額の低減などが
問題視されています。
そうしたアベノミクスへの対案を
どう打ち出すかにも注目したいところです。
では、見てみましょう。
政党 | 対策 |
---|---|
自民 | 「強い経済で所得をふやす」
・成長戦略、生産革命等を総動員し、GDP600兆円経済、成長と分配の好循環を創る ・データを利活用する体制整備をし、AI・IoT等を活用し各分野でイノベーションを創出 ・宇宙・海洋資源、G空間、バイオ・量子技術、コンテンツなど新たな産業フロンティアを開拓 ・中小企業・小規模事業者の固定資産税・事業承継時の相続税ゼロなどで支援 |
公明 | 「経済を再生し、安心の福祉を」⇒全世代型社会保障へ転換
・子育て安心社会に向けて“3つの教育無償化(幼児・私立高・大学等)”を実現へ ・中小企業が賃上げできる環境づくりで、地域経済を元気に ・1時間単位で有給休暇を取得できる制度の導入促進 ・低所得の高齢者年金に月額最大5千円を上乗せし、介護保険料を軽減 |
立憲 | 「ボトムアップ経済ビジョン」⇒家計所得を引き上げて経済成長へ
・中小零細企業への支援を拡充し、5年以内に最低賃金を1,300円へ ・官民の非正規雇用を正規雇用化し、ワーキングプアを解消 ・残業代完全払い・みなし残業禁止などによって、まっとうな働き方を実現 |
国民 | 「家計第一の経済政策」⇒家計の可処分所得を増やし消費拡大へ
・児童手当の対象を18歳までにし全員月1.5万円給付 ・低所得年金生活者に最低月5千円を給付 ・年収500万円以下の賃貸世帯に家賃月1万円補助 |
維新 | 「経済成長による財政再建」
・規制緩和による経済成長。停滞の30年から発展する未来へ ・すべての産業分野で競争政策3点セット(消費者優先・参入規制撤廃等)を徹底 ・農業・林業・水産業、医療・福祉、保育の成長産業化 ・観光インフラ(空港、都市型民泊等)の拡充 |
社民 | 「社会を底上げする経済政策」⇒賃金アップ→将来不安解消→消費活性化→経済底上げ
・中小・小規模企業や農林水産業への支援、社会保障の拡充、賃金と労働条件を改善 ・消費税依存から転換し、「応能負担」原則・「所得再分配」機能を取り戻す ・所得税の累進性強化、内部留保をためこむ大企業への法人課税強化などの税制改革 ・最低賃金を地域別から全国一律に転換し、時給1,000円に引き上げ1,500円を目指す |
共産 | 経済政策の記載なし
※経済の記述があるのは、「中小企業」「日米貿易交渉・TPP11・日欧EPA」等の一部のみで、いずれも現行政策の否定に留まっている。 |
経済成長を中心に打ち出しているのは、
「自民」と「維新」。
新しい産業の開拓や規制改革等の政策を動員して、
経済成長を目指すとしています。
それらの多くは現在も推進されているものですが、
維新はより規制緩和に重きを置いている傾向にあります。
いずれにしても、自民や維新は
「新自由主義」に基づいた政策が中心となっています。
一方で、国民の所得や賃金に着目したのが
「公明」「立憲」「国民」「社民」。
低所得者対策を中心に構成されている傾向が強く、
どの党も「最低賃金の引き上げ」を掲げています。
また、「国民」はさらに年金増額や
賃貸家賃補助なども掲げており、
一昔前では「バラマキ政策だ」
と揶揄されそうなものまで掲げています。
こうした政策は、「自由主義」に基づくもので
社会的公正や多様性を重視したものになっており、
社会保障の充実や福祉国家を指向する傾向にあります。
ちなみに、「共産」は、共産主義を指向し
資本主義社会を否定していることもあって、
経済政策として明示していません。
が、個別の内容を見ると、最低賃金引き上げや
中小企業等への補助を打ち出しています。
●結局のところ・・・
それぞれの立ち位置や思想などから
「程度」に差が生まれている感はありますが、
結局のところ、各党の経済政策も
ある程度似通ったものになっています。
そういった意味では、今回選挙は「消費増税をどうするか」
がわかりやすい違いになるような気がします。
その他で、あえて特徴的な判断基準をピックアップすれば、
「どのように経済成長を実現するか」
「社会保障はどこまでやるか」「
財政再建はどうするか」になると思います。
せっかくの機会ですから、ご自身の目で
各政党の政策パンフレットを見比べながら、
投票先を考えてみるのも良いのではないでしょうか?
さて、今回は以上です。
また次回、宜しくお願い致します。