お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「米国が中国を為替操作国認定
についてのお話です。
しっかりチェックしておきましょう!

中国を為替操作国認定! 何が起きてるの?

中国を為替操作国認定! 何が起きてるの?

前回まとめた米国株価暴落は、
少しずつ落ち着きを取り戻しつつありますが、
今度は中国が大暴落です。

8月5日にアメリカ財務省が
中国を「為替操作国」に認定したことが原因のようです。
一体何が起きているのでしょうか?
今後はどうなるのか?
まとめてみます。

●中国を「為替操作国」認定!

まずは、ニュースからです。

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中国を「為替操作国」認定で圧力強化 トランプ大統領が新たな一手

https://www.fnn.jp/posts/00422018CX/201908070040_CX_CX
2019年8月7日 FNN PRIME

アメリカが、中国を「為替操作国」に認定。
米中の激突は、新しい段階を迎えた。

アメリカ財務省は5日、
中国を25年ぶりに「為替操作国」に認定すると発表した。
中国が、人民元を不正に誘導しているとみなした。

トランプ大統領は、ツイッターで
「中国が、通貨をほぼ史上最低の水準に下落させた。
中国をやがて弱らせる重大な違反だ」と非難した。

発端は、8月1日にアメリカが表明した対中制裁関税の第4弾。
実施されれば、中国からの輸入品のほぼ全てが、
制裁関税の対象となる。

こうした動きなどを受け、
5日には、人民元が対ドル相場で下落し、
11年ぶりの安値に。
人民元が安くなれば、追加関税の影響が緩和され、
中国は輸出で有利になる。

今回のアメリカによる「為替操作国」認定に、
中国人民銀行 研究局局長は、
「中国は、為替レートを貿易摩擦の道具として
使っていないし、使うつもりもない。
アメリカの行為は、国際通貨システムに
深刻な悪影響をもたらすだろう」と述べ、反発している。

貿易問題が行き詰まる中、
新たな圧力強化のカードを切ったアメリカ。
「為替操作国」認定は、何を意味するのか。

上智大学・前嶋和弘教授
「これまでの貿易戦争の舞台が、
関税の引き上げプラス為替の問題まで飛び火した。
中国をなんとしてでも押さえ込もうと、
全面対決も辞さないことだと思う」

前嶋教授によれば、アメリカは今後、
通貨に関しても中国と交渉することになるという。

しかし。
上智大学・前嶋和弘教授
「アメリカと中国、すでに経済相互依存と言えるぐらい、
中国の存在が大きくなっている」、
「(交渉がうまくいくかはわからない?)今回はわからない。
米中関係が改善していくのは考えにくい」

米中の対立で、世界的な経済への影響が懸念されている。

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今回の「為替操作国」認定の経緯を押さえておきましょう。

ことの発端は、8月1日の米国の
対中追加関税第4段の発表です。
米中両国が7月30~31日にかけて通商協議を開いていましたが、
アメリカ側が期待した進展が得られず、
追加関税の発表につながりました。

この発表を受けて市場では、
その後の中国経済の悪化を予想して、
元が売られ始め元安圧力が高まっていました。
(1ドル=6.9元水準)

翌日2日に、中国商務部は、
「米国の対応は6月に大阪で開催された
米中首脳会談での合意に対する重大な違反で、
中国も必要な対抗措置を取らざるを得ない」と表明。

中国は貿易黒字を減らすため、
米国から農産品を積極的に購入していましたから、
それを止めるようなことをほのめかしています。

中国が具体策を検討しているうちに、
8月5日の為替操作国認定です。

トランプ大統領は5日、ツイッターに
「中国は通貨を歴史的な安値まで引き下げた。
これは為替操作と呼ばれる。大きな違反だ」と投稿し、
元安・ドル高は中国政府が操作したものだと、批判しました。

これで元安がさらに加速し、
ついに1ドル=7元台に突入し、
約11年ぶりの安値水準になりました。

ドル元レート

これを受けて、中国商務部は8月6日、
中国企業が米国からの農産物の購入を暫定的に停止したと発表。
また、8月3日以降に新たに購買契約を締結した
米国の農産品について、国務院関税税則委員会は、
追加関税賦課の適用除外措置を行わないことも明らかにしました。

●中国が元安に誘導している?

この一連の流れを見ると、今回の人民元安の値動きは、
米国の追加関税の発表と為替操作国認定によって
引き起こされたことがわかると思います。

つまり、「為替操作国」の認定をしたから
人民元が安くなっている
わけです。

そもそも、米国が為替操作国に認定したのは、
「中国が意図的に人民元を安く誘導している」ことが理由ですが、
短期的に見れば実際はその逆で、
原因と結果が入れ替わっているように見えます。

実は、中国にとって元安は決して良いことではないのです。

中国はGDPに対する貿易額が約1/3で
2017年には世界第1位の輸出国となりました。
基本的に元安は中国の輸出にとって
より有利に働きますから、
中国にとっては良いことのように思えます。

ですが、その一方で、中国富裕層を中心に
資金の流出が起きやすくなってしまう
のです。

「元がどんどん安くなるのであれば、
早いうちにドルに替えて国外にお金を逃がしておこう」
というわけです。

中国が一番恐れているのは、この資金流出なのです。

資金流出は、元を売ってドルなど外貨を買うことですが、
それが加速するとさらに元が安くなってしまい
止められなくなってしまうのです。

ですから、中国当局は企業や投資家の海外資金移動を
厳しく制限し、個人の旅行者にまで
現金持ち出し規制をかけるほど神経質になっていました。

そして、中国当局は、
元安にならないように元を買い支えていたのです。
つまり、長い間、中国が為替操作してきたのは間違いありませんが、
それは過度な元安にならないように相場を固定化してきた
というのが本当のところでしょう。

●なぜいま為替操作国に認定したのか?

では、なぜいま為替操作国に認定したのでしょうか?

一部の報道では、
「今回の操作国認定は
米国の判断基準を満たしておらず不当だ」とか、
「今回の人民元レートの変化がまさに市場が
より大きな作用を果たしている証拠だ」
といった指摘がされています。
そうした指摘は、ある意味で的確で正論だと思います。

ですが、中国が事実上の固定相場制をとっている
為替操作国であることは誰もが知っていましたし、
公然の秘密のようなものでした。

むしろ、米国の財務省は「中国は為替操作国ではない」
と繰り返しお墨付きを与えてきた側
だったのです。

こうした米国政府の対応に不満だったのが
トランプ氏だったのです。
トランプ氏は、選挙公約として
中国の為替操作国認定
を掲げていました。

「大統領になったら就任した1日目に
中国を為替操作国に認定する!」
と言っていましたから、今回の操作国認定は
「ちょっと遅くなったけど、やっと実現できた」
といったところなのかもしれません。

では、為替操作国認定して何がしたかったのでしょうか?

●中国をさらに追い詰める

それを理解するには、トランプ大統領の通商政策をにぎる
ピーター・ナヴァロ大統領補佐官の考えを
理解するのが良いと思います。

ナヴァロ氏は、トランプ氏の選挙戦の
政策アドバイザーに就任する前から一貫して
中国に対して強硬な政策を主張しています。

その主張は、次のようなものです。

「政府主導の中国経済と市場主導の米国経済のモデルは
地球と火星のように離れてる」

「WTOに加盟してから中国は2015年時点で
世界の自動車の3割近く、船舶の4割、テレビの6割強、
コンピューターの8割強を生産して
世界の製造業を支配するに至っている。」

「人工知能やロボット工学などでも脅威になりつつあり
中国の知的財産権問題など不公正な貿易慣行を行っている。
さらには、軍用無人機でも中国は市場を奪っている。」

つまり、ひとことで言えば「中国脅威論」です。

2001年11月、中東・カタールのドーハで開かれたW
TO第4回閣僚会議において、
中国のWTO加入が満場一致で可決されました。

そこから中国は経済・金融面で急速な成長を続けます。
世界的に貿易が伸び悩む中で、
2ケタ成長を続けていたわけですから驚異的なものでした。

その結果、ナヴァロ氏が指摘するような現状にあるというわけです。

中国はWTO加盟と同時に、近代的法治国家にふさわしい民主主義や
人権保護なども求められてきました。
ところが、それらが進むことはなく、
むしろ一党独裁体制がより強化されてきたという現実があります。

ナヴァロ氏は、こうした中国の現状に対して
外交・貿易等を駆使して圧力をかけ変えていこう
と考えているわけです。

今回の為替操作国認定は、
そうした方向性に基づいて行われた政策の一つにすぎませんから、
今後中国の体制が民主化したり変動相場制に変わったりと
劇的に変化するまで止まることがないのではないでしょうか。

以上、いかがでしたでしょうか。

今回の為替操作国指定も、トランプ大統領が掲げていた公約で、
トランプ流の一連の政策だったことがお分かりになったと思います。

トランプ大統領は公約を忠実に実行する
本当に“わかりやすい”大統領だと言えると思います。

逆に言い換えれば、トランプ大統領が就任しているうちは、
その方針に変わりがないというわけです。

対峙している中国としては、
トランプ大統領に早くいなくなってもらいたい
と本気で考えているのではないでしょうか。

また、今回の操作国指定は、
日本にとっても対岸の火事ではありません。

中国と同じように、日本も為替操作国として
トランプ氏に指摘されており、
一つ間違えれば明日は我が身という状況にあります。

そうならないためにも、日本としても
外交面・経済面でしっかりと対策を進めていく必要がありますから、
他人事と思わず注目していきましょう。