お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「中国経済
についてのお話です。
しっかりチェックしておきましょう!

減速する中国経済

減速する中国経済 

米中貿易戦争をキッカケに中国経済が急減速しています。
9月1日にトランプ大統領が中国からの輸入品
ほぼすべてに制裁関税を拡大する「第四弾」を発動し、
さらに厳しくなっていくことが予想されます。

いまどのような状況にあるのでしょうか?
また今後の見通しは?
まとめてみます。

●米中貿易戦争の今

トランプ米政権が9月1日午前0時1分、
中国に対する制裁関税として、
中国からの輸入品ほぼすべてに
制裁関税を拡大する「第4弾」を発動しました。

3,243品目、約1,120億ドル(約12兆円)分に15%を上乗せし、
12月15日にはこれまで避けてきた
ノートパソコンや携帯電話などの
ハイテク製品も対象にする予定です。

その対抗策として、中国も米農産品などに対し、
米国からの輸入品750億ドル(約8兆円)分に追加関税を実施。
その内訳は、米国産豚肉、牛肉、鶏肉や
他の農産品に10%、大豆に5%で、
12月15日に小麦やモロコシ(ソルガム)、綿花に
10%の追加関税を課すとしています。

昨年夏から始まった米中貿易戦争は、
過熱を続け出口の見えない泥沼化という状況です。

10月初めから米中閣僚協議を行うことになっていますが、
ここまで拡大してきてしまったものを
納めることはほぼ不可能な状況になりつつあります。

●中国経済の今

中国経済は、急速に減速してきており、
それは中国政府の発表でも明らかになっています。

7月15日に中国国家統計局が発表した
2019年4~6月期のGDPは実質ベースで前年同期比6.2%増と発表。
これは、2010年頃に10%以上であったものが
年々減少しここ10年で過去最低になったことになります。

また、中国政府のGDP発表はもともとあまり信用されていませんが、
過去最低になったのは事実でしょうから、
中国経済が冷え込んでいるのは間違いないでしょう。

その原因は、やはり米国の追加関税の影響が大きいと思われます。

中国経済には、「インフラ・不動産・輸出」
の3つの柱があると言われ、
そのうち輸出はGDPの約3割を支えていますから、
仮に輸出が減少してしまえばGDP低下に直結してしまうわけです。

中国側としてもなんとか米国の追加関税に対応しようと、
マネタリーベースを急速に拡大し、
人民元安に誘導して輸出を維持しようと努めていますが、
元安政策のデメリットである
「輸入への悪影響」が深刻化しつつあるようです。

例えば、真っ先に追加関税の対象になった
豚肉を中心に中国国内の食料品の高騰が著しく、
パニック状態になっているようです。

一部の報道によれば、中国の豚肉価格は、
2013年以降最高値水準となっており、
8月には前月比25%強上昇し、
卸売価格は平均29.94元/キロ(約454.2円)に。

これは、日本の安定基準価格(440円)より高い上に、
一部の地域では1人当たりの購入量を制限したり、
身分証の提示が必要になったりと、
庶民の不満が高まり「社会問題化」しつつあるようです。

こうした価格上昇傾向は豚肉だけに留まらず、
あらゆる食料品が一昨年に比べ9.1%上昇している
との報道も出ており、深刻化していることが伺えます。

一部の国際経済評論家の間では、
「中国は現在スタグフレーションの状態にある」と指摘されており、
「関税などの影響で食料品などの消費者物価の上昇に加えて、
人民元安誘導の影響でコストプッシュインフレ
(悪性インフレ)が起きている」と見られているようです。

そんな庶民の不満を払拭するためなのか、中国の人民日報では
「米中貿易戦争は良かった。これで米国は自滅する」
といった論調が中心となっており、
「豚肉の高騰は豚コレラの影響
であって決して関税の影響ではない」、
「対米関税で米国は確実にダメージを受けている」
との現実を直視しない報道がなされており、
大戦末期の大本営発表の様相を呈してきています。

●外資企業の撤退

外資系企業の動向も中国経済に打撃を与えているようです。

トランプ大統領は8月末にツイッターに
「偉大な米国企業は生産拠点を米国に移すなどの
中国の代替先を迅速に探すように命じる。
我々にとって中国は必要ない。
正直言って中国がいない方が暮らし向きが良くなる。」と投稿。

トランプ大統領は、これまでにもGMなどの米企業に対して
中国から生産拠点を引き上げるように発言してきていましたが、
より語気が強まってきており、行動に移さない企業には
補助金などを削減する等の具体的な圧力も検討しているようです。

米国以外の外資企業の撤退も進んでおり、
フランス資本の大型スーパー「カルフール」が
中国全土210の大型店舗および24のコンビニ商店等を全て売却し、
今年末までに中国市場から完全撤退すると発表。

日本企業も同様で、パナソニック、シャープ、リコー、
アシックス、京セラ、任天堂、ダイキン、TDKなどが
ベトナム、インドネシア等への生産体制を移管しはじめています。

また、これまで積極的に中国生産を拡大していたユニクロでさえも、
ベトナムやインドネシア等、中国以外の生産比率を高める等の
検討を進めているようです。

こうした外資系企業の撤退の動きは、
中国の雇用環境を悪化させることになり、
失業者を大量に作り出す可能性もあることから、
今後中国当局の撤退規制が強まってくることが予想されます。

そうしたこともあり、これまで中国進出してきた
中小を含む日系企業の間では、
「帰りのバスに乗り遅れるな」
との合言葉がまことしやかに囁かれているようです。

●香港問題の影響

香港の「逃亡犯条例」改正案を発端とした問題、
いわゆる香港問題も少なからず影響があるようです。

香港の金融市場は、国際金融センターとしての機能を有しており、
有力な証券取引所や外国為替市場などの
国際金融取引が活発に行われています。

その国際的な地位は、世界金融センター指数によれば
ニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界第3位の位置にあり、
6位の東京よりも上位にあることからもわかるように
国際的にも重要な位置を占めているわけです。

これは中国にとっても重要な拠点で、
中国の海外資本流入のゲートウェイの機能を果たしており、
上海・深センの株式市場と接続して
売買注文の相互回送が可能になっています。

ところが、香港問題の影響で、
国際金融センターとしての将来的な地位が下がるのでは
との話も出始めています。

その理由は、人材の流出。
香港の強みは人材にあり、
ニューヨークやロンドンを上回る評価を受けています。
もともと金融業の競争力は人材に依るところが大きいため、
優秀な人材の流出が続けば、人材と同時に調達される資金も
一気に激減する可能性もあるわけです。

つまり、香港の中国化がこれ以上進むようであれば、
香港の国際金融センターとしての地位も
一気に低下する可能性があるのです。

●安全保障面での影響

もともと米中貿易戦争の発端は、
安全保障面での脅威にありましたから、
当然影響を受けています。

例えば、中国IT機器大手のファーウェイは、
米国からの安全保障面での規制が待っており、
10月から以降の発売されるスマートフォンのうち
アンドロイド端末はGoogle関連のアプリ
(GooglePlay、GoogleMaps、Youtubeなど)が
のせられなくなるという噂が出始めています。

これによるファーウェイの打撃は
どこまでになるかはわかりませんが、
実際にGoogleアプリがのらなくなったとしたら
大きなマイナス影響になるのは確実でしょう。

ちなみに、それまでに発売された機種については
サポートされることが表明されていますが、
バージョンアップ対応等がどこまで保証されるかは
不明確なところであります。

また、米国政府が米西部ロサンゼルスと香港をつなぐ
海底ケーブルの敷設事業を阻止しようとしている
ことが報道されています。

太平洋を横断する約1万2,900キロにも及ぶ光ケーブルは、
敷設工事がほぼ完了している状況にもかかわらず、
中国企業等による監視・盗聴などを懸念して
米国当局が許可しないと可能性があるとのことです。

●注目は10月1日の建国70周年記念日

来る10月1日は中国建国70周年記念日で、
中国国内では盛大に祝うことになっています。

当然、そこで習近平国家主席は
勇ましい演説をすることになるでしょう。
ですが、米中貿易戦争や香港問題について、
どのように言及するかに注目が集まっています。

人民日報のように「米国に打ち勝つ」といった論調を述べれば、
10月初めから予定されている米中閣僚協議は決裂必至でしょう。

また、習近平主席は、香港問題については、
これまで一言も発してきていません。

その理由は、定かではありませんが、
仮に発言してしまえば中国側の意向を
明らかにしてしまいますから
結果として事態が悪化するのは間違いなかったでしょう。

つまり、そうした悪影響を避ける狙いがあったのだと思います。

ですが、逆に発言してこなかったことが、
中国国内からは弱腰と見られているという面があり、
各地の暴動に繋がっている側面もあるのです。

この板挟みの状況で、どのような発言をするのか、
またしないのかも注目です。

その他にも、中国は11月中にも中央銀行が
人民元ベースの仮想通貨を発行開始するのではないか
との話が出てきています。

これまでにも検討・準備が進められてきており
「いつでも出せる状態」だとしていましたが、
その発表が10月に行われるとの見方が急速に強まっています。

Alipay(アリババ)やWeChatペイ(ウィーチャット)等でも
それを使えるようになるとの話で、
実質的に世界各国で人民元が直接使えるようになるというものです。

実は、米中貿易戦争や香港問題の影響で、
人民元安が進むにつれて、人民元からビットコイン等の仮想通貨に
資金を逃がす動きが加速しており、
それに歯止めをかけたいと言う思惑もあるようです。

いずれにしても、建国70周年記念日には
少なからず何らかの発表があるでしょうから、
注目したいところです。

以上、いかがでしたでしょうか。

中国経済はジリジリと減速圧力が強まっている状況にあり、
その背景には米中貿易戦争の影響や
香港問題等が複雑に絡み合って、徐々に悪化しているようです。

最大の問題は、中国経済減速のほとんどの原因は、
中国の国家体制に起因する問題で、
簡単に解決できないことにあります。

様々な対策が検討されるでしょうが、
結局はその場しのぎの対応にならざるを得ず、
「見通しの立つキレイな解決策は出てこない」
状況にあるわけです。

そんな中でやってくる10月1日の建国70周年記念日。

一体、中国がどのような発表をするのか、
非常に注目です。