こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
さて、今回のテーマは、
「個人事業主の法人化」についてです。
法人化を考えている・検討しているという
個人事業主の方にとって、
有益な内容となれば大変幸いです。
■年末にかけて個人事業主から法人化する人が増えるのはなぜか?
2019年も残り2か月を切り
世間的にも慌ただしくなってきていますが、
この時期になると個人事業主の方から
確定申告を見据えたご相談を頂くようになります。
ですが、上記の確定申告のご相談だけではなく、
同じ個人事業主の方でも法人化を
検討している・進めたいというお話も
同様に増えてくる時期でもあります。
この内容は毎年発生する傾向で、
一過性のものではありません。
何故、年末近くになってくると、
法人化の相談が増加してくるのか?
法人化を進めたり、検討したりする人が増えるのか?
今回はその理由・背景について
お話を進めていきます。
●個人事業⇒法人化の主だった理由
まず、触れていきたいのは
個人事業主で活動されている人が
法人化を進める・検討する主だった理由についてです。
1:消費税免税期間を延長させるため
正直、最も多いのはこの理由だと思います。
個人事業主時代は年商1,000万円超に到達するまでは
消費税の免税事業者として活動できますが、
1,000万円を超えてしまうと、
翌々年から課税事業者となり、
消費税の申告・納税が始まります。
ですが、法人化すれば、
再度免税事業者になることが可能です。
消費税が8%の時代もこの考えは多かったので、
10%になった現状はさらに増加するかもしれません。
2:節税のため
上記の消費税考慮も、納める税額を
少なくするための処置なので、
広く言ってしまえば節税と同じです。
ただ、消費税以外でも
個人事業から法人になることで、
色々節税できる手段が増加するのは事実です。
個人事業時代は結局のところ、経費を増やすしか
税金額を減らす方法は無いのですが、
法人になると、個人の取り分(役員報酬・給与)と
法人の取り分(利益)は全く別のものとなる為、
税額をコントロールしやすくなります。
3:取引先や営業活動等のため
上記二つと異なり、
「法人化せざるを得ない」
という理由です。
昔よりは少なくなりましたが、
取引先の関係で法人化する必要がある、
法人でないと取引が難しい、
知人からの出資を受けるため、
というような、事業活動を行う
「ハコ」として法人が必要
というケースです。
上記で触れた内容が、
個人事業⇒法人化の主だった理由ですが、
この理由は恒常的なものであり、
時期が影響しているわけではありません。
では、なぜ法人化する相談が
年末にかけて増加してくるのでしょうか?
●法人化を決定した後に決めることは?
年末にかけて法人化の相談が増加してくるのは、
別の要因があります。
上記で触れたような理由は、
個人事業⇒法人化を進めるにあたっての
決め手となる要因です。
「じゃあ、法人化しよう!」
ということを考えた人・決めた人たち
が次に考えるのは何か?
それは、時期の問題です。
要は、それをいつ進めるのか?
という話です。
上記で触れた法人化の決め手となる理由で
「取引先や営業活動等のため」
というものに関しては、
すぐにでも法人化しなくてはならない
という場合もありますが、
それ以外の消費税や節税に関しては、
自分や家族を含めた事業者の利益を最大化する
という話です。
法人にした方が得だ、ということを決定した後は、
「いつから法人化するのが最も得か」
ということを通常考えます。
その結果、個人事業⇒法人化というケースにおいて、
一般的に最も得をしやすいのが、
「年の後半で法人化」ということで、
10月・11月ごろから法人化の相談が
増加してくるということになります。
●その年の後半での法人化が得である理由
では、法人化を決めた個人事業主の人たちが
「年の後半で法人化」した方が得なのは、
もしくは、得と考える理由はどういったものなのでしょうか?
【消費税の免税期間を長くしたい】
消費税の課税が始まるのは、
売上1,000万円超となった年の翌々年度からです。
個人事業の1年間は1月~12月ですので、
昨年1,000万円超の売上となっている場合は、
今年は大丈夫ですが、翌年の1月分からは
消費税の課税事業者としての活動となります。
であれば、消費税の免税期間の最終年である今年を
個人事業主としての出来るだけ長く活動し、
個人事業は年内で廃業した上で、
新年からは法人として新たに免税事業者として活動する、
こういったことを考えているためです。
【法人は準備に時間がかかる】
個人事業はあくまで「個人」の活動なので、
すぐに事業活動が出来ますし、口座も個人名義です。
店舗が必要な場合を除き、殆どの人が自宅兼事業所です。
ですが、法人はまず登記住所が必要です。
戸建ての持家であれば、自宅で法人登記は
問題無く可能ですが、持家でも
集合住宅(マンション等)の場合は、
管理組合等のルールによって法人登記が
芳しくない場合もあります。
賃貸物件であれば、大家さんや管理会社に
確認が必要なので、さらにハードルは上がりますし、
NGとなれば別途住所を準備する必要があります。
登記の準備が完了して法務局に提出しても、
その日で完了ではありません。
書類の不備が無い場合でも、登記事項を証明する
全部証明書が発行出来るようになるのは
1週間~2週間程度必要になります。
そして、全部証明書が取得出来て初めて、
法人名義の口座を作る為に銀行・信用金庫等の
金融機関に口座開設の申し込みや打診が可能です。
さらに、個人口座の場合は申込即日で口座開設可能な
ケースが多いと思いますが、法人は通常審査期間があります。
特に新設法人の場合は、入念に審査され、
必要に応じて追加資料の提出も求められます。
これらの準備で時間を要すため、年始から法人で活動!
する為には年末から動き出すと間に合わないので、
少し早めの10月・11月くらいから動き出す人が多いのです。
【確定申告をしなくて済む】
法人を設立した場合、代表者は役員報酬、
つまり、法人から給与を貰うことになります。
年内に法人化を完了させて、翌年1月以降の活動を
全て法人で行う準備が整っていれば、
個人事業を年内で廃業し、翌年度以降の確定申告は
しなくて済むようになります。
年末調整だけで済むので、事務作業が大きく軽減できる
ということです。
個人事業から法人化する場合、
年の後半から法人化に動き出す人が多いのは
こういった理由があるからです。
要は、年内に法人化して新年以降の活動は
法人で行いたいと考える人が多い、ということです。
ただ、年末ギリギリまで引っ張りたいと
考える人もいると思いますが、
法人設立にはある程度の時間を要しますので、
12月に入ってから動いても、
登記完了や銀行口座開設が
年内には間に合わない可能性が高くなります。
新年から法人で活動したいとお考えなら、
もう時間は限られていますので、
少しでもお早目に動くのがオススメです。
ただ、仮に間に合わなくても、
1月分も個人事業の活動が残ってしまっても、
法人化するメリットがある場合は、
そのメリットが無に帰すわけではありません。
翌年丸々個人事業として活動するか、
1か月分だけ個人事業として活動して
それ以降は法人として活動するか、
どちらの方が得かはご理解頂けるかと思います。
どちらにおいても、法人化を進めるなら
早め早めに動いて頂く方が宜しいかと思います。
さて、今回は以上です。
個人事業主の時代は税理士と関与せず、
ご自身で会計・申告・納税まで
進めていた方も多いと思いますが、
法人となるとそうはいきません。
恐らく、税理士の力が無いと、
申告・納税はかなり難しくなると思います。
日本の法人は税理士関与率が80%以上
となっていますが、
税理士が代表者を務めている法人や、
税理士資格者を経理で雇うような大企業を
含めての数字ですので、
法人の場合はほぼ全てが税理士と関与している、
と考えても問題ありません。
さらに、法人という「ハコ」が出来たのであれば、
個人事業主よりも節税は進めやすくなりますので、
法人こそ、税理士と付き合う必要と意味が大きく出てきます。
法人設立を進める際も税理士を窓口にして
登記の手続を進めてもらえたりも出来ますので、
法人化を進める際は、
まず今後依頼する税理士を決めてしまい、
その税理士とやり取りしながら
進めていくのが一番手っ取り早く、
賢いやり方ではないかと思います。
税理士を決める際は、知人や取引先に
紹介をしてもらうのが手っ取り早いですが、
声掛け出来る人に心当たりが無い場合や、
出来れば現在の知人とは無関係な税理士へ
依頼したいという場合は、
法人化相談や新設法人との関与経験が
豊富な税理士と多く提携している
下記サービスへ是非ご相談ください。
税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/
さて、今回の報告は以上です。
また、次回宜しくお願い致します。