こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
さて、今回のテーマも前回に引き続き、
「ふるさと納税」です。
12月も残りわずか!
最後の駆け込みでふるさと納税をする人、
しようかどうか考えている人にとっても、
良い情報提供になれば幸いです!
■締切迫る!2019年ふるさと納税-②ワンストップ特例か確定申告か
前回では「期限は年内!」ということで、
- ふるさと納税の仕組み
- 2019年分に反映させるなら年内期限であること
- 期限ギリギリだとクレジット決済が有効であること
- 上限額の存在と年末にふるさと納税が集中する理由
こういったことについてお話をしました。
これで、ふるさと納税を行うにあたっての
注意事項は網羅出来たと思いますが、
ふるさと納税を支払・決済まで完了!しただけでは、
ご自身の所得税・住民税には反映されません。
という事で今回は、
「ワンストップ特例か確定申告か」
というテーマでお話をしていきます。
●ふるさと納税を広めたワンストップ特例制度
前回でも触れた通り、実質的な自治体への寄付である
ふるさと納税がここまで一般的になったのは、
寄付の御礼として対象自治体から
寄付金30%相当の返礼品が貰えることです。
これによりふるさと納税は、
「納税先自治体を変更すれば
自己負担額¥2,000で豪華な賞品を貰える」
という認識が広まり、利用者が急増しました。
そして、この返礼品と同様にふるさと納税の普及に
一役買ったと言われているのが、
「ワンストップ特例制度」です。
ふるさと納税は今まで節税の選択肢が
少なかったサラリーマンでも出来る制度です。
ですが、ふるさと納税を行うと
「確定申告」の必要があったので、
年末調整で全て完了する給与所得者の方、
今まで確定申告をしたことが無いという方にとっては、
少々面倒がられている側面がありました。
※実際は簡単ですよ!!
そこで、一定の条件を満たせば、
確定申告をしないで済む!
ということが出来るようになったのが、
「ワンストップ特例制度」です。
●ワンストップ特例制度を利用するには
上記でも触れましたが、ふるさと納税を行い、
確定申告をせずにワンストップ特例制度の適用を
受けるには、条件があります。
- 確定申告が必要無い給与所得者であること
- 1年間の寄付自治体が5つ以内であること
- 寄付申込みの度に寄付自治体に申請書を提出していること
これが条件です。順に補足をしていくと、
1の「確定申告が必要無い給与所得者であること」は、
そもそも確定申告を省略する制度なので、
個人事業主や、給与所得者でも2,000万円以上の人、
または、医療費控除の申請等、そもそも確定申告が
必要な人に関しては対象外です。
仮にワンストップ特例制度の手続をしていても、
確定申告を実施すれば、その内容が優先されます。
つまり、併用出来ません。
2の「1年間の寄付自治体が5つ以内であること」。
これは完全にルールです。
ワンストップ特例を受けたいのであれば、
6回以上寄付する場合であっても、
自治体を重複して選ぶようにしましょう。
自治体が6つ目になったら、確定申告が必要です。
3の「寄付申込みの度に寄付自治体に
申請書を提出していること」に関しても、
上記同様、ルールです。
1つの自治体に1年間で5回寄付をしたら、
同一自治体ではありますが、5回申請書を送りましょう。
さらに、申請書を送付する際にはマイナンバーカード、
もしくはマイナンバーの分かる書類と身分証明書が必要になります。
詳しくは下記をご確認ください。
※さとふる ワンストップ特例制度とは?
でも、面倒というだけで確定申告をせず、
ワンストップ特例利用で良いのでしょうか?
実際はワンストップ特例を利用せず、
確定申告をした方が良い場合がある
って、ご存知でしたか?
●ワンストップ特例と確定申告の違いを知る
まず、お互いの違いを知りましょう。
ワンストップ特例制度は、
ご自身の寄付(ふるさと納税)した事実を
寄付した自治体に申請書付きで送付することによって、
ご自身がお住まい(住民票所在)の自治体に
寄付を受けた自治体から知らせてもらい、
住民票所在の自治体が行う
翌年の住民税計算時に反映させるものです。
対して確定申告は、
年間の所得を国(税務署)に申告し、
必要があれば、所得税の納付か還付を行います。
その確定された所得内容はご自身がお住まいの
自治体にも国から共有され、
翌年の住民税計算にも反映されます。
また、上記にも記載させて頂きましたが、
ワンストップ特例を利用する為には、
- (年収2,000万円以下の)給与所得者であること
- 寄付対象自治体が1年間で5つ以内
- 申請書を寄付の都度送付
そして、申請書等の提出に関しても
自治体への必着期限があります。
つまり、「特例」とあるように、
あくまで基本は「確定申告」なのですが、
条件を満たす場合は「ワンストップ特例制度」も
利用できるよ、それにより確定申告省略できるよ
というのが実態です。
●確定申告でないと損をするケースとは?
前段を踏まえると、
ワンストップ特例と確定申告で
明確な違いが出てきます。
それは、給与所得者がふるさと納税をしたとき、
- ワンストップ特例⇒住民税の減額
- 確定申告⇒所得税の還付と住民税の減額
という違いが出ます。
ワンストップ特例に関しては、寄付金額に応じた控除は
全て住民税(都道府県民税と市区町村民税)に相当されます。
住民税は年末調整結果や確定申告内容に基づいた
前年度所得に応じて翌年6月以降の課税額を決定していますので、
次年度納める税金額が減額される、という措置になります。
対して確定申告に関しては、
国(税務署)に申告する内容なので、
国税(所得税)と地方税(住民税)の双方が対象です。
サラリーマンのような給与所得者の場合は、
今年の所得税は源泉から引かれている、
つまり、勤務先の給与から天引きされて納付済みです。
その為、ふるさと納税を行って確定申告をすると、
所得税に関しては「還付」が受けられます。
その上で、翌年の住民税も減額計算されるのですが、
所得税分で還付を受けているので、住民税の減額幅は
ワンストップ特例時よりは少なくなります。
結局のところですが、ふるさと納税を行う事で
必ず発生する自己負担額(¥2,000)以上の損失が出ない
「上限額」以内の寄付であれば、
「減額のみ」か「還付と減額」の違いはあれど、
メリットを享受できる金額に関しては変わりません。
ですが、確定申告でないと損をするケースというのが、
「上限額以上の寄付をした場合」です。
これは所得税と住民税の寄附金控除の割合の違いから
発生するものですが、上限額以内であれば問題ないものの、
それを突破すると住民税の控除だけでは
控除金額を賄いきれない場合が発生します。
そうなると、確定申告を行って所得税側でも
還付・調整を受ける状態にしておかなければ、
上限額を突破して自己負担額が増加するだけでなく、
税額の控除を受けられる金額も減ってしまいます。
とりあえず、知っておくべきは、
- 自分の上限額を確認せずふるさと納税をした
- 上限額以上の寄付を行った
こういう場合はワンストップ特例が使えても、
確定申告を実施した方が無難、ということです。
●最も注意をしなければならないケース
上記では確定申告ではなく、ワンストップ特例を
選んでしまうと損をするケースがある、
という話に触れました。
さらに、注意喚起も含めて、
ふるさと納税で最も損をする可能性がある、
注意しなければいけないケースについて
最後に話をしたいと思います。
それはワンストップ特例を申請した後に、
確定申告をした場合です。
例を出すのであれば、
ワンストップ特例で済ますつもりだったけど
- 医療費控除を申請
- 住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を申請
- 会社の年末調整に間に合わず
等の理由により確定申告が必要になったという場合
とお考えください。
最初の方でも触れましたが、
仮にワンストップ特例制度の手続をしていても、
その後、確定申告を実施すればその内容が優先されます。
つまり、併用出来ません。
もうお分かりかもしれませんが、
最も損をするケースというのは、
「ワンストップ特例を申請後に確定申告を行い、
確定申告書内でふるさと納税の内容を
書き忘れてしまうこと」です。
この内容で確定申告を実施すると、
ワンストップ特例の申請書を自治体に提出していても、
その年は「ふるさと納税をしていない」という
確定申告の内容が最優先されてしまうため、
寄附金控除が受けられません。
なので、確定申告を行う場合は、
「ワンストップ特例を申請していても」、
必ずふるさと納税に関する内容を記載しましょう。
さて、今回は以上です。
今年も残りわずか、
今からふるさと納税を行う人は、
31日のギリギリにならないよう、
1日でも早く済まされた方が良いですよ!
時間が無い場合は、ふるさと納税サイトで
一気に済ませてしまうのが簡単です。
それでは、また次回宜しくお願い致します。
- 投稿タグ
- ふるさと納税, ワンストップ特例制度, 確定申告