諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです!
週末の天気は各地で大荒れになりました。
諜報部長は特に影響無く済みましたでしょうか?
さて、今回の報告は、年末に動きのあった「モデル就業規則の改訂」
について調べていますので、報告内容をご覧ください。
■副業原則禁止から原則容認へ!モデル就業規則が改訂
お金諜報部では、副業事情についてこだわって記事にしてきましたが、
ここでまた新たな動きがあったようです。
政府は1億総活躍社会の実現や働き方改革などの取り組みの一環として、
副業解禁に向けて検討を進めてきたようですが、
「はたして現実的な一歩となるのか?」をまとめてみました。
●副業禁止を推進した「モデル就業規則」が改訂へ
以前、政府が副業・兼業解禁に向けた検討を開始したことをご紹介しました。
参考)サラリーマンの副業が解禁される!?
https://www.y-chohobu.com/archives/1236
その検討の中でかなり具体的な方針が出てきたようです。
日経新聞の記事からです。
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正社員の副業 後押し 政府指針、容認に転換 働き方改革
2016/12/26付日本経済新聞 朝刊
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS25H1D_V21C16A2MM8000/
政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。
企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から
副業・兼業禁止規定(総合・経済面きょうのことば)を年度内にもなくし、
「原則禁止」から「原則容認」に転換する。
複数の企業に勤める場合の社会保険料や残業代などの指針もつくる。
働く人の収入を増やし、新たな技能の習得も促す。
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お金諜報部では、以前から政府が副業推進すると言っておきながら、
厚生労働省の「モデル就業規則」には原則副業禁止が規定されていることを指摘していました。
モデル就業規則は多くの企業や就業規則を取り扱う社労士などが基準にしている物ですから、
ある意味で厚労省が副業禁止を推進してきたと言える状況だったわけです。
今回、このモデル就業規則を原則禁止から原則容認にするということは、
実はかなり実効性の高い大きな方針転換になると言って良いのかもしれません。
そもそも副業禁止は、「職業選択の自由」が保証される憲法から見ると
矛盾しているようにも取れるわけで多くの係争にもなってきました。
比較的「右へならえ」と歩調を合わせがちな日本企業においては、
厚労省が原則容認としているのに自社独自の判断で原則禁止とした場合、
後々のもめ事の方が気になって結局「右へならう」ことになる気がします。
●企業はどうみてるのか?
このように副業解禁が現実味を帯びてきている状況ですが、
企業は一体どのように感じているのでしょうか?
東京商工会議所が先月(2016年12月)行った調査を見てみましょう。
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【従業員の兼業・副業について】
政府では働き方改革の議論が始まったところだが、
多様な人材の活躍推進、イノベーションの創発・経済活性化、
起業の促進(起業リスクの低減)につながるとして、
兼業・副業の普及・促進が注目されており、中小企業の現状と認識について調査した。
➢兼業・副業を「現在・将来共に認めない」が43.0%と最も多くなったが、
「積極的に推進している」も15.2%に上った。
➢積極的に推進することにより期待する効果としては、
「人材育成・従業員自身のスキル向上につながる」が46.2%と最も高くなった。
➢兼業・副業について「やむを得ず認めている」「現在は認めていない」
と回答した事業者に懸念する事項について聞いたところ、
「従業員自身の長時間労働・過重労働を助長する」が56.2%と最も高く、
次いで「営業機密や情報の漏洩、利益相反につながる」が39.0%となった。
昨今の長時間労働への問題意識の高さがうかがわれる結果となった。
※東商けいきょう集計結果(中小企業の景況感に関する調査)2016年10-12月期
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=93280
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この調査結果によれば、積極的に推進する企業は15.2%しかおらず、
ほとんどの企業は「副業を認めたくない」と考えているようです。
この調査は、先ほどご紹介した政府方針の発表前のものですから
「副業原則禁止、認めたくない」と答えるのがある意味当然でしょう。
しかし、具体的に副業を認めたくない理由を見てみると多少意味合いが違うことに気がつきます。
第一の理由は、「従業員自身の長時間労働・過重労働を助長する」というものです。
おそらくホンネは「残業減らせと散々言っときながら副業認めろだと?ふざけるな!」
という感じではないでしょうか。
企業側がそのように思うのは、ある意味で自然なことでしょうね。
ワタミフードサービスや電通の従業員過労自殺が記憶に新しいところですが、
企業は今まさに「残業は悪だ」という空気に圧されています。
ネット社会の今、強固に残業を求めようとすればSNSなどから一気に拡散し、
社会問題化→ブラック企業認定→業績悪化という三段論法が成り立ってしまいますから。
ですから、もし副業原則解禁という方針になったとしても、
おそらく企業側は「副業推進とはどういうことか?過労死の話はどこ行ったんだ?」
と思うことになると思います。
●従業員はどうみているのか?
一方で、従業員はどう見ているのでしょうか?
中小企業庁の調査によると、副業希望者は全就業者の5.7%で370万人程度のようです。
この数字をどう見るかによりますが、
家計的に追い詰められている、または楽して稼げる状況でない限り、
副業してまで働こうとは考えていないような気がします。
個人的に周囲を見渡しても、副業を積極的にしようという者はほとんど見当たりません。
本業を持ちながら副業を行うということであれば当然労働時間が長くなることが多いわけで、
そこまでする動機がないということなのでしょう。
また、2016年の新卒希望業種ランキングを見ると、
1位が公的機関で、2位が金融機関という状況が物語るように
「真面目にコツコツとやるので終身雇用してください」と言わんばかりです。
こちらも、政府方針やそれにより醸成されていく考え方や世論によって
今後変化してくると思いますが、おそらく現段階では積極的に副業したい!
と思っている人は多くないと言えそうです。
●結局、副業は解禁されるのか?
既に言及した通り「副業禁止」そのものが憲法違反と取られかねない状況ですから、
確実に解禁されることになるはずです。
ですが、具体的に考えると社会保険や個人の労働長時間化など
問題は山積しています。
そして何よりも副業解禁を積極的に望んでいる企業や個人が
それほど多くないという現状においては
あまり注目を集める政策ではないかもしれません。
逆に考えれば、個人からは大きな反発は起きないとも言えます
(企業からの反発は多少あるでしょうが)。
そういう意味では、「票は取れないが実行しやすい政策」であり、
現政権の方針の一環である副業解禁は、歩みは遅いかもしれませんが
着実に進むのではないかと思います。
最後に・・・
お金諜報部では、副業で頑張る人のために、
今後とも副業関連の情報をまとめていきたいと思います。
さて、今回の報告は以上です。
次回もまた宜しくお願い致します!