諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです!

今回も旬なニュースですが、「育休延長」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!!
 

育休が最長2年に延長!その背景に何が?

森友問題ばかりが注目されている今国会ですが、
しっかり様々な法案が通過しています。
その中で育休制度に関する法案も通過したようです。
今回は、その具体的な中身をチェックしつつ今後どうなるのか確認してみましょう。

●育休が最長2年に延長!その背景は?

少し前は待機児童問題や育休制度など子育て世代の社会保障が
注目されていましたので、その対策としてでしょうか、今国会でも動きがあったようです。

朝日新聞デジタルの記事からです。(3月31日19時33分)
───────────────────────────────────

育休、最長2年に延長へ 保護者の離職防ぐ狙い 厚労省

今の制度では、育休期間は原則1年で、保育所に空きがなく
子どもの預け先が見つからない場合は最長1年半まで延長できる。
1年半に延長しても預け先が見つからなかった人を救済するため、
10月から、さらに半年延ばして最長2年まで育休がとれるようにする。

関連法には、男性の育休取得率を上げるため、父親に一定期間の育休を割り当てる
「パパクオータ制度」の導入を検討するよう政府に求める付帯決議がついた。

労使が折半で負担する雇用保険料は4月分から、賃金の0.8%から0.6%に引き下げられる。
2019年度まで3年間の時限措置だが、年収400万円の働き手なら年4千円程度の負担減となる。

───────────────────────────────────

報道では多少省かれていますので、
実際の法案「雇用保険法等の一部を改正する法律」でも確認してみましょう。
───────────────────────────────────

育児休業に係る制度の見直し(育児・介護休業法、雇用保険法)

※平成29年10月1日施行

  • (1)原則1歳までである育児休業を6か月延長しても
    保育所に入れない場合等に限り、更に6か月(2歳まで)の再延長を可能にする。
  • (2)上記に合わせ、育児休業給付の支給期間を延長する。

───────────────────────────────────

この法案の趣旨は、保育所に入れない等の理由で、
やむなく離職する人が出ることを防ぐために育児休業を延長することができるというもの。

この改正が行われた背景は、保育所の入所時期の問題でした。
一般的に保育所の入所は4月が多いため、現行法での1年+6ヵ月延長では、
保育所入所のチャンスは1回しかなく、その1回を逃せば実質翌年まで
育休をせざるを得ない上に最大6ヵ月は育児休業給付が受けられないという状況なのです。

例えば、5月生まれの子供がいる場合
育休を1年取得し、育休11ヵ月目の4月に入所できなかったとすると、
育休12か月目の5月に延長申請をして6ヵ月延長されると11月までは育休できるが、
次の4月までは5か月足りないことになる。

このような背景から、今回育休が延長されたというわけです。
ですが、実はもう一つ育休延長に至る背景があったのです。
それを説明するために付帯決議について確認してみましょう。

●付帯決議のパパクオータ制度って?

今回付帯決議として、「パパクオータ制度」の導入が求められました。
このパパクォーター制度とは一体何でしょうか?

これは、父親に一定の育児休暇を取得するように割り当てる制度のことです。
この制度は、1993年にノルウェーが導入し、北欧を中心に広がりました。
ノルウェーでは1977年から男性も育休を取れるようになっていたものの、
実際に取得する人は皆無に等しかったため、
この制度を導入した結果、2003年には父親の9割が利用するようになりました。

日本でも、1991年に男女ともに育児休業を申し出ることができるようになっていますが、
やはり男性の育児休暇取得率は極めて低いと言う状況です。
そこで、パパクオータ制度である程度の強制性をもって、
父親の育休を推進しようと言う議論
が行われてきていました。
その具体的な中身は、「育休期間の一部を父親に限定する」というものです。

実は、今回の育休期間の延長は、パパクオータ制度を
同時に導入する前提で検討されていた背景があります。

そこでは、育休期間を6ヵ月延長できることにするが、
そのうち3ヶ月または6ヵ月全部を父親のみが取得できる
ものにしようと内容でした。
こうすることで、半強制的に父親が育休を取得することになり、
女性の社会進出が促進され、男女の権利が平等化していくという考えのようです。

しかし、各家庭の実質的な家計を考えるとこれは大きな損失です。
一般的に父親の所得の方が母親よりも多いため、
半強制的に父親を育休にしてしまうと家計が苦しくなるのは必至です。
そうしたことから、根強い反対もまた多いわけです。

つまり、今回のパパクォータ制度は付帯決議がついたと言うよりは、
付帯決議に留まったと言うのが正しい見方だと言えそうです。
こうした観点からも育休制度の今後の動向に注目する必要がありそうです。

以上、いかがでしょうか?
育休期間の延長は、実はまだ途中段階であり、
パパクォータ制度の導入が推進されようとしているわけです。
実際の家計を考えると多くの反発があるのは間違いないでしょうし、
企業側から見ても目先の損失は大きいでしょう。

この問題は、女性の就業率や賃金水準、また配偶者控除等の制度などを含めて
様々なことが関連する「大きな価値観の転換」が必要になりますから、
一筋縄ではいかないはずです。

マスコミなどの報道各社は、森友問題や豊洲問題ばかりを扱わずに、
ぜひこうした議論を正面から報道してもらいたいものです。

それでは、今回の報告は以上です。
また次週宜しくお願い致します!