諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです
今回は、東京都議選を絡めた、
「国際金融都市・東京」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■「国際金融都市・東京」 都議会議員選挙の裏側
都議会議員選挙が公示となり、
都内では選挙一色になりはじめました。
今回の都議会議員選挙では、
豊洲問題で二転三転した感のある
小池都知事が都民にどう評価され、
小池新党の「都民ファーストの会」が
どの程度議席を取るかに注目が集まっています。
ですが、お金諜報部としては、
それよりも小池都知事が掲げる
「国際金融都市・東京」の方が気になります。
そこで、今回は具体的な政策を見ながら、
どのようなことを目指しているのか
確認してみたいと思います。
●「国際金融都市・東京」ってなんだ?
あまり注目されていないので
知らない人の方が多い気がしますが、
東京都は国際金融都市を目指して進んでいます。
「な、なんだってー?」
と思う人もいるかもしれませんが、
昨年の都知事選の際に小池百合子氏の公約でもありました。
その内容は、次のようなものです。
スマート・シティ 世界に開かれた、環境・金融先進都市・東京
(7)東京をアジアナンバー1の国際金融市場として復活。
国際金融特区や税優遇を活用し、世界から企業や高度人材を呼び込む。
英語による諸手続きが可能な環境を整備。(8)フィンテックの活用を含め、東京版グラミン金融(小口無担保融資)を推進する。
参考)小池ゆりこ 都知事選2016 東京大改革宣言 https://www.yuriko.or.jp/senkyo/seisaku/
これにより、昨年の11月より
小池都知事の“肝煎り”で
具体的な内容が検討されてきました。
その検討の結果、
大枠となる骨子が今月発表されています。
「国際金融都市・東京」構想骨子 ~「東京版金融ビッグバン」の実現へ~
1.アジアの金融ハブとしての国際金融都市・東京
東京が、日本国内の豊富な個人金融資産を、
日本を含むアジアの成長に資金供給していくためのハブになる。2.金融関係の人材、資金、情報、技術が集積する国際金融都市・東京
東京が、優秀な金融関係の人材が集い、世界中から運用資金や情報が集まり、
高度な金融技術を有する金融系企業が集う都市になる。3.資産運用業とフィンテック企業の発展に焦点をあてた国際金融都市・東京
資産運用業とフィンテック企業が発展することで、
東京の金融業が活性化される。4.社会的課題の解決に貢献する国際金融都市・東京
金融系企業の行動規範としてグローバルなトレンドとなっている
投資家・顧客本位、ESG投資*を取り込み、
社会的課題の解決に貢献する都市になる。
※ESG投資
環境(Environment)、社会(Social)、
企業統治(Governance)に
配慮している企業を重視・選別して行う投資。
参考)「国際金融都市・東京」構想骨子 http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/06/09/documents/01_01.pdf
これが「国際金融都市・東京」が
目指す姿ということのようです。
その具体的な内容を見てみると、
国家戦略特区制度を活用した
金融関連企業の法人税率や相続税等の軽減を中核として、
海外企業の誘致や外国の高度人材が
生活しやすくなるような家事使用人利用の促進
などが挙げられています。
これを見みて、
「おや?どこかで見たことが…」
と思われた方は鋭いです。
●実は猪瀬都知事時代から検討されていたものだった
実は、この国際金融都市構想が始まったのは、
猪瀬都知事時代なのです。
実際は、辞任直前に発表されたので
うやむやになってしまいましたが・・・
その後、舛添体制でも引き継がれて
同様の検討・発表がされています。
その時は東京国際金融センターと呼ばれていました。
参考)東京国際金融センター 東京都政策企画局 平成26年7月11日 http://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/TGFC/japanese/
また、当時も今も具体的な内容を見ると
「法人税率等の軽減」が
中核となっていることが実に不思議です。
東京都の判断で法人税率を
変えることができないからです。
にもかかわらず堂々と発表されているということは、
「発表することで政府に圧力をかけている」か
「実は既に話がついている」のいずれかのはずです。
その答えは、これを見ると理解できると思います。
「金融・資本市場活性化に向けての提言」の公表について
平成25年12月13日 金融庁 財務省
参考)金融庁 有識者会合 http://www.fsa.go.jp/singi/kasseika/20131213.html
その内容は言わずもがなですが、
「国際金融センター」
「国際金融都市・東京」
の構想と同じものです。
さらに、
「2020 年までに国際金融センターとしての地位を確立する」
などが具体的な期限にも踏み込んで提言されていました。
もうお分かりかと思いますが・・・
●国際金融都市構想は、アベノミクスの一環だった
いま謳われている
一連の国際金融都市構想は
アベノミクスの成長戦略として
考案されてきたものでした。
そして、その実現においては
東京以外ないと考えた政府・金融庁・財務省は、
歴代の東京都知事の賛同・協力(?)を得て、
着々と進めてきたというわけです。
実にしたたかというべきか、
恐ろしいと言うべきか、
小池都知事の都民ファーストが
中核として掲げているものが
アベノミクスの一環だったというわけです。
●都議会議員選挙の各党の政策を確認してみよう
こうなると気になってくるのは、
「今回の都議会議員選挙でどうなるのか?」
でしょう。
都知事がいくら謳っても都議会の反対にあえば、
その実現が難しくなりますから、
各党がどのような政策を
打ち出しているかは重要です。
そこで、今回の都議会議員選挙で
各党会派がどの程度政策で
言及しているか調べてみました。
主な各会派等(現議席数順) | 金融関連の公約 |
---|---|
東京都議会自由民主党 | ・高齢者が自らの資産を活用して、必要な福祉サービスを利用することができるよう、金融業界とも連携してリバースモゲージを進めること。
・東京国際金融センターの実現に向けて、金融分野で活躍できる高度専門人材の育成を図ること。(新規) |
都議会公明党 | ・資金繰りに苦しむ小規模零細企業に対し、地域金融機関を活用した都独自の融資制度を大幅に拡充 |
東京改革議員団 | ※6月25日段階で公式HPに政策の記載なし
※但し、民進党が「東京政策2017」を発表。 (民進党 東京政策2017より) ・IoTやフィンテックなど、ものづくりとIT、金融などを繋げる新たな産業分野において、新事業、革新的事業にチャレンジする中小企業を積極的に支援します。 |
日本共産党東京都議会議員団 | ※金融関連の記載なし |
都民ファーストの会 東京都議団 | ・アジアナンバー1の国際金融市場への復活を目指す
・外国企業誘致を加速 ・最先端の資金運用サービスを提供 ・運用業者の法人実効税率引き下げを政府に働きかけ ・新興のファンドに資金を運用させる「EMP」の促進 ・金融とITを融合した「フィンテック」を推進 ・金融に親しみを持てるように、子どもへの金融教育を充実 ・環境・社会・ガバナンス(ESG)先進都市の実現を目指し、東京賞を創設 ・成長へのイノベーションや世界へ羽ばたくベンチャー企業を支援。 ・インターナショナルスクールを誘致など、高度人材の住・教育・医療環境を整備 ・グリーンボンドを活用し、環境対策を充実 |
都議会生活者ネットワーク | ※6月25日段階で公式HPに政策の記載なし |
※リバースモーゲージ
持ち家を担保にして、そこに住み続けながら
金融機関から融資を受けられる融資制度
※東京改革議員団
旧民主党系の「都議会民進党」と
旧維新の党系の「民進党都議団」が
合流して結成された会派。
民進党系の会派にもかかわらず、
民進党の看板を名称から外したことが話題に。
参考)各会派の政策提言 ・都議会自民党 http://www.togikai-jimin.jimusho.jp/01togikai/01gikai/01hokoku/pdf/103.pdf ・都議会公明党 https://www.komei.or.jp/news/detail/20170512_24152 ・東京改革議員団 http://www.togikai-minshinto.jp/toseisaku/index.html ※民進党:http://www.dp-tokyo.jp/wp-content/themes/minsyu/pdf/tokyo_seisaku_2017_2.pdf ・日本共産党東京都委員会 http://www.jcp-tokyo.net/2017togisen_uttae/ ・都民ファーストの会 https://tomin1st.jp/wp/wp-content/themes/tomin1st/seisaku.pdf ・都議会生活者ネットワーク http://www.togikai-seikatsusha.net/
ザッと見ても一目瞭然ですが、
国際金融都市の推進を明確に押し出しているのは、
都民ファーストの会です。
実際のところ、都議会自民党も
推進しているはずなのですが、
今回の都議会選挙では
明確に打ち出していないようです。
あえてなのでしょうが・・・
その他の会派を見ても、
民進党系の東京改革議員団も
賛同しているように見えますから、
結局のところ、どのように転んでも
「国際金融都市・東京」構想は
推進されていくことになるでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
「国際金融都市・東京」は
アベノミクスの一環として推進されてきたもの
であったことがお分かり頂けたと思います。
そして、今回の都議会議員選挙でどこが勝とうが、
確実に推進されていくことになるでしょう。
ちなみに、金融関連株が既に高騰し始めているようです。
こうしたことも株式市場は
織り込み済みなのかもしれませんね。
それでは、今回は以上です。
次回も宜しくお願い致します!