こんにちは!諜報部長!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

今回も引き続き
「規模に応じた税理士との付き合い方」
というテーマで報告をしていきます。

<前2回:下記リンク参照>
※規模に応じた税理士との付き合い方-①個人事業(売上1,000万円未満)規模に応じた税理士との付き合い方-②個人事業(売上1,000万円超)

実際に税理士に依頼をしている方にとっては、
税理士に依頼する意味・メリットは
充分ご理解されているかと思いますが、
まだお付き合いをされていない方にとっては、
「税理士と付き合うメリットって?」
「税理士と契約しないと不都合あるの?」
とお考えになる方もいらっしゃるかと思います。

ということで、このテーマでは、
個人・法人という形態の違い、
また、売上規模に応じて変わる
税理士のサービス・付き合い方について
お話を進めていきたいと思います。




■規模に応じた税理士との付き合い方-③法人(売上1,000万円超)

前回はある程度事業が動き始めた状況として
「個人事業主で年商1,000万円超」
というお客様の場合を想定してお話をしました。

この規模になると、事業主は忙しくなり、
その分だけ仕事が動いているという状況が
想定されるのですが、
今までの規模で税理士さんに依頼していた、
記帳や申告代行、青色申告適用、
諸々の相談応対という内容以外に、
「消費税」や「法人化」というポイントで、
新たな要望・悩みが出てくるという話をしました。

今回は、それを経て法人化した場合、
というわけではないですが、
「法人で年商1,000万円超」
のお客様の場合のお話です。

「1,000万円超」となると非常に広く感じますが、
基本的には1,000~3,000万円くらいまでと
お考え頂ければと思います。

●事業主側の要望は?

この売上規模の法人だと、
「売上増により法人化した個人事業主」
「事業開始直後の法人」
などが該当するかと思います。

前者の場合は、
法人格を得たことにより、
源泉所得税の天引きが無くなったり、
消費税分も請求に加算出来たり、
と言ったことで、同規模の展開でも
会社への入金額が増える状況になるでしょう。

後者の場合は、事業開始直後なので、
何かとお金も入り用だと思いますが、
一生懸命営業活動を行って、
売上が増えてくる時期だと思います。

どちらにも共通するのは、
売上を作るのも、事務的な作業でも、
代表者にかかる負担が大きいので、
非常に忙しい状況だということです。

この状況においても、
税理士に対しての主な要望は、
前2回で説明した税理士への3つの内容
【記帳や申告の代行】
【青色申告適用や節税】
【諸々の相談】
が中心的な内容になると思います。

ですが、以前同様、
新たな要望も出てきます。

●事業主からの新たな要望とは?

売上規模や営業形態が変化すると、
新たな疑問・不明点・問題点が
出てくるものです。

では、前2回の個人事業時代と異なり、
法人になることでの新たな要望とは
どんなものでしょうか?

具体的に言及すると、

  • 社会保険関連や給与計算
  • 融資や資金繰りについて

この2点です。

上記にある通り、この規模の法人では、
「売上増により法人化した個人事業主」
「事業開始直後の法人」
という2パターンが考えられると
記載しましたが、
どちらの事業主の場合であっても、
この新たな要望に関して、税理士に相談を
希望される方が増加すると思います。

それでは、この2点について、
順に説明していきます。

【社会保険関連や給与計算】

個人事業から法人に変わったとき、
大きく変わるのがこれです。

個人時代は国民健康保険加入ですが、
法人になると、協会けんぽ等の
社会保険に加入しなければなりません。

これは、代表者1名の法人であっても
そのようになります。

また、給与計算もしなければならなくなります。
代表者1名だけが所属する会社であっても、
「役員報酬」という形で、
会社から給料をもらっている形になりますからね。

個人事業から法人化した事業主にとっては、
大きく勝手が異なるのがこのあたりだと思います。

そして、社会保険料は税金と違うので、
赤字でも絶対に払わなければなりません。
ただ、法人は保険への加入義務がありますので、
基本的に加入しない・脱退する
ということも出来ません。

さらに、保険料が変動する大きな要因である役員報酬は、
金額を毎期初めに変更は出来ますが、
それ以降はコロコロ変更できません。

※国税庁 役員に対する給与(平成28年4月1日以後に開始する事業年度分)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5210.htm

となると、「給料はこれくらい欲しいから、
自分の役員報酬額はこの程度にしよう!!」
と安易に決定してしまうと、
トンデモないことになります。

実際に、保険料が非常に負担なので、
法人にしたけど、個人事業に戻す(個人成り)を
選択される事業主様もいらっしゃいます。

ここまでリスクのある要因となると、
流石に簡単には決められない、
相談したい!とお考えになる事業主様が多い
のもご理解頂けるかと思います。

【融資や資金繰りについて】

個人事業時代や創業前の段階では
手持ちの資金範囲で活動される分、
融資や資金繰りについて
そこまで本格的に考えていない事業者も
多いのが事実です。

ただ、法人が立ち上がると、
上記の社会保険の加入だったり、
事務所を借りたり、設備や道具を揃えたり、
人を採用したりと、お金のかかる事が
多くなるのが事実です。

「思った以上に出費があるな・・・」
とお気づきになったとき、
出費が気にならないレベルの
売上入金がすぐにあれば良いのですが、
業界によっては、
売上入金までに時間がかかったり、
そもそも売上が立つまでに時間がかかったり、
というケースがあったりもします。

こういう事情があり、事業主としては、
「金融機関から資金を借りる」
ということを検討するのですが、
「お金貸してください!!」
という希望だけで貸してくれるほど、
金融機関は甘くありません。

事業計画書を作ったり、
売上計画や損益計算の想定資料を作ったり
する必要があるのですが、
全くこういった資料を作ったことが無い、
という事業主もいらっしゃると思います。

そこで、やはり税理士さんを頼るわけです。
「提出資料はどうすればいいか」
「借入希望額はどの程度が妥当なのか」
「返済期間はどのくらいが良いか」
「そもそも、うちには融資してもらえるのか」
こういった諸々の相談に乗ってくれるだけでなく、
近隣の政策金融公庫や信用金庫さんを
紹介してくれる税理士さんもいらっしゃいます。

当然、事業主が自力で政策金融公庫に出向いて、
話を進めることも出来ますが、
税理士さんから紹介してもらった方が、
公庫の担当者も安心できるので、
スムーズに話が進むケースが多い
です。

●この状況での税理士との付き合い方

法人になってから以降は、
事業主の要望に応じて、税理士さんとの
関わり方が大きく変わります。

  • 税理士事務所での記帳代行
  • 安価な会計ソフトの導入支援や指導
  • 決算書作成、申告書作成と提出代行
  • TEL、メール等での相談応対
  • 税理士との打ち合わせ(年1回~毎月)
  • 給与計算、年末調整
  • 融資関連業務応対(資料作成協力等)

具体的なサービス品目を列挙すると、
こういった記載になると思いますが、
どのサービスの提供を希望し、
実際に提供を受けるかは、
事業主の考え・要望を踏まえて、
税理士さんと打ち合わせして決定、
ということになると思います。

●税理士に払う料金は??

では、こういった関与を税理士に
依頼する場合、報酬としては、
どの程度になるのでしょうか?

上記にもある通り、関与の仕方で
大きく変わりますので、あくまで参考程度ですが、
MIN:年間20万円前後
MAX:年間50万円前後
とお考えください。

大きな料金の幅がありますが、
影響する要因は、

  • 記帳代行、給与計算の依頼量
  • 年間の打ち合わせ回数

の2点だと思います。

自社で会計ソフト入力を行い、
給与計算も自社で実施、
打ち合わせ回数も年間1~2回であれば、
税理士側も業務負担が非常に少ないので、
MINに近い金額になると思います。

ですが、記帳代行も給与計算も依頼する、
融資関連相談の為、打ち合わせ頻度も多く、
税理士事務所とのやりとりも多い、
という事であれば、税理士に対しても
それ相応の報酬が必要になります。

ただ、これだけ報酬額に差がある通り、
税理士からの情報・サービスの提供には
大きな差があります。
それに応じて、税理士との関係性や信頼も
深まっていきますので、
相応の費用対効果は感じるはずです。

●ちなみに

上記の中で話にあがった、
社会保険関連についてですが、
専門的に扱う士業は、
社会保険労務士(社労士)です。

役員だけ所属している企業や、
代表者とパート1名だけ、
といった企業では
税理士だけでなく、社労士も関与する
というケースはあまりないです。

ですが、縁故以外の採用活動や
定期的な人員採用が
始まった企業においては、
書類手続きも増大しますし、
助成金申請も視野に入ってくるので、
社労士とも関与するケースが多くなります。

税理士としても、関与先企業に従業員が増えてくると、
社労士の関与を勧めるケースは珍しくありません。

ただ、それは業務が面倒だから、
ということではありません。

社会保険関連は税理士が専門家では無い為、
出来る範囲が限られているということと、
事業主が得られるメリットを最大化するため
とお考え頂ければと思います。

さて、今回の報告は以上です。
次回も「規模に応じた税理士との付き合い方」
という同テーマで報告したいと思います。

また、次回宜しくお願い致します。