諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
今回は、「マイホーム購入時の
贈与税の特例」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■親から資金援助してもらって家を建てたけど、確定申告忘れた!
2017年上半期の住宅着工件数が堅調のようです。
その背景には、贈与税の特例措置による
影響が大きいようなのですが、
同時にトラブルも起きているようです。
今回は、住宅資金の贈与を受けた時の
特例制度について、まとめてみます。
●親から援助してもらって家を建てたけど、贈与税って何?
「去年、親に700万円援助してもらって
マイホームを買ったんだけど、贈与税って何?」
ごくごく普通のサラリーマンAさん。
念願のマイホームを手に入れて
幸せな生活を送っていたところ、
ちょっと問題が発生したようです。
Aさん「実は、会社の同僚にマイホームの
自慢をしてたらさ、その同僚が
『お前確定申告ちゃんとしたか?』
って聞かれたんですよ。
新卒で今の会社に入ってから
確定申告なんてしたことないし、
そもそもサラリーマンは
確定申告いらないだろって笑って返したら、
『お前の場合は確定申告しなくちゃダメだろ』
っていわれちゃって・・・・。
なんか贈与税がどうしたこうした
って言ってたけど、どゆこと?」
どうやらAさんは何も知らないようです。
ということで、イチから説明していきましょう。
●贈与税はもらった人が払う税金
ご両親からマイホームの頭金を
支援してもらったAさん。
つまり、ご両親から贈与を受けた
ということです。
一般的に贈与を受けた場合、
次のような税金「贈与税」がかかります。
【贈与税とは】
個人から財産をもらった時にかかる税金です。
その年の1月1日から12月31日までの
1年間にもらった財産の価値の合計から
基礎控除110万円を差引いた残りに
一定の税率で課税されます。
つまり、一般的に基礎控除110万円以上の
贈与を受けた場合は贈与税がかかり、
翌年2月1日から3月15日までの間に
確定申告が必要なのです。
その際の税率と控除額は次のとおりです。
【一般税率】
直系尊属(祖父母・父母など)以外からの贈与
贈与額から基礎控除を差し引いた金額 | 適用する税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1000万円以下 | 40% | 125万円 |
1500万円以下 | 45% | 175万円 |
3000万円以下 | 50% | 250万円 |
3000万円超 | 55% | 400万円 |
【特例贈与】
直系尊属からの贈与
贈与額から基礎控除を差し引いた金額 | 適用する税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0円 |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1000万円以下 | 30% | 90万円 |
1500万円以下 | 40% | 190万円 |
3000万円以下 | 45% | 265万円 |
4500万円以下 | 50% | 415万円 |
4500万円超 | 55% | 640万円 |
ですが、Aさんのような住宅購入時に
ご両親から贈与を受けるようなケースでは
特例制度があります。
●贈与税の特例(住宅購入時)
父母や祖父母など直系の尊属からの贈与により、
自分の住宅の新築や改築などの
費用に充てた場合、一定の要件を満たせば
贈与税が一定額まで非課税となる制度。
平成27年1月から始まっています。
具体的な要件や非課税限度額は次の通りです。
【受贈者の要件】
次の要件の全てを満たす
受贈者(財産を受け取る人)が
非課税の特例の対象となります。
- 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
(※)配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。 - 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
- 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
- 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます)。
- 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
(※)受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。 - 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(平成29年4月1日以後に住宅取得資金の贈与を受けた場合には、受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除きます)。
- なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
(注)贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
【非課税限度額】
契約締結日、住宅の種類、
消費税率に応じて非課税限度額が異なります。
・消費税が現行(8%)の場合
住宅用家屋の取得等に係る契約締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~平成32年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
平成32年4月1日~平成33年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
平成33年4月1日~平成33年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
・消費税が10%の場合
住宅用家屋の取得等に係る契約締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
平成31年4月1日~平成32年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成32年4月1日~平成33年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成33年4月1日~平成33年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
※「省エネ等住宅」とは、下記省エネ等基準に 適合する住宅用の家屋で、一定の書類により 証明されたものをいいます。 ①断熱等性能等級4、もしくは 一次エネルギー消費量等級4以上であること ②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、 もしくは免震建築物であること ③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
【特例の適用を受けるための手続き】
非課税の特例の適用を受けるためには、
贈与を受けた年の
翌年2月1日から3月15日までの間に、
非課税の特例の適用を受ける旨を記載した
贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、
新築や取得の契約書の写しなど
一定の書類を添付して、
納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
詳しい申告のしかたは、こちらでご確認ください。
参考)平成28年分の贈与税の申告のしかた-国税庁 https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/zoyo/tebiki2016/01.htm
●確定申告を忘れてしまったら、どうなるのか?
Aさんが贈与を受けて
マイホームの購入をしたのは去年です。
贈与税やその特例制度を
よく理解していなかったAさんは、
今年の贈与税申告を行いませんでした。
その場合、どうなるのでしょうか。
大変残念ながら、
贈与税の特例を受けることができません。
贈与税の特例の条件を満たしていたとしても、
贈与税の特例を受けるためには、
贈与税の期限内申告が不可欠なのです。
両親から700万円の贈与を受けていたAさんは、
正しく手続きしていれば
非課税限度額内なので、非課税でした。
ですが、申告をしていなかったため、
前述のような贈与税がかかってくることになります。
具体的に計算してみると、次のようになります。
(700万円ー110万円)×30%-90万円=87万円
なんと、87万円の贈与税を
納める必要があります。
さらに、確定申告を行っていなかったことで
無申告加算税や延滞税などの
罰則を受ける場合があります。
詳しくは、こちらをご確認ください。
参考)税理士が語る「確定申告を忘れてしまった場合」 https://www.y-chohobu.com/archives/2275
こうなってしまったAさんに
残された道はただ一つしかありません。
それは、出来る限り早く
申告・納税を行うことです。
遅くなればなるほど、
延滞税が年率10%で加算されていきますし、
そのまま放置して税務署から
指摘を受けてしまった場合は、
さらに重加算税40%を
上乗せされてしまう可能性もあります。
Aさん「税金について知らないと
こんなことになるですね・・・トホホ・・・」
以上、いかがでしたでしょうか。
気のきく不動産屋さん等では、
しっかり贈与税の説明や
手続きの支援をしてくれることも
あるようですから、
「そんなの当然だよ」
と思っている方も多いかもしれません。
ですが、確定申告とは縁遠いサラリーマンの方は、
比較的忘れがちなのでこうしたケースに
陥ってしまうことが多いようです。
こうしたことにならないためにも、
自分と関係ありそうな税制については、
日頃からしっかりチェックしておくことが大切ですね。
それでは、今週の報告は以上です。
次回も宜しくお願い致します。
- 投稿タグ
- 住宅取得等資金の贈与, 確定申告, 贈与税