こんにちは!諜報部長!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、先日、5月18日に、
財務省から一つの情報が発信されました。

仮想通貨における海外送金、
海外からの支払受領についての話なのですが、
それに関するお問合せも増えているので、
今回は「仮想通貨の外為法適用について
ということで、その内容について
まとめてみたいと思います。

■仮想通貨の外為法適用について

さて、本題に入りますが、
5月18日に財務省から通達されたものは
下記の内容です。

仮想通貨に関する外国為替及び外国貿易法に基づく報告について周知します

外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)では、
日本と外国との間又は居住者と非居住者との間で
3,000万円相当額を超える支払又は支払の受領をした場合には、
財務大臣への報告が必要となります。

当該支払又は支払の受領には、
日本円や米国ドル等の法定通貨を用いたものだけでなく、
仮想通貨を用いて行った場合も含みますので、
仮想通貨に関する外為法に基づく報告について周知します。

※財務省:仮想通貨に関する外国為替及び外国貿易法に基づく報告について周知します
https://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/gaitame/recent_revised/gaitamehou_20180518.htm

・・・内容は驚くほどシンプルです。
要は、3,000万円相当額を超える仮想通貨を
外国や国内居住者以外とやり取りした場合は、
きちんと報告してください!!
という内容です。

じゃあ、報告に適用となるものはどういったものか?
どこに報告するのか?
そういった点をまとめていきたいと思います。

●対象となる取引

該当ページにある別添1(※)
という資料にまとまっていますが、
下記のようなものです。

※財務省:仮想通貨に関する取引を行う方々へ(別添1)
https://www.mof.go.jp/international_policy/gaitame_kawase/gaitame/recent_revised/gaitamehou_20180518_1.pdf

【報告が必要となる仮想通貨に関する取引の主な事例】

  • 仮想通貨を売買する取引であって、当該取引に関して支払又は支払の受領が法定通貨又は仮想通貨で行われたもの
  • 仮想通貨を交換する取引
  • 仮想通貨を移転する取引
  • 仮想通貨に関する取引で生じた利益金、配当金又は手数料等に係る支払又は支払の受領
  • 仮想通貨に関する取引を委託し、又は受託した際の預け金又は預り金に係る支払又は支払の受領
  • 財貨、サービス又は金融等に関する原取引があり、当該取引に関して支払又は支払の受領が仮想通貨で行われたもの等

仮想通貨を購入したり、
仮想通貨を別の仮想通貨に交換したり、
仮想通貨を移動したり、
仮想通貨で支払ったり・受け取ったり
こういったことが適用になるということです。

ただ、全ての取引が報告の義務が
必要ということではなく、
1回の取引が時価で3,000万円以上となる場合
に関しては報告が必要ということです。

仮想通貨の取引をされている方であれば、
ご存じだと思いますが、
流通している仮想通貨に関しては、
ほぼ間違いなく日本円の時価換算が可能です。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)等の
日本の取引所でも売買できるような
主要通貨と言われるものは勿論、
海外の取引所に上場している通貨でも、
ドル換算やBTC・ETH換算が可能なので、
そこから日本円に時価換算が可能です。

時価3,000万円以上が報告対象ですので、
1回のやり取りがそれ未満であれば、
報告の必要はありません。

また、これは海外や非居住者が関わる取引について
ということなので、勿論ではありますが、
国内取引所のみでのやり取りなら対象外です。

●財務省にも突っ込んで聞いてみた!

ただ、今回の周知は非常にシンプルなので、
書かれていない内容について
財務省にも確認して聞いてみました。

Q1:自己名義の海外取引所に資金移転するのも対象になるの?

A:資金移転先の取引所が国外所在なら、報告対象になります。
補足:BINANCEやBITTREX等の海外取引所を
国内にいながら開設している人もいると思います。
この自分名義の海外取引所への送金や、
そこから日本国内への送金が
1回3,000万円以上になると報告が必要、
ということです。

Q2:取引所ではなくウォレットへの資金移転の場合、海外かどうかは、どうやって判定?

⇒A:明確には回答しづらい。
明らかな海外事業者運営のものなら
報告が必要ですと断言できるが、
微妙な場合は違反になるか・ならないかは
一概に申し上げられないので、不安なら報告を勧めます。
(明言しづらい質問でした・・・)

Q3:対象となる取引を行った場合の報告先は?

⇒A:仮想通貨交換業等の金融庁登録の事業者を
介している取引ならその対象事業者へ、

そうでない場合は日本銀行の担当部署へ、となります。
※前者と後者で報告書類のフォーマットも少し異なります。

Q4:違反時の罰則は?

⇒A:外為法71条により、6ヶ月以下の懲役か、
50万円以下の罰金が科せられます。

ご回答頂いた財務省の担当者の方、
ありがとうございました。。。
※こちらの内容は2018年5月末にヒアリングした内容です。

●何故、ユーザーにも通達されているのか?




今回の周知内容ですが、Webのニュースだけでなく、
日本国内の取引所を開設されている方でしたら、
取引所からもメールで周知がされたと思います。

何故、今回はここまで一般の方々へ
通達が徹底されているのでしょうか?

【1:法定通貨と仮想通貨の違い】

この外為法の扱いに関しては、
金融機関を介さない状態で
海外に多額の送金を行う、
海外からの多額の送金を受領する、
というのがかなり難しいものでしたので、
一般のユーザーの認知度が低いルールでも、
実質、金融機関に周知徹底させれば、
ほぼ問題ないというものでした。

ただ、それは法定通貨における内容で、
仮想通貨においては、
一般のユーザー間でも送金・出金が
出来てしまう仕組みです。
その分、面倒かもしれないけれども、
一般のユーザーにもこの事情を知ってもらう為に
今、動いているという事だと思います。

【2:「周知します」ということの意味】

これは結構、キモです。
この「周知」という言葉からすると、
「この事実を知らない人が多そうだからお知らせします」
ということになりますが、
この内容から読み取るべきは
後で知らないと言われても罰則対象、
ということだけではなく、
既に適用されているので従ってください
ということです。

通達された内容が改正とかであれば、
「○年○月〇日~適用」ということになるのですが、
これは、もう適用になっているということです。

●仮想通貨は自己責任範囲が多い

今回の件がまさにそうですが、
今までは金融機関や各企業側が
応対してくれていた内容でも、
仮想通貨関連となると、
個人間やり取りが出来てしまうため、
ユーザーにも負担を強いる仕組みになります。
そして、最終的に責任を取る、取らされるのはご自身です。

少額の投資・運用であれば、
こういったことには無関心でも
問題ないかもしれませんが、
仮想通貨の保有額が大きくなってきたり、
多額の運用を行うようになってきたり
という状況でしたら、
是非、重要な情報は常に収集を
怠らないことが重要です。

それでは、今回は普段と内容が
多少異なる内容ですが、
ご相談も多かった事象ですので、
急遽報告致しました。

仮想通貨に関する内容で
自力での申告、利益計算が難しい、
という方は税理士にご依頼ください。
ただ、現段階では、
仮想通貨に関わる申告応対は、
応対事務所が限られているので、
是非こちらに相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

また、次回宜しくお願い致します。