諜報部長!お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは
「民泊新法」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■民泊が激減!? 民泊新法は失敗だったのか?
昨年、国会を通過した民泊新法が
いよいよ施行されました。
待ちに待った人も多くいたと思いますが、
何かと混乱もあるようです。
一体何が起きているのか、まとめてみます。
●民泊新法って何?
昨年6月の第193回通常国会で、
空き部屋や空き家を旅行者に有料で貸し出す
「民泊」について定める「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が成立しました。
その内容をザックリまとめると次の通りです。
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- 民泊ホストは自治体へ届出ることで、旅館業法の許認可がなくとも民泊を運営できる
- ただし、1年間の営業日数を180日以内に制限する
- 一定の保全管理義務(非常灯の設置、外国語での案内、苦情対応等)がある
- 民泊運営代行会社は国交省への登録が必要で一定の義務(誇大広告の禁止等)がある
- 民泊仲介サイト等は観光庁への登録が必要で一定の義務(手数料の明示等)がある
- 民泊新法に違反した場合は、懲役または罰金の罰則がある
- 都道府県は、条例で民泊の営業日数を制限できる
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参考)住宅宿泊事業法案―衆議院 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19305061.htm
これにより、平成30年6月15日に施行され、
現段階では自治体へ届出ていない民泊は
違法ということになります。
この民泊新法では、
比較的重い罰則規定がありますから、
注意が必要です。
●民泊新法には罰則がある
罰則は、民泊を営むホスト側と
管理業者、運営サイトとそれぞれ分けて規定されています。
ホスト、管理業者、運営サイトともに
自治体への届出が必要で、届出の有無や虚偽、
また各種義務違反などが主な罰則とされています。
ホストの場合は、次のような罰則となっています。
【ホスト】
6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 適切に届出ていない場合
- 虚偽の内容で届出した場合
- 営業日数上限(180日)を超えるなど法令に違反した営業をし、行政命令を受けたにも関わらず、無視して営業を継続した場合
50万円以下の罰金
- 民泊代行業者等に委託すべき義務があるのにこれを履行しなかった場合
30万円以下の罰金
- 届出事項に変更が生じた場合、30日以内にその変更内容を届出る義務があるが、それを守らなかったり虚偽の届出をした場合
- 宿泊者名簿を備え付けなかった場合
拘留または科料
- 宿泊者名簿に虚偽記載をした場合
重要なのは、これらは刑事罰となりますから、
起訴されて有罪となれば前科がつくことになります。
また、管理業者や運営サイトにも
同様に刑事罰が規定されていますから、
違反すれば実質的に営業できなくなるため、
しっかり守ることになります。
こうしたことから、
企業側は「届出が確認できないホスト」を取り扱わず、
サイトへの掲載を中止する等の動きが出てきました。
●さっそく様々な報道が・・・
民泊仲介サイト大手のエアビーアンドビーは、
日本国内の許認可がない施設の掲載を
6月4日に取りやめました。
これにより現段階では掲載数が
約1万4000件程度となり、
今春時点から約8割減ったことになるようです。
こうした状況を「エアビーショック」として取り上げています。
※民泊新法施行直前に… 「エアビーショック」なぜ起きた(テレビ東京WBS) http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_157094 ※エアビー、民泊解約3万件超の恐れ 訪日客は困惑(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31547230Y8A600C1TJ1000/
また、ホスト側の視点で多くの報道がされています。
中でも特に多いものが
「手続きが煩雑で大変」といった趣旨のものです。
※東京)民泊新法が15日施行、都内の届け出状況は(朝日新聞デジタル) https://www.asahi.com/articles/ASL6D64GCL6DUTIL04K.html ※民泊新法「ヤミ」減少狙うも、個人届け出低調の理由は(毎日新聞) https://mainichi.jp/articles/20180615/k00/00m/040/065000c ※「民泊させたくないとしか…」 新法スタート、沖縄3千軒の大半が姿消す(沖縄タイムス) http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/267792
エアビ―アンドビーは、
法案成立直後から法令遵守することを
明言していましたから、
直前になって慌てる方がどうかしていると思いますが、
これまで通りヤミ民泊を続けられると考えていた人が
多かったのかもしれません。
そもそも民泊新法ができた背景は、
利用者が拡大する中で
様々な問題が起きていたからでした。
例えば、ルールに従わずにゴミが捨てられていたり、
閑静な住宅地なのに連日大声で宴会がされたり等、
近隣住民とのトラブルが頻発。
また、賃貸物件にも拘らずオーナーに無許可で
民泊営業されていたり、
マンション投資の一環として民泊運用が進むなど、
本来の居住目的でない契約違反が横行していること等がありました。
確かに民泊申請するためには
一定基準の設備等を準備しなくてはなりませんし、
営業日数上限などの規制もありますが、
それらは利用客や近隣住民などへの配慮の結果ですから、
当然のことではないでしょうか。
近隣住民の迷惑と比べれば大した問題ではないはずです。
●民泊新法をチャンスと捉える動き
比較的ネガティブな報道が多い中で、
当のエアビ―アンドビーや
その他の仲介サイトは
前向きにビジネスチャンスと捉えているようです。
※米エアビーが日本の36社と共同体を組織(Bloomberg) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-14/PAAFGP6JIJUY01 ※楽天LIFULL STAY、民泊・宿泊予約サイト「Vacation STAY」で予約受付を開始(cnet) https://japan.cnet.com/article/35120917/ ※民泊届出サポートサービスの「MIRANOVA(ミラノバ)」(PRTIMES) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000032578.html ※高級宿泊予約「Relux(リラックス)」、合法の民泊物件を取扱い開始(トラベルボイス) https://www.travelvoice.jp/20180615-112784
朝日新聞のインタビューによれば、
エアビーアンドビーの
共同創業者ネイサン・ブレチャージク最高戦略責任者(CSO)は、
「これまで日本で民泊はグレーだった。
ルールが明確になり、これからかなり成長する」
と期待を表し、今後投資していくことを述べたようです。
2020東京オリンピックに向けて、
訪日外国人は更に拡大するのは必至ですから、
エアビーのみならず、新規参入を考えていた企業も多かったはずです。
ですが、法的にグレーな民泊では、
コンプライアンスが求められる
現在の企業環境では参入しづらいわけです。
つまり、民泊新法は
「民泊を法的に定義したこと」が重要なのです。
まさにエアビーの共同創業者が述べた
「法的明確化」こそが、今後民泊業界を伸ばしていく
エンジンとなるのではないでしょうか。
以上、いかがでしたでしょうか?
一部のメディアでは、批判的な民泊新法ですが、
その意義は大きいとご理解頂けたのではないでしょうか。
批判的な報道をしているメディアをよくよく見てみると、
民泊について批判するのが目的ではない気がします。。
また、自民党の元地方創生大臣である石破茂氏は
「蓋を開けてみれば非常に厳しい規制。何のための新法か」
と見直しを訴えたという話も出てきていますが、
こちらも別の目的が主眼なような気がします。。
いずれにしても、ついに施行された民泊新法。
今後の動向に注目ですね。
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