お世話になってます!
現役税理士諜報部員のDです。

さて、今回も引き続き、
「消費税の増税と軽減税率」
についてのお話です。

<前2回:下記リンク参照>
※消費税の増税と軽減税率について~①軽減税率制度の導入消費税の増税と軽減税率について~②複雑な軽減税率

来年に迫った消費税増税に関して、
税理士が解説していきます!

消費税の増税と軽減税率について

■消費税の増税と軽減税率について~③軽減税率導入後の経理・会計・税務

前回は、軽減税率対象の区分けでも、
より複雑な内容に触れました。

具体的には、同一の商品でも
家庭用と事業用という取引の違いで
軽減税率対象となるかどうかが変わるもの、
持ち帰り可能な商品を販売する飲食店で
外食(店舗で食べる)場合と、
中食(持ち帰る)場合で、
同一商品でも税率が変わること、
さらに、飲食料品以外で唯一、
定期購読の新聞だけが軽減税率対象
となっていること等に触れました。

今回は、軽減税率導入後の、
経理・会計・税務処理について
お話をしていきます。

●現行システムでは対応が出来ない

軽減税率導入後に、
対象となるもの・そうでないもの、
これだけの理解でも大変なのですが、
それ以上に大変なのが、
軽減税率が導入された後の
経理・会計・税務処理です。

現行の会計ソフトのままだと
間違いなく利用できなくなりますので、
バージョンアップや、
新たな会計システム導入が必須です。

事業によっては、
会計システムだけでなく、
販売や顧客管理等の
管理側以外のシステムまで
影響が出るケースもあると思います。

大企業など資金が豊富にあるところでは、
システム導入などにより
問題はないかもしれません。

しかし、中小零細企業、
個人事業者のような
小規模事業者ではどうでしょうか?

●小規模事業者にのしかかる負担

そもそも、消費税増税以後、
一定期間はキャッシュレス決済の
利用顧客にポイント還元!
のような案も出てきていますが、
小規模事業者は現金決済の所も多いです。

<参考記事>
※消費増税でポイント還元!? どゆこと?

キャッシュレス決済端末設置の
費用負担等は無料、もしくは軽減、
更に決済手数料も
減額されるかもしれませんが、
絶対に0にはなりません。

こういった事情だけでも、
中小零細企業や個人事業者のような
小規模事業者には負担増が
見えている状況なのに、
経理・会計・税務処理のための
システム導入・改修となると、
さらに費用がかさむことになります。

小規模事業者に適用となる
補助金や助成金が多々出てくる可能性も
充分にありますが、
それも、キャッシュレス決済関連同様、
自己負担が0という事は無いでしょう。

●小規模事業者はどのように取り組むべきか?

実際、運用面で考えると、
仕入れた商品は仕入先から
納品書や請求書が送られてきて、
そこにそれぞれの税率が
書かれているでしょうから、
問題ないかもしれません。

ただ、すべての販売商品について、
税率ごとに売上高を区分することが
できないようなケースも
おそらく発生してしまうでしょう。

ですが、そのような場合、
中小企業に限っては
特例計算が許されています。

幾つかの計算方法があるのですが、
例えば、卸売業や小売業では、

  • 売上高に占める軽減税率対象品目の割合
  • 仕入高に占める軽減税率対象品目の割合

この二つがおおむね一致することから、
仕入割合から軽減対象売上高を
算出するような方法です。

それでも、計算が困難な場合には、
簡易課税方式に切り替えてしまう
という方法も考えられます。

簡易課税方式であれば、
いちいち軽減税率対象品目に
区分する必要はありませんので。

上記は一例ですが、
このように、経理上の処理でも
いろいろな問題が出てくることが
予想されています。

「導入は1年後のことだから、まだまだ大丈夫」

と思わず、現段階からできるだけ
準備をしておくことをおすすめします。

特に、軽減税率対象となるような
商品を取り扱う事業を行う方は、
事前に税理士と打ち合わせが必要です。

現段階でも消費税の課税事業者となる、
というタイミングで税理士と契約を
薦める方は多いと思いますが、
来年の軽減税率制度の導入以降は、
消費税の課税事業者の方は、
税理士との関与がほぼ必須になると思います。

税理士とご契約をお考えになる方は、
是非こちらにご相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

それでは、また次回宜しくお願い致します。