お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは
「日産:ゴーン会長逮捕」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■日産ゴーン会長が電撃逮捕! 一体何があったのか?
連日報道されている
日産前会長のカルロス・ゴーン容疑者。
日々新しい情報が入ってくるため、
一体何が問題なのか、
どんな容疑なのかが
いまだにはっきりしていない印象があります。
そこで、現段階でわかっている範囲で
まとめてみたいと思います。
●電撃逮捕とこれまでの経緯
ことの発端は、11月19日夕方。
東京地検特捜部が、日産会長カルロス・ゴーン容疑者を
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕したと報じられました。
容疑の内容は、日産自動車での報酬を
過少に申告した疑いがあるものとし、
ゴーン会長とケリー代表取締役の2人が共謀の上、
2010~14年度の5年度分の有価証券報告書に、
実際の報酬額約100億円を約50億円過少に記載した疑いがあるとしています。
この報道を受けて、日産は19日夜、
ゴーン氏の日産会長と代表取締役の解任を
取締役会に提案すると発表しました。
その理由は、ゴーン氏の逮捕のみならず、
社内調査により重大な不正が見つかったとしています。
その不正の内容は、大きく次の3つです。
- 逮捕理由でもある有価証券報告書への過少記載したという不正行為。
- 目的を偽って私的な目的で会社の投資資金を支出したという不正行為。
- 私的な目的で会社の経費を支出したという不正行為。
この段階では、具体的な事例などの
言及はありませんでしたが、
後日どのような不正があったか
一部報道され始めています。
例えば、海外子会社の資金を使い、
パリやレバノンなどの海外の数か所で
高級住宅を購入させ、
ゴーン氏は家賃などを支払わず使用していたようです。
また、2002年からゴーン氏の姉に対し、
アドバイザー業務契約という名目で
年10万ドル(約1,130万円)前後、
累計で約170万ドルの実態のない支出があったようです。
その後、11月22日。
日産自動車は臨時取締役会を開き、
カルロス・ゴーン容疑者の会長職解任、
また同じく逮捕された
グレッグ・ケリー代表取締役の解任を
全会一致で決めました。
また、11月27日には、
会社法違反(特別背任)の疑いも
報じられています。
2008年、ゴーン容疑者が
私的な投資で生じた約17億円の損失を
日産に付け替えた疑いで、
証券取引等監視委員会が動いていたようです。
ゴーン容疑者が日産社長だった06年ごろに
自身の資産管理会社と銀行の間で、
通貨のデリバティブ取引をしていたが、
08年秋のリーマン・ショックにより
多額の損失が発生し、
担保不足⇒追証が必要となったようです。
そこで、追証をする代わりに損失を含む全権を日産に移管したようです。
さらに、12月1日には、
会社法違反(役員報酬総額超過)にあたるとして報じられています。
直近2年の報酬
(17年の報酬を約11億円とし約13億円の不記載、
18年の報酬を約7.3億円とし、16億円超の不記載)
にも不記載があったと報じられています。
これによって、株主総会で決議した
役員の報酬総額の上限を2年連続で超過
していたことになるようです。
これが事実だとすると、カルロス・ゴーン氏は、
株主から訴えられる可能性が高いでしょう。
この他にも、役員報酬が過少記載であったことから、
会社側が源泉徴収しているはずの金額も
同様に過少であったことが予想されます。
日本の会社から役員報酬を支払われた場合、
例えばそれが海外居住者であっても
会社側が源泉徴収して日本で所得税を
納めなければならないとされています。
そのため、今回の役員報酬が過少記載であったことで
同時に源泉徴収額も過少であった可能性が高く、
所得税法上の源泉徴収義務違反となり、
多額の追徴課税が課されることになりそうです。
このように、ゴーン容疑者の引き起こした不正は
多岐に渡り、今後も新たな事実が発覚する可能性が高いと思います。
そうした意味では、不正の全容が明らかになるには、
もう少し捜査の状況を見守る必要があるでしょう。
一方で、今回の事件は現段階で
いくつか不可解な点があります。
●いくつかの不可解な点
まず、今回の逮捕は、
日産側が事前に知っていた可能性が高いことがあります。
今回の件は、東京地検特捜部が動いていますから、
かなり用意周到に準備を進めてきたことは間違いないでしょう。
しかも、逮捕する相手は
世界的にも著名な人物ですから、
間違いや不手際があれば国際問題になりかねません。
そう言った意味で、特捜部は
相当慎重に動いているのは間違いないでしょう。
ですから、一般的に考えれば、
捜査対象となる日産自動車が
事前に逮捕を知っているはずがないわけです。
証拠隠滅などの可能性がありますから。
ですが、今回のゴーン氏逮捕から
日産の記者会見までの時間はわずか数時間でした。
まさに逮捕を今か今かと待っていたようにも
受け取れる迅速な対応でした。
実は、日産の西川社長が記者会見で
「日産が事前に行った内部調査で
不正の全貌を把握しており、
検察当局に協力している」ことを述べています。
また、「この事実はほとんどの役員は
会見直前に知った」と言っています。
つまり、日産の西川社長をはじめとする
一部の人間のみで内部調査を行い、
ゴーン氏・ケリー氏に知らせずに、
検察へ通報・逮捕に協力したことになります。
普通に考えれば、これは企業ガバナンスとしては
不自然な手続きではないでしょうか。
一般的に、社内で不正が発覚すれば、
取締役会にあげられ吟味されるでしょう。
そこに出席している会長のゴーン氏や
代取のケリー氏の言い分も聞いた上で、
どう対処するかを検討するはずです。
ましてや日産自動車は
ルノー系列のグループ企業ですから、
親会社に報告せずに
日産独自に動くのは不自然ではないでしょうか。
確かに親会社であるルノーのトップも
ゴーン氏であるという懸念はあったかもしれませんが、
取締役会に諮る分には支障はなかったはずです。
もし、その取締役会で
「事実の隠ぺい」が決議されたとしたら、
はじめて内部告発として
検察に通報にすれば良いわけです。
その方が企業価値を考えた上で
取れる選択が多いはずですし、
企業ガバナンスとして自然です。
ですが、西川社長の発言通りだとすれば、
そうしたプロセスをすっとばして、
西川社長と日産の一部の人間だけで
ゴーン氏やケリー氏を出し抜き、
内部告発したことになります。
つまり、これは実質的に
西川社長のクーデターの色合いが濃い気がします。
また、報道についても不可解な点があります。
今回の逮捕劇は、ゴーン氏を乗せる
羽田に到着したジェット機に
東京地検の捜査員が突入する一部始終を
朝日新聞が報じています。
つまり、少なくとも朝日新聞の記者は
事前に逮捕を知っていたわけです。
また、この件の続報についても、
新たな情報の大半が朝日新聞から
出ていることも注目するべきでしょう。
要するに、朝日新聞は、東京地検
または日産から情報のリークを受けている
と見て間違いないでしょう。
では、なぜ情報をリークしているのでしょうか?
その目的を考えれば、少し背景が見えてきそうです。
●今回の件の背景に何が?
まず、情報をリークしているのが
東京地検と日産のどちらかに関わらず、
その目的は「世論の印象操作」
と見て間違いないでしょう。
とすれば、現在の状況から考えれば、
今一番印象を気にしている
日産側のリークと考えるのが自然な気がします。
今回の事件は、ナンバー1・2の
共謀による不正行為ですから、
企業イメージのダウンは免れないでしょうし、
株価の下落や資金調達や
取引先への影響も甚大であることは
容易に想像がつきます。
つまり、なんとかして悪い印象を払拭して、
良い印象に変えていきたいと考えるはずです。
そう考えると、日産側が逮捕当日に
素早く記者会見を行った事も、
ゴーン氏らの“悪事”が日々小出しに
報じられてきていることも
理解できるのではないでしょうか。
「独裁者ゴーン氏・ケリー氏を迅速に取り除き、
日産経営陣はこれから信頼回復へ向けて
全力で改善してきます!」
・・・というシナリオです。
確かに、現段階でそういった報道が出始めています。
・NHKスペシャル「ゴーン・ショック 逮捕の舞台裏で何が」
2018年11月25日21:00 NHK
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20181125_2
・日産経営陣は「独裁者ゴーン」とこう戦ったクーデター全内幕
2018年11月26日 7:00 マネーポスト
https://www.moneypost.jp/350663
いずれもゴーンの独裁制と悪質な手口が延べられ、
それに日産の一部の経営陣や
監査役が独自に戦ってきたという内容です。
ですが、ゴーン氏が行ってきた不正は
少なくとも2010年から行われてきており、
何年も気がつかず、今年の3月頃に
不正の事実を初めて知ったというのですが、
本当でしょうか?
仮に本当だとしても、
不正を見過ごしてきた経営陣に
責任はないのでしょうか?
西川社長が記者会見の質疑に
「クーデターではない」と否定しましたが、
本当でしょうか?
今回の事件の真相は、
まだまだ隠された部分が多いような気がします。
今後の動向を見守りたいですね。