お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「毎月勤労統計の不正調査」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■毎月勤労統計の不正調査 何が問題なの?
昨年末に発覚した
「毎月勤労統計」の不正調査問題。
この問題による影響範囲が徐々に拡大しており、
しばらく引きずることになりそうです。
一見すると地味な統計調査の問題ですから
「何が問題なの?」と思われている方も
多いと思います。
そこで、一体何が問題なのか
現段階でわかる範囲でまとめてみます。
●毎月勤労統計調査に不適切な調査実態が発覚
まずはニュースからです。
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「毎月勤労統計」 都内事業所全数調査怠る
実施は3分の1程度
2018年12月28日 19:03 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20181228/k00/00m/040/255000c
厚生労働省が公表している「毎月勤労統計」で、
本来は従業員500人以上の事業所は
全て調査しなければいけないのに、
東京都内分は3分の1程度しか調査していなかった。
厚労省への取材で判明した。
毎月勤労統計は統計法に基づいて実施されている
政府の基幹統計の一つで、
結果は国内総生産(GDP)などの算出にも
用いられている。
同省はずさんな調査の経緯や影響を調べている。
この統計は、雇用動向を把握するため、
全国3万超の事業所(従業員5人以上)を
対象に実施している。
基本給や残業代などを合計した
1人当たりの現金給与総額や
前年同月と比べた変動率などを毎月公表している。
従業員499人以下の事業所は無作為抽出するが、
500人以上は全事業所が対象になる。
調査は都道府県を通じて実施している。
厚労省関係者によると、
500人以上は全国で約6,000事業所。
東京都内には約1,400事業所あるが、
厚労省が東京都に示した調査対象は
約3分の1にあたる約500事業所だけだった。
給与水準が高い傾向にある規模の大きい事業所が
調査対象から外れていたことで、
賃金額などが過小に算出されていた疑いがある。
この問題は省内からの指摘で判明。
不正な手法で調査した経緯や
始まった時期は不明だが、
長期間続いてきた可能性もあるという。
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「毎月勤労統計調査」とは、
厚生労働省が毎月発表している
従業員5人以上の事務所を対象にした
雇用実態を把握するための全国調査です。
調査内容は、給与金額や労働時間、雇用人数などで
それらを全国的に一斉調査することで
名目賃金や実質賃金、実労働時間や
雇用者数などを把握し、国政や自治体の政策などに
利用するものとなっています。
今回問題となったのは、500人以上の事業所の調査で、
東京都内の対象事業所約1,400のうち、
1/3程度しか調査されていなかった
ということが発覚したのです。
加えて、その後の調査によって、
不正調査が実施されたのが
2004年から2017年の14年間に渡って
ということが公表されています。
一見すると、ただの統計調査の不正問題ですが、
その影響範囲はかなり広範にわたりそうです。
●一体どんな問題があるのか?
今回発覚した問題に関連して
様々な問題が生じてきています。
GDP推計などの各種統計にも影響が拡大
毎月勤労統計は、基礎統計に分類されるもので
「月例経済報告」「経済財政白書」などでも
重要指標として取り上げられており、
国政をも左右しかねないものです。
また、「GDP推計」の算出にも
多岐に渡って利用されているほか、
月次の「景気動向指数」も
毎月勤労統計を活用しており、
過去分を修正すると発表しています。
今回の問題を踏まえ総務省が自主点検を行った結果、
政府が重要と位置付ける56の期間統計のうち、
22の統計で問題が見つかったとの発表がありました。
つまり、毎月勤労統計のみならず、
あらゆる調査の信頼性に疑義が生じる事態へと
発展していきそうです。
失業給付、労災関連の給付等にも影響
今回の不正では都内事業所の調査が
不十分であったため、
比較的賃金の高い事業所の調査が
不足していたことになります。
そのため、調査結果が本来の賃金実態よりも
低く算出されていたことがわかっています。
毎月勤労統計の給与額は、
雇用保険や労災保険等の
給付額算出に利用されており、
これまで低く給付されていたことがわかっています。
その額は、雇用保険で約280億円(延べ1,900万人)、
労災保険で約241億5,000万円(延べ72万人)、
船員保険で約16億円(延べ1万人)、
事業主向けの雇用調整助成金で
約30億円(延べ30万事業所)と推計されており、
総額567億円以上の過少給付を
どうするか検討されることになっています。
今後、与野党から「消えた雇用労災保険」
として追及されていくことは確実でしょう。
省庁の組織的隠ぺい体質
今回の厚生労働省の不正調査は、
少なくとも14年間以上続いているとされ、
その間、不正な統計調査を正しく装うための
改変ソフトウェアが担当により
作られていたこともわかってきています。
そんな中で、今回の問題を調査する特別監察委員会が
「組織的隠ぺいとは認定できない」としたことで、
さらに疑念が深まることとなりました。
この特別監察委員会は、
外部の弁護士や統計の専門家などで構成され
厚生労働相の下に設置。
現職員や元職員などにヒアリングを実施し、
報告書を取りまとめたもので
不正調査を容認するマニュアルが
作成されていたことを挙げ、
「隠そうとすればマニュアルに書かないと思う」
と説明。
今回の問題は、厚生労働省の
裁量労働制の労働時間を巡る
データねつ造疑惑に続くものに加えて、
近年こうした各省庁による隠ぺい体質が
目に余る状況になっています。
財務省の公文書改ざん、
文科省の組織的天下り隠ぺい工作、
防衛相の日報隠ぺいなど枚挙に暇がありません。
政府の関与も追及
客観的な証拠などが
出てきているわけではないですが、
既に野党からはモリカケ問題と同様に
「政府の圧力があった」とか
「総理の意向汲んで省庁が忖度した」
などと騒ぎ出しています。
本日(28日)から始まる通常国会でも
確実に倒閣運動のネタとして
使われていく事になりそうです。
・・・と、このように
今回の毎月勤労統計の不正調査問題は、
今後様々な形で各方面に
波及していく事になりそうです。
以上、いかがでしたでしょうか。
少し地味に感じる統計調査の問題ですが、
その影響は今後拡大していく事になりそうです。
実際のところ組織的な隠ぺい体質で
あったかは別にして、
統計調査をしていた担当者は
全数調査でないことはわかっていたでしょうし、
わかった上で公表していたのは間違いありません。
役所は、頻繁にポストを横断していくキャリア組と
長い間同じ部署に勤めるノンキャリ組がいるので、
自分の代で問題を起こしたくないキャリア組と
現ポジションにしがみつきたいノンキャリ組の心理が
問題を隠ぺいする方向に向きやすい
という問題があるのかもしれません。
いずれにしても、国の発表する統計情報が
不正確であることは、
国際的な信用をも損なう可能性がありますから、
早く是正してほしいところです。