お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「戦後最長の景気回復」についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

景気回復「戦後最長」!? 本当なの?

景気回復「戦後最長」!? 本当なの?

政府の発表によると、
「景気回復が戦後最長になる可能性が高い」
とのことです。

おそらく多くの方が景気回復を実感できていない
でしょうから、戦後最長と言われても
眉唾だと思われるのではないでしょうか?

そこで今回は戦後最長の景気回復が
どういうことなのかをまとめてみたいと思います。

景気回復「戦後最長」へ!? 

まずはニュースからです。

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景気回復「戦後最長」の可能性高まる

2019年1月29日 9時33分 NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190129/k10011795011000.html

政府は今月の月例経済報告で、
「景気は緩やかに回復している」
という判断を維持しました。
これによって今の景気回復の期間が
6年2か月に達し、戦後最長となった可能性が
高まりました。

政府は29日、関係閣僚会議を開いて
今月の月例経済報告をまとめました。

それによりますと、
個人消費を「持ち直している」としたほか、
企業の設備投資も「増加している」
という見方を据え置き、
景気全体についても
「緩やかに回復している」
というこれまでの判断を維持しました。

景気の回復や後退の時期は、
正式には内閣府の有識者による研究会が
十分な統計データがそろった段階で判定します。

ただ、政府が今月も景気回復が続いている
という見解を示したことで、
平成24年12月から始まった今の景気回復は
6年2か月に達し、
平成14年2月から平成20年2月まで続いた
景気回復を抜いて戦後最長となった可能性が
高まりました。

一方で、今回の月例経済報告では、
「輸出」について、
中国向けの半導体製造装置や電子部品などを中心に
「このところ弱含んでいる」
と判断を下方修正しました。

特に中国経済については、
「緩やかに減速している」と明記していて、
米中の貿易摩擦などを背景に
世界経済の先行きに不透明感が増す中、
どこまで景気回復が持続するかが焦点となります。

茂木経済再生相「中国 景気下振れリスクに留意」

茂木経済再生担当大臣は、
月例経済報告に関する閣僚会議のあと、記者会見し、
「今回の景気回復期間は今月で6年2か月となり、
戦後最長になったとみられる」と述べました。

そのうえで、茂木大臣は
景気回復の実感がないという指摘に対して
「いざなぎ景気の頃は東京オリンピックから
大阪万博にかけての高度成長期であり、
バブル景気の頃は株価や地価が大きく上がり、
人口も増えている時代だった。
現在は人口が減少する中でも
雇用者数がバブル期並みに増加し、
景況感の地域間格差も小さくなっており、
今回の景気回復の優れた特徴ではないか
と考えている」
と述べました。

さらに景気の先行きについては
「中国の実質成長率が昨年から徐々に減速しており、
米中の通商問題を背景に、
輸出・輸入の伸びも低下している。
中国経済の景気下振れリスクに留意する必要がある」
と述べ、海外経済の動向が
日本経済に及ぼす影響を
注意深く見ていく考えを示しました。

麻生副総理兼財務大臣「景気は循環するもの」

麻生副総理兼財務大臣は閣議のあとの記者会見で、
景気回復が続いている要因について
「アメリカが、経済戦争の相手を中国であって
日本ではないという方向に切り替えたこと。
そして国内的に言えば、いわゆるデフレ対策を
この5、6年やらせてもらったこと。
この両方が景気回復が74か月続いている
背景だと思う」
と分析しました。

そのうえで麻生副総理は、
今後の景気の見通しについて
「景気は循環するもので、
よいときもあれば悪いときもある。
アメリカと中国の貿易摩擦や
中国の景気後退を見ていると
結構な課題になっており、
よく状況を見て対応できるような準備を
いろいろと考えていかなければいけない」と述べ、
景気回復を持続させるため、
世界経済の動向を見ながら
対応していく考えを示しました。

菅官房長官「確かなものにするために対策」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、
「景気回復が戦後最長となった『可能性』
ということなので、これをさらに確かなものに
するためにしっかり経済対策に取り組んでいきたい」
と述べました。

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1月末の「月例経済報告」で
「景気回復期間が戦後最長になった可能性が高い」
と発表しました。

その期間は、2012年12月から始まっており、
1月で6年2カ月(74ヵ月)になるとのことです。

過去の景気回復期間としては、
2002年2月から2008年2月までの73ヵ月
が最長でしたが、今回これを上回ることになります。

また、今後の先行きについては、
「雇用・所得環境の改善が続くなかで、
各種政策の効果もあって、
緩やかな回復が続くことが期待される。
ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、
中国経済の先行きなど海外経済の不確実性、
金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」
としています。

とは言え、「景気回復が戦後最長」と言われても、
多くの方が「実感してない」とか
「自分には関係ない」と思われている
のではないでしょうか。

それもそのはずで、
今回の期間のGDP成長率(年率)は、
名目1.8%、実質1.2%しか伸びておらず、
実感しにくいのは当然かもしれません。

名目・実質GDPの成長率の推移

景気回復期間におけるGDP成長率(年率、%)

期間 名目 実質
今回 2012年12月~(74ヵ月目) 1.8 1.2
第14循環 2002年2月~2008年2月(73ヵ月間) 0.4 1.6
第6循環<いざなぎ景気> 1965年11月~1970年7月(53ヵ月間) 18.4 11.5
第11循環<バブル景気> 1986年12月~1991年2月(51ヵ月間) 7.0 5.3

そして、それ以上に注目してもらいたい
ポイントがあります。

それは、「景気回復期間が
2012年12月から始まり現在も続いている」
ということです。
この期間は一体なんなのか?

既にお気づきの方も多いと思いますが、そうです。
「安倍政権の任期」と完全に一致しているわけです。

●実感のない景気回復

2012年12月、
野田内閣の「近いうち解散」が現実のものとなり、
多くの国民の支持を受けて安倍政権が誕生しました。

安倍政権は経済政策を主軸に掲げ、
その政策を「アベノミクス」と称し
金融緩和政策が功を奏し、円安株高を実現。
国際的にも注目を集めることになりました。

つまり、今回発表された
戦後最長となる景気回復期間は、
安倍政権による景気回復「アベノミクス景気」
としたいという意図が見えなくもありません。

ですが、アベノミクスは
そんなに順風満帆だったでしょうか?

こちらのグラフを見てください。

○消費総合指数(四半期)

消費総合指数(四半期)

これは、需要面、供給面からみた
消費の動きを総合的に示す指数で、
個人消費がどういう状況にあるかを
把握するための指標になっています。

見て頂ければお分かりだと思いますが、
今回の景気回復期間には、極めて大きな谷となった
2014年4月の「消費増税8%」の実施
が含まれています。

そのインパクトは、東日本大震災を
大きく上回るものであることがわかると思います。

これだけ個人消費を冷やした時期が
あるにも関わらず、
「景気回復が続いている」
という判断がされているのは
不自然ではないでしょうか?

●景気判断のカラクリ

実は政府の景気判断は、
おかしなカラクリがあるのです。
そもそも景気判断はどのようにして
行われているのでしょうか。

あまり知っている人はないと思いますが、
内閣府に設置されている
「景気動向指数研究会」
によって行われているようです。

実際の景気判断には、
「ヒストリカルDI(一致指数)」
という指標が用いられているようで、
常に指標を改善しながら運用されているようです。

そのヒストリカルDIは次のようなものです。

ヒストリカルDI(一致指数)の推移

参考)第18回景気動向指数研究会について(概要)―内閣府
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/181213sankou.pdf

少し細かいので詳しく見たい方は、
原文を確認してもらいたいのですが、
9つの指標をプラスかマイナスかで増減を評価し、
それらを総合的に判断して
景気判断をしているようです。

問題の消費増税8%があった2014年4月を見ると、
それまでから一転してほとんどの指標が
マイナスに転じていることがわかります。

ですが、この時の景気判断は
次のものとなっています。

平成26年4月の月例経済報告
「景気は、緩やかな回復基調が続いているが、
消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、
このところ弱い動きもみられる。」

そして、その判断は3ヶ月後には
「消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動も
和らぎつつある」とし、
5か月後には消費税には言及されておらず
「景気は回復基調が続く」となっています。

ヒストリカルDIでは、
少なくとも1年間は悪化したまま
になっているにも関わらずです。

一説によれば、ヒストリカルDIの9つの指標の
うち7つまでがマイナスとなっても、
景気回復基調と判断されるようです。

ヒストリカルDIでは、
有効求人倍率は常にプラスと
評価されていますから、
あと1つプラスであれば「景気回復基調」
と判断されるわけです。

加えて、ヒストリカルDIでは
プラスorマイナスという単純判断に限定してしまい、
どの程度プラスかというような
度量判断を排除してしまっています。

そのため、GDP成長率が
1%程度でも景気回復と判断してしまうわけです。

このように、政府が発表する景気判断は、
極めて恣意的なもので、
よほどのことがない限り「景気回復」
と言い続けられるものになっているのです。

以上、いかがでしたでしょうか。
「景気回復」という判断のカラクリが
お分かり頂けたでしょうか。

よほどのことがない限り、
今後も「景気回復」は続くことになるはずです。

また、「景気回復」という言葉にも
仕掛けがある気がします。

一般的に、回復とは元の状態に戻ること
を意味しますが、
名目GDPは過去最高を更新し続けている状況で
「回復」という表現は不自然ではないでしょうか。

普通に考えれば「景気拡大」とするべきです。
実際どのような意図なのかはわかりませんが、
このあたりにも政治的な思惑が
あるような気がしてなりません。

また、消費増税10%をするまでは
「景気低迷とするわけにはいかない」
と考える人々が多くいるでしょうから、
このまま10月までは景気回復が
続くことになるはずです。。。

さて、また次回、宜しくお願い致します。