こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
さて、前回に引き続き今回のテーマも、
「個人事業主への税務調査」ということで
まとめていきたいと思います。
個人事業主の中には、
「自分には税務調査なんて関係ない」
と甘く考えている方もいらっしゃいますが、
こちらの内容で、そんな考えは捨てて、
確定申告を適切に進めて頂くことの
重要性を感じて頂ければと思います。
■個人事業主に税務調査は来ないのか?-②昨年の相談事例
前回のお話では、
「個人事業主に税務調査は来ない」
これは噂話であり、事実とは異なる
という事をお話しました。
そして、税務調査の実態として、
- 税務調査は来ないは嘘、ただし、殆ど来ない
- 税務調査の対象になると、8割以上は追徴課税
- 調査対象は選別されているので高確率の追徴課税
- 不正の対象者ほど税務調査に入られる
こういったお話をしました。
今回は、より詳しいお話として、
昨年に弊社に相談のあった、
「個人事業者の方からの
税務調査時の相談事例」
についてお話をしていきたいと思います。
●昨年の相談事例:個人事業、建設業
まず、最初にお話するのは、
個人事業主で建設業に従事されている方です。
わかりやすく言うと、職人さん、一人親方、
という内容だとイメージがつくでしょうか。
建設業界では、このような個人事業の職人さんが
非常に多いです。
会社としては、直接雇用出来る人数には限りがあり、
大人数をずっと抱え続けるのはかなり厳しいです。
また、職人さん側としても、
直接雇用の安定は失いますが、
現場(仕事)さえ継続的に受注できる
環境や人脈があれば、ご自身の収入は、
当然雇用されているときより多くなります。
そして、その個人事業主の職人さんの中で、
大きくなってきた人は新たに人を抱えて
法人化していく・・・
こういった状況もあり、建設業は個人事業主として
活動されている方が非常に多い業界です。
ただ、こういった職人さんたちは、
基本的に現場仕事の為、非常に忙しいです。
週6日(月~土)、朝から夕方まで現場にかかりきり、
という方も少なくないので、
事務作業等は疎かになりがちです。
まあ、忙しいだけでなく、
会計や税務等はそもそも苦手という方も多いので、
奥様などがきっちり管理されている人であれば、
申告・納税等を滞りなく進めているのですが、
代表者一人のみで活動されている場合や、
奥様も別の所で働いている場合等は、
確定申告が非常に適当になっている、
というケースも少なくありません。
今回弊社にご相談頂いた方も、
まさにそれに当てはまるケースで、
個人事業歴は20年以上あり、
今までは奥様が申告されていたのですが、
奥様がお亡くなりになってから、
申告が曖昧になっていたという方でした。
【税務調査対象になったポイント】
この方は開業から20年経過していて、
今まで税務調査が1度もなかったので、
急に税務署から連絡があったことを
非常に驚いていました。
無申告で放置していたということもないので、
諸々状況を伺ってみると、
実は5年くらい前から仕事が増えて
売上が増加したにもかかわらず、
実際より売上を少なく申告していた
とのことでした。
これ、「売上の除外」
というものなのですが、
すぐバレます。
理由は簡単で、建設業のように
請負(業務の受発注)で仕事をしている所であれば、
売上金の支払いに銀行口座を使うのは当然で、
通帳の履歴だけで、不正がわかってしまうからです。
特に、個人事業規模で活動されている
職人さんであれば、
取引先もある程度絞られている為、
取引先の決算書内容だけで
判明してしまう可能性すらあります。
話を聞いてみると、
売上が増加した年に消費税の事を知り、
「年間1,000万円以下にした方がいい」
という職人仲間の話を鵜呑みにしてしまい、
そのように毎年申告していた、
というようなことでした。
もし、奥様がご一緒でしたら、
こういったことになる前に
立ち止まる事も出来たかもしれませんが、
誠に残念です。
●昨年の相談事例:個人事業、飲食業
続いての事例は、飲食業の方です。
個人で営業している、居酒屋さんです。
飲食業は多数のお店が存在しますが、
かなり個人事業主が多い業態です。
個人事業でスタートし、
売上等が軌道にのってきてから法人化する、
というケースの方が圧倒的に多い印象です。
お昼(ランチ)も夜も営業ということだと、
人手も多数必要ですが、
居酒屋さんで夜の営業が中心であれば、
店舗が大きくない限り、ご家族だけで
営業することも可能です。
ただし、前段の職人さん同様、
代表者自身はほぼ毎日店舗に出ないと
いけないことになりますので、
非常に忙しいのは変わりません。
職人さんの場合は、奥様は現場に出ないので、
奥様が経理作業を行う事も出来るのですが、
飲食店の場合は、奥様も駆り出されている為、
負担が大きく、お店が忙しくなると、
疎かになってしまう場合もあります。
※もちろん、それでもきちんと
確定申告をされている人の方が多いですが。
このような、ここ数年は繁盛して
忙しくなってきている飲食店の方から
お問合せを頂きました。
【税務調査対象になったポイント】
この方も税務署から連絡が来たのは初めて、
という方だったのですが、
売上が増加してきている状況で、
申告はしているものの、
思い当たるフシがあるという内容でした。
詳しく聞いてみすると、
前段の職人の方と同様で、
売上が増加した4年ほど前から、
売上金額を少な目に申告している
という状況でした。
要は、こちらのケースも
「売上の除外」でした。
飲食店の場合は、個人が対象なので、
振込での入金が無く、現金商売と言われます。
そして、現金商売はそもそもとして
売上金額を誤魔化す等の
不正を行いやすい為、一般の業種よりも
税務調査対象とされやすい業態です。
それにもかかわらず、
税務署が来たら追及し放題の
状況であったという事業者様です。
●両方に共通している事例
今回は2つの事例をお話しましたが、
共通しているのは、
- 売上を除外している
- 数年間同様の処理(不正)をしている
ということです。
そもそもとして、
「売上の除外」は
不正としてはかなり重く、
重加算税の適用になることが多いです。
さらに、所得税(利益に係る税金)だけでなく、
消費税の対象となるどうかは
「売上1,000万円以上」
か否かという基準の為、
売上の数字というのは非常に厳しく
チェックされています。
また、数年間同様の処理をしていた、
という点についてですが、
事業主側からすると、
「あれ?税務署は何も言ってこない?」
という認識で継続したのかもしれませんが、
数年間継続することで、税務署側としては、
「意図的に不正をしている」
という確証を持って税務調査を
進めてきている状況です。
両方の事例共に、税理士さんをご紹介し、
間に入ってもらう事で、
ご自身だけで税務調査の応対をするよりも、
税務署側から要求の譲歩を得られましたが、
そもそもの内容が不正な申告なので、
- 本税(本来納めるべき税額)
- 本税にかかる追徴課税
これに関して免れることはできません。
適正に申告していれば、
本来納めるべき税額のみで済んだのに、
不正をした為に、追徴課税まで課されてしまう。
こういった実態が、前回触れた、
「税務調査対象は8割以上が追徴課税」
という結果に繋がっているのだと思います。
まあ、真面目に申告・納税している人が
損をしない、バカらしく思わない為
税務署がきちんと仕事をしている、
とご認識頂くのが宜しいかと思います。
さて、今回の報告は以上です。
次回も同じテーマ、
「個人事業主に税務調査は来ないのか?」
で報告したいと思います。
個人事業主に税務調査は来るのですが、
殆どの方は対象外なので、
結局、真面目に確定申告をやっていない、
申告を怠っているという人が
対象となっていくわけです。
税務調査の対象にはなりたくない、
でも、確定申告や会計等は諸々面倒、
わからない!!という方に関しては、
悪いことは言わないので
税理士に依頼すべきです。
税理士に依頼すると費用は発生しますが、
自営業の方であれば、税理士への報酬も経費です。
そして、今回触れた事例のように、
税務調査で指摘を受けて追徴課税が発生すると、
本来納めなくてもすんだ(はずの)税金を
支払うことになってしまいます。
こんな状況になってしまうよりも、
税理士に依頼して税理士報酬を支払う方が、
税理士から適切な節税助言を貰えて、
青色申告も適用出来、金額的にも
得をすることになると思います。
知人に税理士がいたり、
税理士に頼んでいる同業者から
紹介してもらえたり、
という事であれば問題無いですが、
心当たりがないようでしたら、
是非こちらにご相談ください。
税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/
また、次回宜しくお願い致します。