お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「ふるさと納税」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

100億円還元!? どーなる?ふるさと納税

■100億円還元!? どーなる?ふるさと納税

お得な返礼品がもらえる
人気の「ふるさと納税」ですが、
以前の記事でご紹介したように
総務省と一部の自治体との確執が
問題になっていました。

※以前の記事:ふるさと納税 ついに規制強化へ!
https://www.y-chohobu.com/archives/4446

そんな中、さらに物議を醸しだす
「100億円還元」と銘打ったキャンペーン
開始されたようです。まとめてみます。

 ●100億円還元!? 衝撃の返礼品?

「総額100億円還元」をうたった
ふるさと納税が登場しました。

実施した自治体はやはり
あの「大阪府泉佐野市」です。

ふるさと納税に関心の高い人なら
ご存じかもしれませんが、
泉佐野市は高額返礼品を取りそろえ
全国No.1(※)の寄附額を集める自治体です。
※2017年の実績額

管轄省庁である総務省から
指導があるにもかかわらず、
返礼割合が3割以上や
地場産品とは全く関係ない品揃えで
問題視されていました。

※詳しくはこちら:ふるさと納税 ついに規制強化へ!
https://www.y-chohobu.com/archives/4446

そのような状況の中で、
泉佐野市がまたやってくれました。

「100億円還元閉店キャンペーン」です。

その内容は衝撃的なもので、
通常の返礼に加えて
Amazonギフト券が
寄附額の最大20%分ついてくる
というのです。

具体的に見てみましょう。
例えば、ビールが返礼品となっているものでは・・・

泉佐野市 ふるさと納税 事例

15,000円の寄附額で
350ml×24缶のビールが返礼され、
さらにAmazonギフト券20%還元されるものです。

アサヒスーパードライ350ml×24缶は、
一般的に5,000円前後で取引されていますから、
Amazonギフト券を含めた返礼率は
実質的に50%以上となるわけです。

※参考)泉佐野市ふるさと納税サイト「さのちょく」
https://furusato-izumisano.jp/

今回のキャンペーン発表直後からアクセスが集中し、
つながりにくい状況が続いていましたが
現在は落ち着いているようです。

●激怒する総務省

今回の泉佐野市のキャンペーンに対し、
石田総務大臣は次のように述べています。

「泉佐野市が新たにキャンペーンで
プレゼントするというギフト券は
ふるさと納税制度の根幹を揺るがし、
制度の存続を危ぶませるものと考えています。
制度の隙間を狙って明らかに趣旨に反する
返礼品によって寄付を多額に集めようとすることは、
自分のところだけが良ければ
他の自治体への影響は関係がない
という身勝手な考えであり、悪影響が大きい。」

実は、2月8日にふるさと納税の
返礼品に関する規制を閣議決定したばかり。

その主な内容は次の通りで、
早ければ今年6月から実施されることになります。

  1. 返礼割合を3割以下とすること
  2. 地場産品に限定すること
  3. 返礼品の基準1、2は、総務大臣が定める
  4. ふるさと納税を実施できるのは総務大臣指定する
    自治体のみで、基準に適合しない自治体は
    指定を取り消すことができる

この規制で自治体に対して
総務省が強制力を発動できるようにし、
総務省に従わない自治体はふるさと納税の
対象にさせないというわけです。

それもそのはず、泉佐野市など一部の自治体は、
これまで再三の指導を行ってきたにも関わらず
無視し続けてきたという経緯がありました。

つまり、
「言うこと聞かないなら聞くようにしてやる」
というわけです。

●泉佐野市の言い分は…?

こうした政府側の反応に対して、
泉佐野市は次のようにコメント。

「法制化に向けた閣議決定や、
総務大臣のコメントを拝見していると、
総務省の見解だけで強硬に物事を推し進め、
無理やり地方を押さえつけよう
としているように思われ、
それこそが地方分権という理念の
『趣旨』に反するのでないかと考えています」

加えて、泉佐野市の言い分では、
今回のキャンペーンは総務省のルールに
従っているというのです。

「え?何を言っているの」
と思う方が多いと思いますが、
泉佐野市の言い分を見てみましょう。

「Amazonギフト券をプレゼントする」のは問題ではないか?

いわゆる「ふるさと納税サイト」経由での寄付は、
手数料が20%程度取られてしまいます。
そのため、今回のキャンペーンは当市直営サイトで
実施するため手数料などの経費を抑えることができ、
抑えた経費をご寄附頂いた皆さまに
感謝の意味を込めて還元しています。

また、Amazonギフト券は返礼品ではなく、
キャンペーン利用者にサービス特典
として付与するもので、寄付者の満足度や
モチベーションを上げるものとし
一番効果が高いと判断しました。

返礼品の返礼率は何%になっているか?

Amazonギフト券10%の返礼品は約40~45%、
Amazonギフト券20%の返礼品は30%以下となっています。

並んでいる返礼品は地場産品ではないのではないか?

泉佐野市は地場産品という資源の
少ない自治体だと考えています。
平成24年には、地元産の
泉州タオルの一品目だけだったが
知名度の高い全国の肉や米、カニなどに
対抗するため、生産者や小売業者らと協力し、
努力やアイデアを重ねた結果です。
地元の老舗焼肉店が目利きした肉や
地元の小売店が調達した返礼品を用意することで、
地元の活性化にも繋がっています。

つまり、泉佐野市の見解としては、
総務省が考えるルールに対して
特に逸脱したものではないと考えているようです。

●法的・税制面に問題はないのか?

現段階では法的に問題がある
との話は上がってきていません。
だからこそ総務省が法的規制を
進めようとしているわけです。

また、税制面では
どのようになっているのでしょうか?

現段階において、ふるさと納税を行った際、
対象の自治体から返礼品を受領した場合は、
「一時所得」に該当する(※)
ということになっています。

※国税庁:「ふるさと納税」を支出した者が
地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/37.htm

一時所得には年間50万円の控除枠がありますので、
ふるさと納税の返礼率が30%だとすると、
50万円以上の返礼を受けるには
約166万円以上の寄付、
返礼率が仮に50%だとしても
100万円以上の寄付が必要となります。

ふるさと納税自体は、内容としては寄付なので、
ご自身の意思で幾ら実施しても問題ありません。
ただ、殆どの方が、ご自身の給与所得金額や
配偶者控除金額等を考慮して実施するので、
自己負担額¥2,000のみで収まる水準で
ふるさと納税を実施すると考えた場合、
100万円の寄付をしてもOKな人は
概ね年収3,000万円以上、
166万円の寄付をしてもOKな人は
概ね年収5,000万円以上、
こういうレベルの話です。

ですので、ふるさと納税の返礼品に関しては、

「一時所得に該当するが、
殆どの人は課税水準まで該当しない」

というのが実態だと思います。
※同一年にふるさと納税以外の一時所得があれば
 話は変わりますが。

とは言え、この税制通達に関しても
返礼品が金券、つまり実質的なお金で
行われることを前提にしているわけでは
無いと思います。
あくまで通常は特産品等の生鮮食品や
地場の特産品と言った「モノ」を
想定しているはずなので、
このルールになっていると思います。

自分が納める分の住民税・所得税を利用して、
税金を金券でキャッシュバック!
というような方法が当たり前になることは
総務省だけでなく国税庁も黙っていないはずなので、
返礼品に金券が絡んでくるのは
間違いなく規制対象になってくるはずです。

とは言え、利用者としては
お得な制度は活用していくべきですから、
今のうちに利用できるものは
どんどん利用しておきましょう。

以上、いかがでしたでしょうか。

総務省に真っ向勝負を挑んでいる泉佐野市。
いろいろと問題がありそうですが、
一時は財政再建団体へ転落しかけ
財政非常事態宣言をした泉佐野市が
劇的に復活したのはふるさと納税を
最大限活用してきたからに他なりません。

そう言った意味では、泉佐野市の対応は
非難できるものではないのかもしれません。

むしろ政府や総務省側の法整備が
不十分なまま進めてきたことこそが
非難されるべきなのでしょう。

とは言え、今回の例がより法整備を進めていく
要因になるはずですから
今後も注目していく必要がありそうですね。