お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「新経済理論のMMT」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■新しい理論が世界を変える!? MMTとは?
最近、米国で注目されている
MMTという経済理論があるようです。
その内容は、物議を醸しだし
連日大論戦を繰り返しており、
欧州へも波及しはじめているようです。
その波は今後日本へも押し寄せるでしょうから、
今からチェックしてみてください。
●新しい経済理論「MMT」とは?
MMTとは、Modern Monetary Theoryの頭文字を
とったもので、直訳すれば「現代貨幣理論」です。
MMTは主に財政政策に焦点をあてたもので、
主に次のようなことが主張されています。
- 自国の通貨を発行できる政府は、
支払い能力に制限を受けない。 - また、制限を受けずに資金供給を
することができる。 - そのため、政府の債務超過による破たんは
起こりえない。 - 中央銀行が行う量的緩和などの
金融政策はいくら続けても
金融資産の価値上昇以外には大した成果がない。
そのため、財政政策に主軸を置くべき。
これは、現在の財政政策・金融政策を
真っ向から否定するもので、
大きな反発を呼んでいます。
現在の財政政策は、社会的なニーズや
景気対策などの様々な情勢に合わせて、
政府が公共事業を行ったり、減税したり、
補助金を出すといったものですが、
これを行うためには財源が必要で
国債を発行するなりして
調達しなければならないと考えられています。
MMTでは、この時発行される国債は
政府の借金となる一方で、
国債を買っているのは国民であり、
国民の資産となるため、
国家全体として見れば
プラスマイナスゼロ
ということに注目しています。
つまり、経済が停滞しているようなときは、
政府が積極的に国債を発行すれば、
その分だけ国民の資産を増加させることができ、
国民がお金を使うようになり
経済が好転するというわけです。
この時、政府の負債は
どんどん増えることになりますが、
それは国民の資産と相殺されるため
問題にならないというわけです。
●アメリカで大論争が勃発
昨年の米中間選挙で女性として史上最も若い
29歳で下院議員として当選した
民主党のオカシオ=コルテス下院議員が
今年1月「MMTの議論をもっと盛り上げるべきだ」
などと発言したことが発端となったようで、
経済界・政治界を巻き込んだ論争が
連日のように行われています。
アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(29)
ことの発端は、米国議会で
オカシオ=コルテス下院議員などが
「グリーン・ニューディール(GND)」議決案を
発表したことにあるようです。
このGNDの内容は、
「100%再生可能エネルギーで
電力をまかなうこと」、
「温室効果ガスの排出削減」、
「求職者の雇用保障の強化」、
「ベーシック・インカムの保障」、
「全国民の医療保障」などを
10年以内に実現することを目標として掲げるべきだ
と連邦政府に求めたものでした。
その内容は確かに理想的に見えるものですが、
敵対する共和党は全面的に反対、
民主党の中からも「グリーンの夢」
と揶揄されるような状況で
否定的な意見が少なくないようです。
ですが、国民にとっては良いことばかりですから
大衆レベルの支持が広がっていることもあり、
大きな論争となっているようです。
特に、これだけの大規模な政策を実現するためには、
巨額の財源が必要となるわけですが、
オカシオ=コルテス下院議員らは、
所得税の最高税率を70%まで引き上げるとし、
またMMTの信奉者であることから
「国家にとって赤字はそもそも問題ではない」
と主張しています。
つまり、1930年代の世界恐慌の際に
米国が実施したニューディール政策のように
政府の支出拡大こそが必要だと
主張しているわけです。
こうした主張に対して、様々な賛否の反応が起き、
それらがメディアやSNSなどを介して
更なる論争を呼ぶと言った連鎖反応が
起きているようです。
●MMTの問題点
当然ながら、緊縮財政派である知識層からは
言うまでもなく、徹底的に批判されています。
緊縮財政とは、政府の支出と収入は
均衡されるべきで、
収入が足りなければ増税したり
支出を抑制すべきだという主張ですから、
MMTのような財源を無視したような
財政出動は認められるはずもありません。
お決まりのように
「そんなことしたらハイパーインフレになる」、
「政府が債務不履行(デフォルト)に陥る」
との論陣を張る人が出てきています。
一方で、緊縮財政派とは相対する
リフレ派からも批判が出ています。
リフレ派の論理的支柱である
ノーベル経済学者のポール・クルーグマンは、
「MMTは支離滅裂だ」と指摘しています。
それは、MMTは財政政策に
焦点をあてすぎているため、
金融政策が十分に考慮されておらず、
景気が回復した後に生じる問題を無視している
と考えているようです。
一般的に政府が巨額の財政出動を続ければ、
政府支出が目的化してしまい、
使わない道路や箱モノなどの無駄な支出が増えはじめ
物価上昇が続くことになります。
本来であれば、そうした時に
金融政策が必要で金利を引き上げ、
景気の過熱を抑制することができるわけです。
このように、MMTは金融政策を
お金を発給する手段
としか捉えていない感があるため、
過熱した景気に対する抑制力を持たない
と指摘されています。
また、MMTは機動性が低いとも指摘されています。
一般的に財政政策は、国会などの議決を通じて
実施されることになるため、通年の予算審議に加え、
補正予算を組むかどうかの
年数回程度しか策を講じられません。
そのため、何らかの経済的打撃があったとしても、
迅速に対応することができないわけです。
一方で、金融政策は中央銀行が担うため、
国会等の議決を必要とせず
政治的対立などの影響を受けにくく、
比較的低いハードルで
必要な時に必要なだけ行うことができる。
つまり、金融政策を軸として捉え、
財政政策で補填する形であるべきだというわけです。
このように、MMTは緊縮派からもリフレ派からも
批判される状況にあり、
理論的にはまだまだ未熟な状況のようです。
●拡大するMMTの影響力
とは言え、オカシオ=コルテス下院議員は
一般大衆からの熱烈な支持を受けており、
次期米国大統領候補とまで言われ始めています。
その影響力は、トランプ大統領並
とまで言われ始めており、
連日メディアからSNSまで幅広く活動しており
良くも悪くも米国民の関心を集めているようです。
参考)オカシオコルテス米議員にメディアは夢中、 波及効果トランプ氏並み-Bloombarg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-25/POXOZ46VDKHS01
こうした背景もあり、オカシオ議員の話題と共に
MMTも欧州へも飛び火しそうな状況が
生まれているようです。
現在のEUは、ギリシャのデフォルトに見るように
緊縮財政で苦しんでいる加盟国が
多数あると言われています。
そのような国から見れば、
緊縮財政を否定するMMTは
夢のような話なわけです。
とは言え、EUでは通貨発行権が
欧州中央銀行だけにあるため、
MMTの前提を満たしません。
ですが、ブレグジットのように
EUから離脱すれば通貨発行権を取り戻せると
考える動きも出てくる可能性があるため、
EU離脱と共にMMTを提唱する
ポピュリスト政党が登場するのも
時間の問題かもしれません。
以上、いかがでしたでしょうか。
MMT自体は多くの批判のある理論ではありますが、
米国を中心に注目を集め
徐々に世界へ波及していく事になりそうです。
実は、MMTが論じられる中で
日本が引き合いに出されることが多いのです。
それは1990年のバブル崩壊後の「失われた20年」は、
低成長・低インフレが続き、
他に例のないような金融緩和を続けても
一向にインフレに向かない状況を
「ジャパニフィケーション」
として論じられています。
MMTが生まれた背景には、
こうした日本の事例が背景にある
というもの何か皮肉な感じがします。
いずれにしても、MMTがもたらす影響は
その批判も含めてしばらく続くことになりそうです。
それでは、また次回、宜しくお願い致します。
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