お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「米国の対中関税引き上げ」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

米国、対中関税25%へ 日本への影響は?

■米国、対中関税25%へ 日本への影響は?

トランプ大統領が先送りにしていた
関税引き上げをついに実行に移しました。

これまで進めてきた米中貿易交渉が
不調に終わる見通しを受けての決断のようです。

さらに、今後全品目についても
関税をかける計画を発表するとのこと。

いよいよ重大局面へと向かいつつある
米中貿易戦争ですが、今後どうなるのでしょうか。

また、日本への影響はどの程度あるのでしょうか。
まとめてみます。

●米国、対中関税25%に引き上げ

まずは、ニュースからです。

───────────────────────────────────

米、追加関税を発動 高官協議で回避できず 中国報復か

https://www.asahi.com/articles/ASM5B22B1M5BUHBI006.html
2019年5月10日13時34分 朝日新聞DIGITAL

米政府は米東部時間10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)、
中国からの2千億ドル(約22兆円)分の輸入品にかける
追加関税を10%から25%に引き上げる制裁措置を発動した。
米中高官が9日にワシントンで協議したが、回避には至らなかった。
中国側は10日、重ねて報復を予告。
制裁関税の応酬になれば世界経済への悪影響は避けられない。

対象品目は5700以上で、日用雑貨や農産物、
家具など一般の消費財を幅広く含む。
米政府が昨年9月、追加関税の「第3弾」として
10%の関税をかけており、今年1月に25%へ
引き上げられる予定だったが、延期されていた。

制裁発動を受け、中国商務省は10日、
「非常に残念に思う。必要な報復措置をとらざるを得ない」
との談話を発表した。

協議は発動時刻を数時間後に控えた9日夕、
ライトハイザー米通商代表とムニューシン財務長官が
通商代表部(USTR)に中国の劉鶴(リウホー)副首相を迎えて始まった。
ホワイトハウスの声明によると、ライトハイザー氏らは
トランプ大統領に状況を報告した後、
劉氏と夕食をとりながら話し合いを続けた。
10日朝から再開するとしている。

トランプ氏は9日、協議に先立ち、ホワイトハウスで記者団に
「何が起こるかわからない。すごい1日になるぞ」と話した。
8日夜には、習近平(シーチンピン)国家主席から
「美しい手紙」を受け取ったといい、
「(習氏と)たぶん電話でも話すことになるだろう」
と述べていた。

中国と今週中に合意する可能性を問われると
「あるかもしれない」と否定はしない一方、
まだ追加関税をかけていない
「3250億ドル(約36兆円)」分の輸入品についても、
「第4弾」として発動する準備を進めている、
と牽制(けんせい)した。

中国国営新華社通信によると、
劉氏はワシントン到着後、メディアに対し、
「目下の特殊な状況のもと、理性を持ち、
誠実に米国側と意見を交換したい。
追加関税は問題を解決する方法ではなく、
中米双方にも、世界にも不利益だと考える」
と述べていた。

───────────────────────────────────

記事にあるように、これまで延期されていた
日用雑貨などを含む約2000億ドル分の
追加関税10%を25%へと引き上げました。

その理由は、米中貿易協議が不調に終わったためで、
大方の予想通りとなったようです。

とは言え、国内のニュースを見ていると、
次のような印象を受けるのではないでしょうか。

  • 何をするかわからないトランプ大統領が
    協議の途中で一方的に関税引き上げ措置を行った。
  • 中国側はやむを得ず報復措置を行わざるを得ない。
  • これ以上続けても誰の得にもならないから
    (トランプは)すぐにやめるべきだ。

国内メディアの伝え方はさておき、
上記のような印象を受けていたとすれば、
それは完全に間違いです。

それには、米中が一体何を争っているのか
を見ればよくわかると思います。

●米中は何を争っているのか?

昨年12月、アルゼンチンで行われた米中首脳会談で、
激化する貿易摩擦を避けることで一致しました。
中国が米国の主張を受け入れる方向で
検討することになったためです。

ここで重要なのは、米国の主張です。

【米国の主張】

  • 強制的な技術移転の停止
  • 知的財産権の侵害
  • 国有企業を過剰に優遇する補助金など

これらは米国が一方的に主張しているものではなく、
いずれもWTO(世界貿易機関)
ルール違反にあたるもので不当なものです。

少し具体的に見てみましょう。

例えば、強制技術移転では、
「在中外資系企業は、先進技術を
中国側の協力者に移転すること」として、
事実上強制されています。

具体例としては、米化学大手デュポンが
よく挙げられます。

デュポンが提携先の中国企業が
同社の技術を盗もうとしているとして、
情報漏えいを回避するために仲裁を申し立てました。

すると、中国独占禁止当局が
デュポンの上海事務所に踏み込み、
同社の世界的研究ネットワークの
パスワードの開示を強要、コンピュータ等を押収し、
仲裁申請を取り下げるように命じたとのことです。

こうした事例はあまり報道されていないものの、
水面下で頻繁に行われているようで、
上海にある米商工会議所が2018年春に行った調査では、
1/5の会員企業が中国当局に
技術移転を強要されたことがあると答えています。

同様に、EU商工会議所でも
同じような報告がされていますから、
被害企業は無数に存在していることが
容易に想像できます。

知的財産権を巡っても同じような状況で、
在中外資系企業が保有する特許を
架空の中国企業の特許を侵害している
として取り締まったり、
中国企業が不当に使用しても取り締まらなかったりと、
なんでもありな状況なわけです。

ですが、こうした中国の実態は
あまり明るみに出ていません。

もし在中外資系企業が不当な圧力等を公表すれば、
さらなる圧力で状況が悪化すると言った形で
言い出せない構造が作られているのです。

加えて、中国は言論統制も行っていますから、
中国進出しているメディア各社も
多かれ少なかれ影響を受けているはずです。

こうした形で中国の不当な体制は維持・拡大を続け、
どうあがいても泣き寝入りするしかない状況なのです。

米国の主張は、こうした中国の不当な体制を
真っ向から否定し、是正を迫るものなのです。

●日本への影響は?

国内メディアを見ると、次なような論調が多くあります。

「誰の得にもならないから、すぐに終わらすべきだ」

「日本への影響も甚大なものになる」

本当なのでしょうか?

実は、IMFが試算しています。
まず、今回の引き上げによる影響は、
中国GDPの0.2~0.3%程度の減速効果に留まり、
世界的な影響はほぼゼロとしています。

つまり、今回の引き上げでは
「ほとんど影響ない」というわけです。

また、今後さらに悪化し、
米中間の全品目の関税が25%となった場合でも、
米国GDPマイナス0.6%、中国はマイナス1.5%で、
世界経済への影響は
わずか0.2%程度と試算されています。

つまり、全面的に関税がかかったとしても、
世界的にはほとんど影響がないのです。

さらに、日本については、
東南アジアや米国からの輸入代替地となり、
むしろプラス効果があるとしています。

言い換えれば、日本にとって
米中貿易戦争は大きなビジネスチャンスなのです。

そしてそれ以上に中国の不当な体制を
このまま存続させておくことの方が、
世界経済にとってマイナスであることを
忘れてはならないのではないでしょうか。

それでは、また次回、宜しくお願い致します。