お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「お金」についての続編です。
しっかりチェックしておきましょう!
■お金とは何か?-②お金は誰がつくるのか?
「お金とは何か?」
前回、「お金とは○○である」
とビシッと一言で言い切りました。
今回は「お金は誰がつくるのか?」です。
「そんなの誰でも知ってるよ。日銀だよ」
と思っているのではないでしょうか?
もちろん、日銀がつくっているのは間違いないですが、
実は他にもつくっている人がいるのです。
多くの人が知らないお金の真実。
ぜひチェックしてみてください。
●「お金とは何か?」をおさらい
まずは、前回記事をご覧になっていない方は、
ぜひ読んでください。
※お金とは何か? いま知っておきたいお金の真実 https://www.y-chohobu.com/archives/5183
前回「お金とは何か?」をご説明しましたが、
その後、ネットで調べてみると、
世の中の多くの人はお金が何であるかを
理解していないことに気がつきました。
例えば、フリージャーナリストの池上彰さん
物事をわかりやすく解説する「池上解説」で
おなじみのジャーナリストですが、
「お金とは何か」を朝日新聞紙面で解説していたようです。
その記事を読むと、次のように書かれています。
───────────────────────────────────
それまで私たちは、千円札はいつでも千円分の金と
代えてくれるからこれに価値があると思っていました。
ところが金本位制をやめた瞬間に、
ただの紙切れになったんですね。
ところが、これはお金なんだという信用・信頼は残りました。
あえて言えば共同幻想です。
みんながお金だと思い込んでいるこのことが、
お金として通用し続けていくことができることにつながります。
───────────────────────────────────
※引用:【第3回】紙幣はいくらでも発行できますか? http://www.asahi.com/ad/start/articles/00044/
全4回に渡る連載記事で、
「そもそもお金って何ですか?」
というタイトルの回もあるのですが、
全ての記事のどこを見渡しても
「お金とは何か」を明言している箇所はありません。
お金がどのように変遷してきたかの歴史について触れて、
その結果述べたのが上記の引用箇所です。
つまり、強いて言えば、
「お金とはみんなの共同幻想で、
みんながお金だと思い込んでいるからお金なのだ」
と言いたいようです。
哲学的すぎて、何を言っているのかわかりません。
わかりやすい解説が信条だったはずの池上さんですが、
この点については、少々わかりにくい解説に
なってしまっています。
また、元ライブドア社長のホリエモンこと堀江貴文さんは、
次のように述べています。
───────────────────────────────────
いろんな著書で言っていることだが、
お金はただの道具だ。それ以上でも以下でもない。
ただし、道具としては万能過ぎるのかもしれない。
だから誤解が蔓延っているのだろう。
お金の本当の本質は「信用」だ。
お金は、信用を数値化したものにすぎない。
───────────────────────────────────
※引用:堀江貴文さんが語る「みんな『お金』のことを勘違いしていないか?」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58222
「お金は信用だ」という堀江さんは、
かつてライブドア事件で粉飾決算をして
多くの人の信用を損ないました。
そうした経験から来る言葉なのかもしれません。
そう言った意味では、感慨深いものがありますが、
これも定義というより役割・機能の説明
であるように思います。
その他、Googleで「お金とは何か」
と検索して見つけたどの記事を見ても、
ほぼすべて主観的なことがかかれている状況です。
このように、多くの人が「お金とは何か?」
がよくわかっていないのです。
●正しく理解する必要性
「そうは言っても、池上さんや堀江さんの
言っていることも一理あると思う。」
と思う人もいるでしょう。
池上さん・堀江さんの説明は
お金の概念・役割・機能を示すものだと思いますし、
ご自身がどのように思うかも個人の自由です。
ですが、あまりにも主観的な理解が
普及しすぎてしまっているために、
多くの人が間違った理解を
してしまっていることが問題なのではないでしょうか。
かつて世界的な芸術家である岡本太郎氏が、
テレビなどで「芸術は爆発だ!」とよく叫んでいましたが、
「お金は共同幻想だ」とか
「お金は信用だ」といった理解は
岡本氏の芸術観と同じようなもので、
主観的かつ抽象的で漠然としたものです。
このような主観的な理解では間違った判断をしてしまいますし、
またみんなが違うイメージを持つことになりますから、
客観的に正しい理解をする必要があるわけです。
●お金は誰がつくっているのか?
では、話を切り替て、1つ質問です。
「お金は誰がつくっていますか?」
おそらく多くの方が、
「日銀」と答えるのではないでしょうか。
もちろん正解です。
少し正確に言えば、日銀の委託を受けて
国立印刷局が印刷していますが、
あくまでも発行しているのは日銀です。
ですが、この回答では不十分です。
「あ、引っかけ問題だな?」
と気づいた方は、さすがです。
100円玉のような貨幣は、
日銀ではなく政府が発行していますよね。
政府の委託で造幣局が製造し、
日銀へ交付しています。
だから、「日銀と政府が答えだ!」
と思われた方も多いかもしれません。
でも、それだけはないのです。
日銀・政府以外にもお金をつくっている人がいるのです。
しかも、おそらく日銀や政府よりも
遥かに多くのお金をつくっているのに、
あまり知られていません。
最初に正解をいってしまいましょう。
日銀・政府以外にお金をつくっているのは、
実は「民間銀行」です。
「な・・・なんだってーーーー!!」
と思われた人が多いのではないでしょうか。
それと同時に「民間銀行が偽札でもつくってるの?」とか
「それなら、いくらでも貸し出せるんじゃ?」とか
疑問も出てきているかもしれません。
それらを理解するために、
銀行がどのようにお金をつくりだしているか
仕組みを見てみましょう。
●民間銀行がお金をつくりだす仕組み
話を分かりやすくするために、
お金を貸し借りする時を考えてみましょう。
例えば、AさんがBさんから1万円を借りる場合。
Bさんは手持ちの現金1万円を
Aさんに渡すことになります。
ですから、Aさんは現金1万円増え、
Bさんは現金1万円減ることになります。
同時に、AさんはBさんへの債務、
BさんはAさんへの債権を持つことになります。
まぁ、当たり前ですよね。
では、Aさんが銀行から借りる場合は
どうなるでしょうか?
一般的に、銀行でお金を借りる場合、
口座に振込まれることが多いと思います。
ですから、図のように銀行は
Aさんの口座に100万円を振り込みます。
Aさんは銀行への債務を、
銀行はAさんの債権を持つことになります。
この時、銀行は100万円を
どこからもってきたのでしょうか?
ここが重要です。
実は、銀行はAさんの口座記録に
100万円入金と書いただけで、
お金をどこからか調達してきたわけではないのです。
つまり、何もないところから
100万円の預金をつくりだしたのです。
「ちょっとまって!それはおかしい!」
と思われた方もいるのではないでしょうか。
「銀行は人からお金を集めて、
それを貸し出して利息を得る商売じゃないか!」
と思っているからでしょう。
もちろん、それは概念的には正しいのですが、
実際にやってみると不可能であることがわかるはずです。
図のように、銀行がBさんから預かったお金を
Aさんに貸すとします。
まず、銀行はBさんの口座に100万円を記録します。
次に、Aさんに貸し出すために
Aさんの口座にも100万円と記録します。
この段階で既に矛盾していることに
お気づきでしょうか?
もし、銀行が預かったお金を
誰かに貸しているのであれば、
Bさんから預かったお金はAさんに渡され、
Bさんの手元にはお金が残らないはずです。
ですが、実際はAさん・Bさんの
両方の口座に100万円ずつ記録され、
Aさん・Bさんともに自由に使うことが
できるようになっています。
つまり、もともとBさんから預かった
100万円しかないはずなのに、
使えるお金が200万円になっているのです。
これは、
銀行が預金残高というお金を創り出した
ということに他なりません。
そして、これはAさんBさんに
限った話ではありません。
銀行に誰かがお金を借りにくる度に、
銀行は預金残高を創り出し、
好きなだけ貸し出ているのです。
※正確には、銀行が貸し出すために
必要な元手を日銀当座預金に
預けておく必要があります(準備預金制度)。
が、この元手は銀行預金残高の2%以下
という低い割合であるため、
実質的にほぼ無制限にお金を創り出し
貸し出すことができる仕組みになっています。
このように、銀行がお金を貸し出すときに
預金残高を創り出すことを「信用創造」と言います。
これは、民間銀行に与えられた特権なのです。
以上、いかがでしたでしょうか。
銀行がお金を創り出していることは、
意外と知られていません。
それは、銀行が預かっているお金を
貸し出していると誤解しているからでしょう。
実際は、預金とはほぼ関係なく、
信用創造でお金を増やしているだけなのです。
これを理解すると、インフレとデフレについても
カラクリがわかってくるようになります。
それについては、また別の機会にまとめたいと思います。