お世話になってます!
現役税理士諜報部員のDです。

さて、今回も前回に引き続き、
「ゆうちょ銀行の預入限度額の増額」
についてのお話です。

ゆうちょ銀行の預入限度額の増額-②民間金融機関の反応

■ゆうちょ銀行の預入限度額の増額-②民間金融機関の反応

さて、前回はゆうちょ銀行の預入限度額が、
今までの1,300万円から倍額の2,600万円に
引き上げられることについてお話をし、
この限度額引き上げは、
利用者にメリットがあるだけでなく、
ゆうちょ銀行側としても、
限度額を超えた利用者に対して応対する
事務負担が軽減されるメリットがある、
というお話をしました。

今回は、今回の限度額引き上げに関する、
ゆうちょ銀行以外の民間金融機関の反応について、
お話をまとめていきます。

●民間金融機関は当然、歓迎していない

利用者、並びにゆうちょ銀行側にもメリットがある、
今回の預入限度額引き上げですが、
その一方で、当然のごとく、
民間金融機関は
「預金がゆうちょ銀行に流出してしまう」
と懸念を示しています。

日銀のマイナス金利政策の長期化で
収益力が低下した金融機関にとっては、
競争激化の火種となる可能性もありますので
当然かもしれません。

さらに、AIの導入により
民間金融機関の業務は過渡期にあり、
その上、今回のゆうちょ銀行の限度額引き上げにより、
預金のシフトが起きてしまっては大変です。

民間金融機関は今回の預金限度額の引き上げで
一番懸念しているのがこの預金のシフトです。

つまり、民間金融機関の預金者が
ゆうちょ銀行に預金を移してしまうのではないか、
と懸念しているのです。

●そこまで預金のシフトは起きない?が・・・

ただ、多少の預金シフトはあるものの、
その影響は限定的との見方もあるようです。

なぜなら、日本国民の1世帯当たりの
貯蓄高の平均は1,812万円、
中央値は1,074万円、
勤労世帯の中央値は792万円
というデータがあるため、
劇的なシフトが起きる可能性は低いと言えます。

では、仮に劇的な預金シフトが起きたとして、
ゆうちょ銀行はどうやって
その資金を運用していくのでしょうか。

ゆうちょ銀行は、企業融資を実施していません。
つまり、ゆうちょ銀行は、
資産運用に頼るしかないのです。
現在の国債の比率は約3割ほどで、
高リスクな株式や不働産、ヘッジファンドなどの
リスク資産を増やしているのが現状です。

劇的な預金シフトが起きたら、
実は、ゆうちょ銀行は
その運用に困るのかもしれません。

ただ、前回で述べたようにコスト削減効果は
一定の効果が見込まれるでしょう。

では、預金シフトの可能性も低く、
企業融資も行っていないのに
何故、民間金融機関は限度額引き上げに
反対するのでしょうか。

●反対する本当の思惑は?

それは、今回のゆうちょ銀行の貯金限度額の引き上げは、
なし崩し的な規制緩和への伏線
ではないかとの見方もあるからです。

つまり、ゆうちょ銀行が今後、
企業融資への参入をする可能性がある

ということです。

これが起きれば、競争が激化するのはほぼ間違いなく、
ただでさえ厳しい環境下の民間金融機関にとっては、
火に油を注ぐ状況にもなりかねません。
正直、この企業融資参入の規制緩和への懸念が、
民間金融機関が反対する本当の思惑なのでしょう。

ただ、もちろん、我々、融資を受ける側にとっては
ありがたい話なのですが。。。

さて、今回は以上です。
次回も宜しくお願いします。