お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「中国経済」
についてのお話です。
しっかりチェックしておきましょう!
■世界通貨安戦争!? 日本はどうする?
世界中で通貨安戦争が始まる兆しが
表れているようです。
米国、ユーロ諸国、中国、日本など
主要国の中央銀行が「金融緩和」に舵を切ったことが
引き金になる可能性が高まっています。
いまどのような状況にあるのでしょうか?
日本はどうするのでしょうか?
まとめてみます。
●EUも量的緩和へ
まずは、ニュースからです。
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欧州中央銀行、量的緩和再開へ マイナス金利拡大も決定
https://digital.asahi.com/articles/ASM9D42NWM9DUHBI01C.html
2019年9月12日 朝日新聞
欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で、
昨年12月に終えた量的緩和政策の再開を決めた。
11月から国債などを毎月200億ユーロ(約2兆3,800億円)規模で
新たに買い入れて市場にお金を流し、企業などが借りやすくする。
米中貿易摩擦などでユーロ圏経済は減速感が強まっており、
景気を刺激するねらいだ。
ユーロ圏19カ国の民間銀行が
余ったお金をECBに預ける際にかける金利を、
今のマイナス0.40%からマイナス0.50%に拡大することも決めた。
マイナス幅拡大は2016年3月以来、3年半ぶり。
拡大すれば、民間銀行はECBにお金を預けるほど、
より多くの手数料を取られる。
損をすることになるため、より積極的に企業へ
お金を貸し出す動機づけとなる。
政策金利の「先行きの指針(フォワードガイダンス)」も見直した。
現行の緩和状態が続く期間を「少なくとも20年前半まで」から
「インフレ率が目安の2%弱に達するまで」に変え、
長期化する可能性を示唆。
ドラギ総裁は会見で「ユーロ圏が景気後退に入る可能性は
まだ小さいが、高まっている」と述べた。
政策金利は、過去最低の年0%のまま据え置いた。
トランプ米大統領は12日朝、ツイッターで今回の決定に触れ、
「ECBは強いドルに対してユーロを切り下げ、
米国からの輸出を妨げようと試み、しかも成功している。
それなのにFRB(米連邦準備制度理事会)は何もしていない」
と述べた。
ドイツなどによる輸出を有利にするため、
ECBが緩和路線をとっているとかねて非難してきた。
米中貿易摩擦の激化で経済の不透明感が強まるなか、
FRBに緩和圧力を強め、前日の11日にも政策金利を
「ゼロかそれ以下」に下げるようツイッターで訴えていた。
FRBが来週17~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で
追加利下げすると市場で確実視されているが、
緩和圧力を強める可能性がある。
ECBの公表を受けて、対ユーロでの円相場では一時的に、
1円を超える円高ユーロ安が進んだ。
(フランクフルト=和気真也、ワシントン=青山直篤)
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記事にあるように、ECB(欧州中央銀行)が
量的緩和政策の再開を決定しました。
短期金利の指標となる主要政策金利をゼロ%に据え置く一方で、
18日から中銀預金金利をマイナス0.5%に下げることになります。
その背景には、米中貿易戦争やブレグジットなどによる
先行き不透明感から景気減速が予想されていることもあって、
EU全体でインフレ率の低迷が続いていることも
あいまった危機感によるものだと思われます。
特に、ユーロ圏のインフレ率は
直近数年に渡って1%前後で推移しており、
目標である2%弱を大きく下回っている状況にあります。
そうしたことから、
今回「インフレ率が目安の2%弱に達するまで」と
事実上の無期限で緩和を続けるとしたことで、
緩和政策の長期化が予想される状況になりました。
●各国も反応
このECBの決定を受けて早速反応したのがトランプ大統領です。
ECBの政策発表から約30分後、
トランプ大統領はツイッターへの投稿で
「ECBは迅速に行動し、10ベーシスポイント(bp)利下げした。
ECBは非常に強いドルに対するユーロの価値を引き下げることに
尽力そして成功し、米国の輸出に打撃を与える」と反応。
「FRB(米連邦準備理事会)は手をこまねいているだけだ。
FRBが金を借りて報酬を得る一方、われわれは金利を払っている!」と批判。
トランプ大統領は、以前からFRBに対して
金利を引下げるように様々な形で圧力をかけており、
「FRBは政策金利を0%かそれ以下に引き下げるべき。
それを受けて我々は債務の借り換えを行う」
「他の国が既にやっていることを認めようとしないのは、
馬鹿正直なパウエル氏とFRBだけ」
等といった発言を繰り返してきました。
そうした圧力を受けてFRBも17~18日に開かれる
次回会合で追加利下げするとの見方が広がっています。
また、中国は米中貿易戦争の真っ只中で、
9月に入ってから人民元の対ドル基準値を
10年ぶりに元安水準を更新。
通貨安に誘導して対米貿易のダメージ軽減を
しようと画策しています。
インド準備銀行(中央銀行)も低成長となっている
国内経済を支えるため、9月6日に政策金利引下げを発表しており、
政策スタンスを「中立」から「緩和的」に変更しています。
その他にも、オーストラリア、インドネシア、韓国、ロシアなど
世界各国の中央銀行がここ数カ月のうちに
利下げに踏み切ってきていることもあり、
この傾向は今後も各国に波及することになりそうなのです。
●日本はどうする?
こうした情勢となると、動かざるを得ないのが日本です。
EUや米国が金融緩和をするとなれば、
結果的に円高となる可能性が高いため、
日銀も何らかの対策を発表する可能性が高まっています。
18~19日から日銀の金融政策決定会合が予定されており、
追加の金融緩和を講じるかどうかを
議論することになっていますが、
主な議題になるとされているのは
「長期金利の誘導目標」となっています。
実は長期金利は、ここ数カ月の間、
目標とするマイナス0.2%を大幅に下回り
マイナス0.3%に届くような動きをしていました。
そのため、過度な低水準が常態化するのではないかとの懸念があり、
何らかの抑制策を打ち出すのではないかと言われていました。
ところが、欧米の金融緩和政策で状況が変わってきており、
ここで日銀が弱腰姿勢を見せるとなると、
一転して円高に振れてしまう可能性があるため、
必然的に追加緩和せざるを得ない状況に追い詰められつつあります。
「これまでも日本は異次元緩和してきたんだから、
ガンガン行けばいいじゃない?」
と、思うかもしれませんが、
実は実効性のある手段がなくなってきているとの見方があります。
これまでの主な金融緩和の手段は、
「短期・長期金利の金利引下げ」
「マネタリーベース拡大(国債買い入れ)」
「ETF(上場投資信託)買い入れ」等ですが、
金利は既にマイナス金利を導入、市場の国債はほぼ買いつくし、
ETFでは既に日銀が年6兆円ペースで過去最高の爆買い中ですから、
ここからそれぞれ拡大しても
「効果が薄い」という見方もあるのです。
さらに、国内事情で10月からの消費増税で
経済情勢も懸念される中で、
一体どのような方向に舵を切るのか、日銀の対応に注目です。
以上、いかがでしたでしょうか。
EU、米国の一層の金融緩和が進むとされ、
世界各国が一斉に緩和に舵を切りだしており、
「世界通貨安戦争」に突入したと言える状況になりつつあります。
そうした中で、これまで突出して緩和していた日本ですが、
仮に「現状維持」となれば相対的に緩和抑制的
と取られかねないため、残りの有効な手立てが少ない中、
難しい判断を迫られることになりそうです。
さらには、消費増税の影響がどうなるかによっても
判断が大きく変わるでしょうから、
しばらくの間は金融政策に注目ですね。