こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。

さて、今回のテーマは
「賄賂と裏金」です。

最近でも大手電力会社での裏金問題が出ていますが、
いつの時代になっても、こういった裏金や
賄賂、不正献金等のニュースは後を絶ちません。

ニュースや新聞に出るような事例は、
法的、倫理的、社会通念的に
問題があったりするので勿論宜しくないのですが、
「お金を貰う事」自体が悪いと思っていませんか?

ということで、今回は、
賄賂・裏金、何が問題で何が違うのか、
そのあたりについてまとめていきたいと思います。

賄賂・裏金 何が問題? 何が違うの?

■賄賂・裏金 何が問題? 何が違うの?

賄賂、わいろ、ワイロ、
書き方は色々ありますが、
言葉の響きとして良いものでは無いと思います。

古くは時代劇で描写されるような、
(悪)代官へ商人が渡す小判等、
近年においては政治家や官僚への
多額の金銭や株券、過剰な接待等が
イメージされるのではないかと思います。

ただ、この賄賂ですが、
一体何が問題なのでしょうか?
勿論、何かしら権力のある人が
金銭等を貰っている印象があるので、
感情的に許しがたいのはわかりますが、
何かしらの金銭を一般の人達が
貰う事も良くないのでしょうか?

具体的に何が問題・悪いのかが
ご存知ない方もいらっしゃるのではないかと
思いますので、今回は解説をしていきたいと思います。

●賄賂は悪いこと

まず、大前提として賄賂は法律違反です。
なので、日本国内においては「悪いこと」と
認識すべきことです。
その理由は、賄賂というのは、
公務員」を対象にしたものだからです。

具体的には、賄賂罪というのは
収賄罪(賄賂を貰う方)と贈賄罪(賄賂を贈る方)の
二つの罪があり、どちらも犯罪です。
収賄の対象は公務員、またはそれと同等の
みなし公務員の人達です。一般的には、
国家・地方公務員や選挙で選ばれた議員等が
その対象となります。

公務員は行う仕事やその成果に対して、
外部から対価を受け取ってはならないとされています。

その意義・定義については諸々見解があるかと思いますが、
要は、職務上大きな責任や権限を保有する公務員が、
金銭や相応の対価を受け取ることによって、
特定の個人や企業・団体に有利になるような行動を
してはいけない、ということが理由です。

なので、別に民間企業に勤めている人同士や、
民間企業同士で謝礼を送ったり、接待をしたりするのは、
賄賂でもなんでもないので、全く問題ありません。
公務員に金銭や接待を行うから、賄賂なのです。

●じゃあ、裏金って何だ?

では、裏金ってなんでしょう?
裏金というのは、
もっと定義が広くなります。

賄賂等によって動いているお金も裏金ですし、
賄賂を含む経費計上出来ない不正な目的に利用する為に
適正な会計処理を逃れたお金も裏金ですし、
適正に支払われるお金とは別に個人的に
渡している・受け取っているお金も裏金と呼ばれたりします。

要は、表(正式な会計処理や申告等)に出せない、
もしくは意図的に出さないようにしているお金が
全般的に裏金と呼ばれています。

ですので、裏金に関して大きく問題になるのは2点で、
一つ目は官公庁等の税金で活動している組織が
実際には使っていない費用等を計上して
裏金をプールし、他の目的に利用するという場合
もう一つの場合は、その裏金を受け取った個人や団体の
税務申告に問題がある場合です。

●裏金でもちゃんと申告・納税しろ!!

税務署・国税のスタンスというのは非常にわかりやすいもので、
個人や団体がどんな方法で得たお金であっても、
そのお金を得た方法の善悪を議論するのではなく、
得たお金相当の申告・納税を行えというスタンスです。

なので、賄賂はそもそも別の法律違反ですが、
裏金を受け取った個人や企業・団体があっても、
申告・納税さえ行えば、税務署側は特に問題視しません。

「裏金を貰うのが良い・悪い」と
「税金を払う・払わない」は別問題、
というある意味わかりやすい組織です。

でも、このポイントは非常に重要です。
というのは、裏金とは言わないまでも、
民間企業同士の取引であれば、
謝礼、接待、贈答品等のやり取りは
珍しいものではありません。
しかも、長年の取引であったり、
その取引で得た利益が大きかったりという場合は、
受け取ったりする金額が非常に高額になる場合もあります。

それをご自身で受け取った時や
受け取らざるを得ない時、
後ろめたい気持ちから申告・納税を
疎かにしてしまうので、
その後の大問題に発展したりするわけです。

一般のサラリーマンの方でも、
責任ある立場になったりすると、
こういった話が出てくるかもしれません。
ちょっとしたお祝いを一度貰った程度なら
全く問題にはならないかもしれませんが、
定期的に、そして通算すると高額になっている場合は、
自分に別途申告の必要があるかないか、
意識するようにしましょう。

●民間企業で注意が必要な場合

前段までを確認して、
民間企業同士の場合は賄賂じゃないから、
気にせずやっていこう!!
と思われた方、本当に大丈夫かは
ココを確認してからにしてください。

確かに、民間企業同士の場合は、
謝礼・接待・金品等の受け渡しは
頻繁に行われたりしています。
販売代理店を多数抱えているメーカー等は、
販売数に応じて謝礼金を渡したり、
年間の成績優秀者やチーム全体を
海外旅行に招待する等も行っています。

ですが、これはあくまでその企業が
自社の売上を上げる為に適正に経費として
利用しているものです。
大がかりな費用が掛かる場合は
事前に税理士等と相談して、
きちんと経費処理できるように考えて
ルール作りを行っているはずです。

ただ、民間企業同士でも、
会社が決定して行っている場合と、
現場の各担当者同士で行っている場合は、
全く意味が変わってきたりします。

民間企業間の謝礼、まあ、リベートと
言ってもいいかもしれませんが、
こうした現場レベルの謝礼で
古くから行われている方法が、
「水増し請求からのキックバック」です。

●詐欺・背任・横領には注意!!

取引における発注元(購入側)と
発注先(販売側)の関係は
お金を支払う側である
発注元の方が権限が強いのが通常です。

その為、発注先から発注元担当者は接待を受けることも
多々存在するのですが、中には個人的なリベートが
介在している場合も存在します。

ただ、個人的なリベートと言っても、
発注先担当者が身銭を切る訳にはいきませんし、
発注先企業が捻出するのも利益が大きく減ってしまいます。
ということで古くから存在している手法が、
発注先が発注元担当者の指示で
通常の代金よりも水増しされた請求を行い、
水増しされた代金を発注元担当者へリベートとして渡す、
という方法です。

こういった内容、中小企業においては
多かれ少なかれありふれているのですが、
詐欺罪・背任罪・横領罪に当たる可能性があります。

上記のケースの場合、発注元企業をA、
発注元企業担当者をB、発注先企業をCとする場合、
当然、リベートを要求したBが一番悪く、
BはAに対する詐欺罪・背任罪・横領罪に
問われる可能性があり、
CもAに対する詐欺罪やBの共犯に
問われる可能性があります。

何が問題かを説明すると、
Bがリベートさえ要求しなければ、
Aは適正な価格でCの商品・サービスを
受領出来ていたわけで、
Bが個人的にリベートを要求した行動により
Aという企業の支払い増加(=損失)を
もたらしているということです。
これが背任にあたるということであり、
この実態を隠して水増し請求をしているのが詐欺であり、
その水増し分をリベートとして受領しているのが横領、
ということになります。

なので、ちょっとした接待を受ける、
簡単な謝礼を貰うというのは別にしても、
リベートを受けるために取引先と画策を行う、
というのまで進行させるのは、
受け取ったお金は申告・納税するよ!
と言うつもりでも、諸々リスクが高いので、
止めた方が賢明です。

大きな企業(上場企業等)の社内規定で、
取引先から金品を受け取ったり、
食事をご馳走してもらったりするのを
事前許可が無ければNGとしている会社は
多いのですが、そういった背景には、
上記のような横領・背任を防ぐ為だったりします。

賄賂・裏金 何が問題? 何が違うの?

ちなみに、こういったことをやっているが
バレていない人にお話をすると、
上記でいうところのAの企業に税務調査が入ると、
税務署の調査によってバレたり、
社長に注意を促されたりしますよ。

税務署側は、AとBの企業同士がグルになって、
請求水増し(経費増)を行って税金逃れを
しているのではないか?という事を疑う為、
結果としてAとBがグルではない(社長が関与していない)
ということがわかっても、不正がありそうな取引は
分かってしまうからです。

さて、今回は以上です。

賄賂というのは公務員に対してなのでNGでも、
民間企業同士の接待や謝礼等については、
会社内で決定したルールに則って行う分には、
何ら問題無いことが多いです。

ただ、企業としてきちんと行うには、
企業側も経費にできる活動でなければ
許可はしづらいと思います。

接待交際費の解釈、どの程度まで許容されるか、
こういった内容は税理士と話をしながら
ルール作りをしていくものです。

税理士と関与せず、ご自身の判断だけで
全て経費として考えている場合、
今後、税務調査に入られたときに
痛い目を見てしまうかもしれません。

そういったことを防ぐためにも、
取引先との関係上接待が多い方や
謝礼やキックバックを渡す機会が多い企業は
しっかり税理士と関与して、
社内でのルール作りを進めましょう。

税理士を探す場合は、知人や取引先に
紹介をしてもらうのが手っ取り早いですが、
声掛け出来る人に心当たりが無い場合や、
出来れば現在の取引先と無関係な税理士へ
依頼したいという場合は、無料で紹介可能な
下記サービスへ是非ご相談ください。

税理士紹介ネットワーク~タックスコンシェルジュ~
https://www.tax-concierge.net/

さて、今回の報告は以上です。
また、次回宜しくお願い致します。