お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「ブレグジット合意」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■ブレグジット協定合意 今後どうなる?
10月17日、イギリスとEUは離脱協定案で合意しました。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は
10月31日に「必ず離脱する」と公言していましたから、
まさにギリギリのタイミングで
EU側と合意できたことになります。
一体どのような内容なのか?
また、今後どうなるのか?
まとめてみます。
●これまでの経緯
10月17日、EU首脳会議でイギリスとEUが
英ジョンソン首相の提案したEU離脱協定案で
ようやく合意しました。
あとは、この離脱協定案が英国議会で承認されれば、
晴れて合意の上でブレグジットとなるわけです。
その後、19日、注目の英国議会が開かれ、
離脱協定案が審議されることとなりました。
実は、英国議会下院で19日までに協定案
あるいは合意なしの離脱の承認が得られなかった場合は、
首相はブレグジットを3ヶ月遅らせるように
要請することが法律(※)で定められていました。
※野党・労働党のヒラリー・ベン議員が提出した
離脱延期法:通称ベン法
10月31日までの離脱を公言していたジョンソン首相としては、
19日の議会承認がギリギリのタイミングだったわけです。
ところが、議会審議が始まると下院議長は審議冒頭に、
レトウィン議員の提出した案を審議すると決定。
レトウィン議員の案とは、
「離脱協定法案が成立するまでは、
承認を棚上げするというもの」で、
この案が採決され「賛成322対反対306」で
可決してしまったのです。
この状況を受けてジョンソン首相は
「EUと離脱延期を交渉するつもりはない」と言明し、
31日の離脱は何としても実現するとしました。
ですが、英下院院内代表に
「延長をしないならば、法廷に立たされることになる」
と釘をさされ、渋々と離脱期限の3ヶ月延長(20年1月末まで)を
求める書簡をEUに送ることになりました。
●協定の内容はどう変わったのか?
今回、ジョンソン首相がEUと合意した離脱協定は、
過去にメイ首相が合意していた内容よりも
EU側に大幅に譲歩させた内容になっています。
そもそもEUの特徴は、関税同盟(域内では関税なし)と
単一市場(人・物・金の移動が自由)にありますが、
メイ首相案では単一市場からは離脱するが、
関税同盟に残るというものでした。
そのため、北アイルランド国境に
検問所・税関ができるという問題は回避できるものの、
他国と貿易協定が結べない(関税自主権の放棄)
というものだったのです。
つまり、メイ首相案は、表向きはEU離脱としながらも
実際はEUの支配下に残り続ける案だったわけです。
そうしたことから、メイ首相案は英国議会から否決され続け、
辞任に追い込まれたわけです。
今回のジョンソン首相案では、
関税同盟からも離脱することが
明記されたEUから完全に離脱する案となっています。
ただし、北アイルランドは
物品のみEU単一市場の安全基準などの規則に
従うことになっています。
その際の懸念となる北アイルランドの国境には、
物理的な税関などは設けず、事前承認性などにすることで
検査などを省略できるように配慮されています。
また、この取り決めを継続するかについては、
北アイルランド議会に自主性をもたせることで
(4年に一度、議会の投票で決定できる)
反発を抑える狙いがあるようです。
このように新協定では、
本格的にEU離脱を進めるものになっており、
離脱派から見れば少なからず前進した内容に
なっているのです。
・・・とは言え、前述したように
英国議会で延期申請が決定されてしまいましたから、も
うしばらく時間がかかることになりそうです。
では、今後どうなるのでしょうか?
●今後どうなるのか?
相変わらずグダグダやっているように見えるイギリス議会ですが、
今回の一連の動きでブレグジットは実現に向けて
大きく一歩進展したことになるはずです。
しかし、まだまだ予断を許さない状況は続きます。
それは、まだ次のようなシナリオの可能性があるためです。
1.EU側が延期を認めない可能性
結局、EU側に3度目となる離脱期限の延期を
求めることになりましたが、
EU側が受け入れない可能性もないとは言えません。
実際にEU側が延期を承認するためには
首脳会議での全会一致が必要ですが、
既に一部の首脳からは
「離脱延期はそんなに簡単ではない」
とけん制する発言が出てきています。
また、これまでの交渉相手であった
EU大統領は11月末で退任することになっているため、
次期大統領(ベルギーのミシェル首相)率いる新体制が
どのように動くのかも不確定要素と言えなくもないでしょう。
とは言え、一度は合意した協定案ですし、
合意なき離脱よりは良いと考える国も多いことから、
当面の間は英国議会の動きを静観し、
その動向によって協議・判断することになりそうです。
2.英国議会が協定案の修正を求める可能性
今回の協定案に不満を持っている議員は少なくなく
最大野党の労働党をはじめ、
北アイルランドの地域政党である
民主統一党(DUP)も強い懸念を示しています。
つまり、実際に協定案を審議する中で、
過度な修正案が提出されEU側との合意内容が大幅に変わるような
動きが起きた場合、EU側との決裂は必至ですから
「合意なき離脱」に向かう可能性があります。
そもそもブレグジットに反対する野党と勢力が拮抗しているため、
まだ何が起きてもおかしくない状況にあります。
3.国民投票でEU残留が決まる可能性
19日に議会が開かれている最中に、
議会の外では国内各地から集まったEU残留派が
国民投票の再実施を求めて大規模なデモが行われていました。
デモは、EU残留派を訴える
労働党系市民団体などの呼びかけで集まり、
過去には主催者発表で100万人を超える規模に
なったこともあります。
つまり、依然としてイギリス国内世論は
分裂している現状であるため、
議会の動向次第では解散総選挙や
国民投票になる可能性もないわけではないのです。
とは言え、そうなるくらいであれば
ジョンソン首相は「合意なき離脱」に舵を切るでしょうが。
このように、まだどうなるかわからない状況にありますが、
少なからずEU側と協定を合意できたのは
大きな一歩と言えるでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
2016年6月の英国の国民投票から始まった
ブレグジット問題は、延期を繰り返し、
既に3年以上も堂々巡りをする中で、
(まだまだ予断を許しませんが…)
ようやく決着がつきそうな兆しが見えてきました。
これまで、ブレグジットが世界経済の不安要素として
悪影響を及ぼしてきていましたから、
できるだけ穏便に良い形で決着してほしい
というのが多くの人の願いではないでしょうか。
そういった意味でも、イギリス・EU共に
折合をつけながらソフトランディングしてほしいですね。
いずれにしても、今後の動向にも注目です。