お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。
さて、今回のテーマは、
「ヤフーとLINEの経営統合」
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!
■ヤフーとLINE経営統合へ ソフトバンクGの救世主となるか?
ヤフーを傘下におくZホールディングスとLINEが
経営統合に向けて協議していることが報じられました。
今月内の合意を目指しているとされ、
早ければ週明けにも記者会見を開く可能性があるようです。
一体どのようなものなのか、
現段階でわかる範囲でまとめてみます。
●ヤフーとLINEが経営統合へ
まずは、ニュースからです。
───────────────────────────────────
ヤフーとLINE統合へ
https://jp.reuters.com/article/idJP2019111301002114
2019/11/13 ロイター
ソフトバンクがヤフーを展開する
グループ会社のZホールディングスを通じ、
無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)と
包括提携する検討に入ったことが13日、分かった。
LINEをZホールディングスと経営統合させ
実質的に買収することを視野に交渉している。
ソフトバンクとLINE親会社の韓国IT大手ネイバーが
折半出資する新会社を設立することを検討している。
月内合意を目指す。
提携によりソフトバンクグループは、
LINEの顧客基盤や技術を活用して
サービスを強化する狙い。
東京証券取引所第1部に上場する
LINEの時価総額は約1兆1千億円で、
IT業界の勢力図が変わりそうだ。
───────────────────────────────────
現段階では、次の図のような統合案が検討されているようです。
まず、ソフトバンクグループとネイバーが
50%ずつ出資して共同出資会社を設立。
その共同出資会社がZホールディングスの
7割程度を保有する親会社になり、
その傘下にヤフー株式会社とライン株式会社が
100%子会社として入る案が検討されているようです。
なお、Zホールディングスは
3割程度の一般株主を残す形で上場を続け、
ラインは上場廃止になるようです。
日本のポータルサイト(死語?)のパイオニアであるヤフーと
通話メッセンジャーアプリとして
デファクトスタンダードなラインの統合。
この報道直後から、Zホールディングスと
ラインの株価は高騰しており、
市場の期待も高いことがうかがい知れます。
では、この統合で一体どのようなメリットが
あるのでしょうか?
●統合のメリットは?
両社の特徴は、利用者数の規模にある
のではないでしょうか。
ヤフーは5,000万人、LINEは8,000万人の
ユーザーがいると言われており、それらのユーザー層が
それぞれパソコンとスマホで異なっていることから、
統合されることになれば国内では他の追随を許さない
ダントツのユーザー数を有するプラットフォーマ―
になると思われます。
Yahoo! JAPAN | LINE | |
---|---|---|
利用者数 | 5,000万人 | 8,000万人 |
メッセンジャー | ヤフーメッセンジャー(終了) | LINE |
スマホ決済 | PayPay(1,500万人) | LINEペイ(3,000万人) |
検索サイト | ヤフー検索(Googleエンジン) | LINEサーチ |
ECサイト | ヤフーショッピング
ヤフオク! ZOZOタウン |
LINEショッピング |
もともと両社はプラットフォーマーとして
多様なサービスを提供することで、
その規模を拡大していくビジネスモデルであるため、
ほぼすべてのサービスで競合しているという現状があります。
そのため、これらが統合されることになれば、
コストが削減されつつ規模を拡大することができるため、
大きなメリットが生まれることになるはずです。
特に最近はスマホ決済サービスPayPay(2位)とLINEペイ(1位)で
利益度外視のユーザー争奪戦を繰り広げており、
それらが統合されるとなれば、
3位の楽天ペイを大幅に引き離す
圧倒的なシェアを得ることになるわけです。
つまり、ヤフーとラインの統合は
あらゆる面でメリットがあり、様々な市場を席巻する
巨大なポテンシャルを持つ企業が誕生することになります。
ですが、この統合は簡単には進まない
との見方も出始めています。
●簡単には統合できない理由
他社の追随を許さない圧倒的なシェアを持つ
プラットフォームが生まれることは、
実は大きな懸念があります。
もし両社の統合によって
圧倒的シェアを持つサービスが誕生すれば、
市場が寡占されることになり、
結果的に企業間競争が低下し、
独占サービスが割高になる可能性が高いのです。
つまり、ヤフーとラインの経営統合は
市場を独占する可能性があり、
公正取引委員会が統合を
すんなりとは認めない可能性があるのです。
特に、公取委は近年に個人情報収集に対して
規制を強めており、
10月にもブラウザの「クッキー」や
スマホ位置情報の収集についても
規制する方針を発表しています。
ヤフーとラインの経営統合は、
個人情報の観点から見ても、国内最大規模の
個人情報収集企業になる可能性が高いため、
いくつかの事業を分割して統合させる
などの注文を付けることは間違いないと思われます。
また、通信事業者としての側面から見ても
問題が出て来そうです。
ヤフー・ラインとも通信事業者としての側面もあり、
いずれもソフトバンク系列の事業者
という位置づけになりますから、
ドコモ・auから見ると大きな脅威になりかねません。
国内の通信事業者は既存の3キャリアに楽天が加わる情勢ですが、
各社とも通信事業ではサービスに差がつけにくいため、
その他の付加価値サービスに力を入れている状況にありました。
スマホ決済などはその最たる例で、
ドコモのdポイントやauWALLETも
スマホ決済として拡充を進めており、
ドコモ・auもショッピングモールを展開している状況です。
そのような中で、LINEがヤフーショッピングへ誘導を始めたり、
LINEペイで通信料支払いを促すようになれば、
ドコモやauから見れば邪魔でしかないと考えるはずです。
そもそもラインが無料通話アプリとして
デファクトスタンダードになった背景には、
3キャリアが一致して利用を後押ししていたこと
が大きかったはずです。
それのLINEがソフトバンク色になるとなれば、
ドコモやauも黙っていられないでしょう。
特に新規参入を始めたばかりで
苦戦続きの楽天からすれば、
手におえない打撃となってしまう可能性すらあります。
このように、ヤフーとラインの統合は、
市場独占という観点から見ると様々な問題があり、
すんなりと進まない可能性があるのです。
●GAFAへの対抗手段
ヤフーとラインの統合は市場独占の可能性
があるのは間違いないのですが、
その一方で、圧倒的な規模で攻めてくる
GAFA等の海外勢力に対抗しうる最後の手段
との見方もできます。
実際問題として、国内EC市場では
amazonが既に独走状態にあり、
2位のヨドバシカメラと売上高が1桁違う
という圧倒的な状況にあります。
また、メッセンジャーアプリのLINEは
国内市場では圧倒的ですが、
世界で見ると7位に留まっており、
9億人を抱える「WhatsApp」や
中国発の「QQ」「WeChat」などに
遠く及ばない状況にあります。
つまり、世界的な企業を考慮したシェアを考えてみると、
ヤフー・ラインの統合は決して市場独占的だ
とは言えないと見ることもできます。
ネットサービスは国境を簡単に超えてしまいますから、
短期的な国内シェアで判断することが
はたして妥当なのかというのは議論されるべき問題でしょう。
そういった意味では、ヤフーとラインの統合は
日本がGAFAに対抗しうる数少ない手段と見ることができ、
多少の注文が付く形であっさり認められる可能性
もないとは言えません。
いずれにしても、公取委の動向が
今後を左右するのは間違いないでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
ヤフーとラインの経営統合は、大きなメリットがあるものの、
市場独占の懸念があることがお分かり頂けたと思います。
公取委が動くのは間違いないでしょうから、
すんなりと行くことはないと思いますが、
当面は話題が尽きない気がします。
そして何よりもこの統合を仕掛けた
ソフトバングGの孫正義社長が
一番喜んでいるのは間違いないはずです。
大幅な赤字決算、ウィーワーク問題と
ここ数カ月のネガティブイメージで
株価が下がり続けていましたが、
この報道でソフトバンクGが
密かに含み益を増やすことに成功しています。
そう考えると、孫正義という人物の底力を
感じさせるニュースではないでしょうか。
いずれにしても今後の動向に注目したいですね。