お世話になってます!
さすらいの情報収集家Kです。

さて、今回のテーマは、
「景気動向指数
についてです。
しっかりチェックしておきましょう!

景気動向指数 震災以来の大幅下落

■景気動向指数 震災以来の大幅下落

12月6日、景気動向指数の10月分速報値が発表されました。
それによると、景気動向指数が直近3ヶ月連続で悪化し、
景気後退の可能性が高いと判断されたようです。

どのような状況なのでしょうか?
まとめてみます。

●景気動向指数 8年7ヶ月ぶりの大幅悪化

12月6日に発表された景気動向指数は、
消費税が10%に引き上げられた最初の月となる
10月の速報値ということもあって、とても注目を集めています。

その注目の結果は、前月より5.6ポイントの悪化。
これは、前回の消費増税(5%⇒8%)直後の
悪化幅を上回り、8年7ヶ月ぶりの大幅な悪化
となってしまいました。

この8年7ヶ月前にあった出来事と言えば、
国民の誰もが忘れることのできない東日本大震災。
ですから、今回発表された19年10月の景気動向指数は、
東日本大震災に次ぐ大きなインパクトのあるもの
になってしまったと言えます。

その状況は、グラフを見るとよりわかりやすくなります。

次の図は、景気動向指数(CI指数)をグラフ化したものです。
景気動向指数は、3つの数値からなるもので、
先行きの景気判断に使われる「先行指数」(グラフ中、青折線)、
現在の景気判断に使われる「一致指数」(赤)、
一致指数の影響を受けて変動する指数である「遅行指数」(緑)があります。

景気動向指数(CI指数)

グラフの一番右端の19年10月の
一致指数が急下降していることがわかります。
同じように急下降している箇所を見ると、
14年4月の消費増税8%の時で4.8ポイントの悪化、
11年3月東日本大震災の時で、6.3ポイントの悪化となっています。

また、直近3年間で見れば
一致指数・先行指数ともに過去最悪の水準
となっていることもわかります。

また、一致指数を構成する各指数は全9項目あり、
商業販売額(小売業・卸売業)や投資財出荷指数、
耐久消費財出荷指数などが含まれています。

今回発表された10月分では、一致指数の全9項目中、
8項目でマイナスとなっており、
特に商業販売額が卸売・小売共に前年同月比で
10ポイント以上マイナスとなっていることが
大きな影響を与えているようです。

つまり、小売業・卸売業を中心に
物が売れていないことが
景気悪化につながっている
と言えそうです。

●内閣府「増税の反動減と台風の影響」

各社の報道発表を見ると、
今回の景気動向指数の悪化した要因を
内閣府は次のように捉えていると報じています。

内閣府「消費増税の駆け込み需要からの反動減で
自動車や家電の売上が落ち込んだほか、
台風で自動車や掘削機の部品調達が遅れ生産が減ったことが原因」

当然、官房長官から何らかの言及があるものと思われていましたが、
12月6日の官房長官定例会見では政府からの発表もなく、
本来ツッコむべき各社の記者が景気動向指数について
一言も触れないと言うお粗末な状況でした。

ですから、政府側が今後国民にどのように説明するかに注目が集まります。

●政府はあわてて対策に動き出していた、が・・・

とは言え、実は政府側はあわてて景気対策に
乗り出していた節があります。
今回の景気動向指数が発表される前日12月5日、
政府は臨時閣議で3年ぶりとなる経済対策を決定しています。

その目的は、東京五輪後まで見据えた
成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ整備、
景気の下振れリスクへの備えの3本の柱としています。

事業規模の総額は、民間支出を含め26兆円規模で、
財政支出を13兆円に積上げ、
通信や医療分野の技術開発やインフラ整備などの
重点投資をするとしました。

これに対して、新聞各社は一斉に政府を非難。
朝日新聞「「最長景気」でなぜ巨額の経済対策 財政的余裕ないはず」
読売新聞「経済対策 効果のある事業に絞り込め」
日経新聞「経済対策26兆円は規模ありき 使途の点検強化が必要に」

要するに、新聞各社は
「せっかく財政再建に向けて増税までしたのに、
なぜ巨額の財政出動してんだよ」と言いたいようです。

確かに各社が言うように、政府の発表では
主に災害対策が中心にあるような話で、
消費税の影響とは一言もでていなかったので、
唐突に巨額の経済対策が発表された感がありましたが、
いま考えると「消費増税の景気対策」
だということがわかります。

景気動向指数発表の前日にまとめあげたあたりは、
政府側のあわてぶりが窺い知れます。

●消費増税の影響はなかったはずでは?

そもそも、消費増税は景気に影響がでないように、
様々な対策が施されているはずでした。
いま国民を混乱させている軽減税率やプレミアム商品券、
連日CMが流されている○○ペイが
乱立しているのも消費増税の反動減対策だったはずです。

もちろん、軽減税率の恩恵を得たいために
新聞各社も消費増税の影響は限定的だとしていましたし、
その新聞社に頼まれて寄稿やコメントしていた
民間エコノミストなども総じて影響は少ないとしていました。

あえて具体的に例を挙げると・・・
第一生命経済研究所の熊野英生氏
「消費も賃上げのお陰で底堅い」

SMBC日興証券の牧野潤一氏
「むしろ増税後に消費が上向く」

・・・といったもので、
同じような発言をしていた人々は
様々な業界に渡り多数いました。

現段階では消費増税の影響が
どの程度か把握できる状況にはありませんので、
もうしばらくの間は様子を見るしかないでしょう。

●今後はどうなるのか?

政府は現在も「景気は緩やかに回復している」
という立場を崩していません。

前述のグラフで言うと、
安倍内閣が誕生した2012年12月以降、
ずっと景気回復が続いているということになっており、
消費増税8%の時も景気は回復していたとの立場です。

直近では、11月22日に行われた月例経済報告でも
「緩やかに回復している」と総括していますから、
それが変わるかどうかに注目が集まることになるはずです。

いずれにしても、今後徐々に集まってくる
様々な数値や指標がどのような結果になり、
またそれを受けて政府がどう判断するかが
注目すべきポイントとなります。

【主な経済指標】

12/9(月) 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)

12/13(金) 10-12月期 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断

12/20(金) 11月 全国消費者物価指数

12/24(火) 日銀・金融政策決定会合議事要旨

12月下旬 月例経済報告

以上、いかがでしたでしょうか。

景気動向指数が東日本大震災以来の悪化
となってしまいました。
まだ消費増税の影響だと断言できる状況にはありませんが、
今後徐々に明らかになってくるものと思います。

「影響は限定的だ」としてきた政府側の責任を追及しつつ、
速やかに対策を講じるように努めてもらいたいものです。