こんにちは!
税理士紹介サービスを営む、諜報部員のSです。
さて、今回のテーマは
「納税猶予制度」についてです。
2020年は新型コロナウイルスの影響により、
例年とは全く異なった状況になっています。
それは、ウイルスの影響もそうですが、
それによる自粛・経済活動の落ち込み、
そして、それらに応対する特例措置等・・・
日々新しい情報が出てきています。
特に、確定申告期とぶつかった、
税金関連はとてつもなく特例だらけの
状態となっていますが、
更に!と言っていいほど新しいお知らせが
国税庁から追加されましたので、まとめて報告します。
■納税の猶予制度のお知らせ~新型コロナウイルス関連~
既に多くの方がご存じのだと思いますが、
新型コロナウイルスの影響により
個人の所得税・消費税の確定申告と納付期限が
4月16日まで延期されています。
※国税庁:申告・納付期限が令和2年4月16日(木)まで延期されました
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/kigenencho.htm
確定申告会場も本来は3月16日の本来期限と、
3月17日以降の延長期限で異なる地域もありますので、
延長期間での申告・納税を行う人は、
事前に情報をご確認ください。
※お金諜報部:確定申告会場まとめ-2020年確定申告特集
https://www.y-chohobu.com/archives/4888
●確定申告の延長だけでは対応できない!
正直、確定申告の延長だけでも異例中の異例です。
過去にも、災害発生時に被災エリアの人たちを中心に
延長等が認められた事例はあります。
分かりやすい例だと、東日本大震災の時に
東北地方の人たち向けに延長が認められた、
というようなことです。
ですが、全国一律というのは過去に例がありません。
それぐらい、異例中の異例、特例中の特例なのです。
ただ、確定申告期間の延長等が決定した背景は、
確定申告会場等は非常に混雑する場所なので、
「ウイルス感染の拡大を防ぐ」
という目的が強かった状況だと思います。
ですが、それが決定された時期と
状況はさらに変わりました。
学校の休校、イベントの自粛・中止・延期、
在宅勤務やテレワーク等の推奨、
更に、ウイルス感染者が発生した
店舗や企業に関しては、一時閉鎖して消毒を行ったり、
一定期間休業したりという事も発生しています。
訪日外国人の減少によるインバウンド消費の大幅減が
確定的だった状況で、日本人自体の活動も
同様に縮小してしまった状況です。
これだけ経済活動に影響が出ている状況だと、
申告期限・納付期限を1か月延長された所で
払えるお金なんか・・・無いよ!
という人たちも増えてくるかもしれません。
勿論、そういった事業者の方々には
融資制度を利用する等のお話もあると思いますが、
納税に関してもその状況を考慮してもらえる制度があります。
それが「納税の猶予制度」です。
●今回は柔軟な適用が想定される
この納税の猶予制度にあたるものというのは、
元々法律で存在しています。
換価の猶予、もしくは納税の猶予ですね。
「換価」というのは、差し押さえ財産の売却です。
基本的には国税に提出する申告書の期限は、
申告期限だけでなく、同時に税の納付期限でもあります。
現在は口座引落やクレジットカード納付等、
実際に現金を支払うまでのタイムラグがある
納付方法も存在していますが、支払日が確定するのは
変わりありません。
要は、この猶予制度というのは、
その納付期限を後ろに延長してもらえる、
または、既に過ぎてしまっているものについて
分納を了承してもらえる制度です。
通常時は納税猶予等については、
国税側も特例なので出来るだけ認めませんが、
今回はわざわざ案内を出すくらいですから、
通常とは異なり、非常に柔軟に判断を行うと想定されます。
●適用になる条件等は?
ですが、猶予制度も誰でも適用されるわけではありません。
納税資金はあるけど、貯金を崩したくない・・・
この程度ではかなり厳しいと思われます。。。
実際、適用となるには下記の要件を満たす必要あります。
【適用要件】※簡略化しています
- 税納付により事業継続・生活維持に支障をきたすおそれがある場合
- 納税に対して誠実な意思を有する(※)
- 今回対象の税金以外で滞納している税金が無い
- 納付期限から6ヶ月以内に申請書が提出されている
- 担保の提供ある(無くても可の場合もあり)
という要件です。
※「納税に対して誠実な意思を有する」とは、
税の滞納を放置していないとか、分納の際に遅延しなかったとか、
個人的な散財が認められないとか・・・色々な状況を加味してのものです。
さらに、コロナウイルスに特化した事例として、
「個別の事情」も認められる可能性があります。
【個別の事情】
- 財産に相当な損失が生じた場合
- 本人や家族が感染した場合
- 事業を廃止・休止した場合
- 事業に著しい損失を受けた場合
上記のような「要件」、「個別の事情」を
満たす人が税務署に相談して申請を行い、
更に税務署の審査後にそれが認められた場合は、
- 原則、1年間の猶予(状況に応じて更に1年認められる場合もあり)
- 猶予期間中の延滞税の全部、または一部の免除
- 財産の差し押さえ、差し押さえた財産の売却の猶予
という特例が認められます。
詳細については、国税庁のページをご覧ください。
※国税庁:新型コロナウイルスの影響により納税が困難な方へ
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm※詳細リーフレット(PDFがダウンロードされます)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf
●最後に重要なこと!
上記の猶予の制度についてですが、
納付期限前でも税務署は応対しています。
ですので、現段階で納付が難しいという人は、
いち早く管轄税務署に相談しましょう。
個人への税金は借金と違いますので、
破産しても免除されません。
「どうせ支払えないし・・・」と無視しても、
いずれ支払わなければならない時が来ます。
であれば、事情を説明して猶予の可能性にかけましょう!
また、税理士に関与している方に関してですが、
申告書の内容までは税理士とやり取りできますが、
申告内容が確定し、納税額が明確になった後は、
税理士は何もできません。
納税の猶予に関しての手続は自分でやる!
と認識して頂いた方が良いと思います。
さて、今回は以上です。
また次回宜しくお願い致します。